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エメラルド
エメラルドについて
【和名・翠玉(すいぎょく) | 英語・Emerald|産地・コロンビア等】
エメラルドとはベリルと呼ばれる鉱物の一種で、成分にクロムやバナジウムが含まれるため綺麗なグリーンの発色をしている天然石です。エメラルドは5月の誕生石としても有名です。当店ではビーズを中心に、カボション(ルース)も販売しております。-
エメラルドの名前の由来
エメラルドの名前の由来は、サンスクリットで「緑色の石」を意味する「スマラカタ」であると言われています。これが、更にギリシャ語の「スマクラグドス」、ラテン語の「スマラグダス」、古フランス語の「エスメラルド」に変わっていき、現在の「エメラルド」になったとする説があります。エメラルドの鉱物としての名前は「ベリル」といいます。これは、ギリシャ語で「青や緑の石」を意味する「beryllos」が由来となっています。結晶が柱のような形をしており、また緑色の結晶が多いためか、和名は「緑柱石(りょくちゅうせき)」です。
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色によって名前が異なる宝石
ベリル・グループは、含まれる不純物によって多くのカラーバリエーションがあり、それぞれが異なった宝石名で呼ばれています。
・青:アクアマリン
・緑:エメラルド
・ピンク:モルガナイト
・黄色:ヘリオドール
・無色:ゴシェナイト
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エメラルドの産状
エメラルドはマグマや熱水に岩石がさらされたり、高い圧力や高温下で他の岩石と接したりすることでできる「変成岩」の中で形成されます。アクアマリンをはじめとした他のベリル・グループの天然石に比べ、産出量が少ないことが特徴です。
岩石が地下深く押しこめられ、温度や圧力の作用によって新しい鉱物が生成される「広域変成作用」によって生じた結晶片岩に、マグマの活動によって生じたペグマタイトが貫入することでエメラルドは生まれます。アクアマリンなどは通常のペグマタイト(大きな結晶からなる火成岩の一種)鉱床の中に生成されますが、エメラルドができる環境はより複雑であることが、産出量が少ない理由なのです。また、エメラルドの緑色の発色要因は微量に含まれるクロムやバナジウムですが、特にクロムが生成されることが珍しいことも、エメラルドが希少である理由の一つです。
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エメラルドは5月の誕生石
日本ではジェード(翡翠、ひすい)と並んで、5月の誕生石に指定されています。また、結婚55周年を「エメラルド婚式」と呼び、記念の宝石となります。さらに、エメラルドは世界4大宝石の1つにも数えられています。残りの3つはダイヤモンド、ルビー、サファイアです。
エメラルドの特徴
エメラルド 鉱物データ
項目 | |
---|---|
和名 | 緑柱石 りょくちゅうせき |
モース硬度 | 7.5〜8 |
結晶 | 六方晶系 |
成分 | Be3Al2Si6O18 |
比重 | 2.68 |
色 | 緑 |
一般的なトリートメント等 | 樹脂含有処理 |
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エメラルドの歴史
エメラルドと人間との関係には長い歴史があり、エメラルドに関する逸話も数多く存在します。
ローマの大プリニウスは、著書『博物誌』の中でエメラルドについて「この緑色以上に緑色のものはない」と残しています。 またプリニウスは「エメラルドを見ること以上に目の回復に良い方法はない。その柔らかなグリーンが疲労や倦怠感を和らげ取り除いてくれるのだ。」と、初期の宝石職人たちがエメラルドを目薬のように利用していたことを記録に残しています。これは、現在でも緑色が目に優しい色とされていることに通じています。
イスラム教では、7つの天界のうち第1の天界はエメラルドで造られていると信じられています。また、エジプトにはエメラルド鉱山がいくつかあり、古いものでは少なくとも紀元前330から紀元前1700年代に歴史が遡ります。 クレオパトラはエメラルドを愛用し、ジュエリーやアイシャドウの原料として用いていました。さらにインカ帝国では500年もの間、装飾品や宗教儀式にエメラルドを使用していました。 そのインカ帝国を侵攻し、植民地支配したスペインも、ここで採れるエメラルドを交易に使ったことで巨万の富を得たのです。
エメラルドには、さまざまな効用があるとも信じられてきました。たとえば、エメラルドを舌の下に置くと未来を予見するだけでなく、真実を明らかにし、悪の呪文から身を守ることができるという言い伝えがあります。また、 エメラルドがコレラやマラリアのような病気を治癒するとも信じられていました。さらに、 恋人の誓いの真偽を明らかにしたり、あるいは雄弁になるとも考えられていました。
エメラルドは、神がソロモン王に与えた4つの貴重な石の一つであったと言う伝説が残っています。 これらの4つの石は、すべての創造物に対する支配力を持つ王が授かるものと言われています。20世紀には、ライマン・フランク・ホームが著した『オズの魔法使い』の中に、主人公ドロシーたちが目指す、全てがエメラルド色に染まった「エメラルドの都」が登場します。
このように、エメラルドは多くの人々に、世界各国で長く愛され続けている天然石なのです。 -
エメラルドの産地
宝石質のエメラルドが産出することで有名なのはコロンビア、ブラジル、ザンビア、ロシアなどです。ここでは、有名な産地の一部をご紹介いたします。 -
コロンビア
コロンビアのエメラルドは、良質な緑色のエメラルドを産出することから、最高峰の産地の一つと名高いです。代表的な鉱山はムゾー鉱山、コスケス鉱山、チボール鉱山などがあります。ムゾー鉱山は、コロンビア最大の鉱山です。1564年、ムゾーの町でスペイン人が馬のひづめの下に光る緑の石の断片を見つけたことがきっかけとなり発見されたといわれています。 -
ブラジル
ブラジルのエメラルド産地は、バイア州のカルナイーバ鉱区、サリニンハ鉱区が有名です。他にはゴイアス州のサンタ・テレジーニャ鉱区、ミナス・ジェライス州のイタビラ鉱山やベルモント鉱山など、多くの鉱山を抱える国なのです。サリニンハ鉱区のエメラルドはバナジウムを含んで発色したものが多く産出します。かつて「クロムを含んで発色したものがエメラルドであり、これはグリーンベリルと呼ぶべき」という論争が起こったこともありました。サンタ・テレジーニャ鉱山のエメラルドは、キャッツアイ効果やスター効果を持つものが産出することもあります。 -
ザンビア
産地として有名なのは、カジェム鉱山です。ザンビアのエメラルドは、青みのある緑が特徴です。 -
ロシア
産地として有名なのは、マリシェボ鉱山です。近年では流通量が増え、ロシア産の美しいエメラルドを目にする機会も増えました。
エメラルドの歴史と産地
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エメラルドの価値
エメラルドはクラックやインクルージョンの少ないものほど高い価値を持ちますが、天然でクラックやインクルージョンのないものは非常に少ないです。エメラルドは複数の作用が重なった環境で生成されるので、生成の際、結晶にとても負荷がかかります。よってエメラルドは、他のベリル・グループに比べてクラックやインクルージョンが非常に多くなるのです。ヨーロッパでは「傷のないエメラルドを探すのは欠点のない人間を探すことよりも難しい」という例えがあるくらいに、エメラルドの傷はありふれたものです。
エメラルド特有のクラックやインクルージョンは、石を覗き込むと草木の生い茂る庭園のように見えたとのことで、ヨーロッパの支配者たちからは「天国の庭が見える石」と呼ばれていました。また、エメラルドはその傷が多い特徴から、透明な樹脂を染み込ませることで強度を高める樹脂含有処理が施されているものが一般的です。 -
さまざまな姿を見せるエメラルド
エメラルドの中には、まれにキャッツアイ効果(猫の目のような一筋の光が現れる現象)を持つものや、コランダムと同じくスター効果(星のような6条の光が現れる現象)を持つものがあります。これは、エメラルドの中の繊維状のインクルージョンが一定の方向に規則正しく並ぶことで、エメラルドに光が当たると、光の筋が見えるために起こります。
また、歯車に似た6条の黒い筋を持つ「トラピッチェ・エメラルド」というものも見つかることがあります。トラピッチェとはスペイン語で「サトウキビの絞り機」を指します。トラピッチェ・エメラルドは珍しく、コレクターの間では人気が高い天然石です。ただ、なぜこのような形になるのかは分かっていません。同じトラピッチェ効果が現れる石としては、他にはルビーやクォーツが挙げられます。
エメラルドの価値
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傷がつかないよう、取扱いに注意
エメラルドは傷つきにくさを示すモース硬度が7.5〜8と、傷つきにくい石です。しかしながら、より硬度の高いルビーやサファイアなどと一緒にすると、エメラルドに傷がついてしまう可能性があります。エメラルドを保管する時は、他の石とぶつからないよう、仕切りのある箱や小袋に入れるなどして、個別に保管すると安全です。また、エメラルド特有の細かいクラックがあることから、衝撃にはあまり強くないため、硬い地面にぶつけないようにしましょう。 -
普段のお手入れは空拭きで
エメラルドは劣化しにくい石ですので、普段のお手入れは空拭きで結構です。エメラルドのアクセサリーを身につけた後は、乾いた布で空拭きをすると、エメラルドの美しさを長い間保つことができます。 -
汚れが気になる場合は、ぬるま湯で薄めた中性洗剤で洗う
エメラルドは水に強い特徴があるので、水洗いが可能です。軽い汚れなら水洗いでもじゅうぶんに汚れが落ちますが、皮脂汚れなどが気になる際は、中性洗剤を垂らしたぬるま湯でもみ洗いをします。汚れが落ちたら、洗剤が残らないように水でしっかりとすすぎます。すすいだ後は、乾いた柔らかい布で水気をよく拭き取ります。 -
直射日光には当てない
エメラルドは長時間直射日光に当てると、含まれる成分が化学反応を起こし、退色してしまう恐れがあります。そのため、直射日光が当たらない場所で保管をしてください。保管する際は、蓋つきの容器に入れておくとよいでしょう。
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