
天然石ファンならきっと一つは持っている宝石の筆頭にクォーツがあるかと思います。クォーツで始まりクォーツで終わる…なんて愛好家の間では言われることもあるほど、身近でありふれていながらも、多くの人に愛されてきました。
しかし一口にクォーツと言っても、その種類はとても豊富です。色や模様によって個別に名前を持つ有名なクォーツたちは後半でそれぞれ掘り下げていきます。
それぞれのクォーツの特徴や石言葉、効果などについても解説しますのでぜひ最後までお読みください。
クォーツとは

クォーツの特徴
クォーツ(石英)は、地球上にある鉱物のうち、産出量の多さにおいては1、2位を争うくらいよく見かける石です。一般的に、石英の中でも透明度が高く、六角形のきれいな結晶の形をしているものを水晶と呼びます。
はじめ、クォーツという名前はギリシャ語の「krystallos(クリスタロス)」が語源となっており、「氷」を意味していました。
あるとき、古代ギリシャ人が洞窟の中で光り輝くなにかを見つけます。そのあまりの透明感と見たこともないような質感から、溶けない氷・氷の化石だと信じて名付けたという伝説があります。
これは透明な水晶、いわゆるクリスタルクォーツを指していたとされ、時代が進むにつれて「クリスタル」を表すようになりました。そしてクォーツという名前は、サクソン語で「鉱脈が交差した鉱石」という意味の「Querkluftertz(クェルクルフテルツ)」が語源だという説が定着しています。
クォーツの産地について
産出量の多さからも想像できますが、世界中から採掘されます。
中でも特に、ブラジル、ヒマラヤ、アメリカ、中国などが有名産地として挙げられます。そしてもう一つの有名産地として、日本を挙げないわけにはいきません。現在ではほとんど採掘が行われておりませんが、明治から昭和期にかけての全盛期には海外へ輸出までしていました。
特に山梨県は古くから水晶の産地として名高く、平安時代以前に作られたとされる水晶玉が発掘されたこともあります。こうした貴重な出土品は県内の博物館で見ることができます。
また、水晶をご神体とした神社もあり、日本の水晶の歴史を感じることができるスポットが山梨県には数多くあります。
クォーツの種類とそれぞれの特徴や意味
クリスタルクォーツ

無色透明なクォーツをクリスタルクォーツと呼びます。
最も基本的なクォーツで、占い師が覗き込む丸い水晶玉のイメージから始まり、美しい宝飾品として、また工業製品に欠かすことができない物質として、たくさんの役割を持つ重要なものです。
特に工業製品の分野では、メジャーな時計をはじめ、最新の宇宙テクノロジー開発にまで必要とされているそうです。とても興味深いですよね。
一方で、古くから世界各地で祈祷や占い、病気の治療の際に使われてきました。日本の古墳時代の出土品の中の勾玉や、古代ヨーロッパ各地の王宮や神殿の遺跡から水晶玉が発掘されたことからも、古来からクリスタルクォーツが清めるという役割を担っていたことが分かります。
これは、クリスタルクォーツの持つ強い浄化作用が由来しています。持っていることでネガティブなものを浄化して癒やし、自分の中のスペースを広くしてくれる効果です。それにより、クリアで広々とした気持ちの中でじっくり思考することができて、さらにその思念をよりよいものへ導いてくれます。瞑想と相性が良いとされるのもこの効果からですね。
そばに置いて自分を見つめていると自然にサポートをしてくれて、まるで調律をされているような心地よさを感じることができます。石言葉の「統合」「調和」「強化」はまさにこのクリスタルクォーツの効果を反映しています。

ローズクォーツ

愛や美を象徴する宝石はいくつもありますが、その中でもやはりローズクォーツが一番有名なのではないでしょうか。
恋愛のお守りという強力な肩書もあり、私も青春時代に大切にしていた心温まる思い出があります。和名で薔薇水晶、紅水晶と表すように、かわいらしいピンク色が特徴です。豊富な色調を持っており、白が主体で優しくほんのりとした淡いピンク色から、やや存在感のある赤みを持つ濃いめのピンク色までさまざまです。この色は、二酸化チタンとリンが含まれていることで発色しています。
ローズクォーツは産出量がそれなりにあるので一般に広く流通しており、しかもお手頃なものが多いため、ある程度大きなものでも手に入れやすい点が人気の理由です。
石言葉はもちろん「愛」「美」「優しさ」ですが、ローズクォーツが教えてくれる愛はどんな形かご存じですか?
それは、自分自身を分離から調和の状態へ導いてくれるのです。ここでいう分離とは、地位や財産といった物事にこだわるあまり、ありのままの自分には価値がないと思い込むことです。
古代哲学者たちは、人間とは存在するだけで価値があり、社会に貢献しているのだと説いてきました。しかし時代が進むにつれて、私たち現代人は良くも悪くも承認欲求というものを獲得してきました。満たされないと自分自身を愛することができなくなり、また、他人を承認することは対等な関係を崩すことになると、現代で問題視されています。
ローズクォーツはこういった葛藤から私たちを開放し、自分を愛して他人も愛せる状態=調和へと導いてくれます。他人と比べることなく、自分はこの世にたった一人の大切な自分なのだと思い出させてくれます。
キャッチフレーズのように、時として気軽に「愛の石」と囁かれるローズクォーツですが、人間の本来の自己愛を取り戻してくれる、深く真摯な愛の力を持っているのです。
スモーキークォーツ

透明感あふれる美しいブラウンカラーが他にはない魅力のスモーキークォーツ。
このブラウンカラーは、内包するアルミニウムが自然の放射線を受けることで発色します。透明度の高い天然のスモーキークォーツはとても稀少で、一般に流通しているものは人工的に放射線処理によって美しい色味を引き出しています。そしてこの処理は、人の手で促されるというだけで結果は天然のものと変わりません。
どちらも等しく美しいスモーキークォーツと言えます。 また、古来より魔除けの力があるとされ、お守りとして位置づけられていました。そのため、石言葉には「安定」「癒し」「安眠」などがあります。
魔を祓い安全な状態にしてくれることから、不眠症の治療にも用いられていました。

モリオン

和名で黒水晶と呼ぶように、深いブラックカラーが特徴です。一言でいうとスモーキークォーツよりも黒が強いものがモリオンです。2つの宝石の違いは、かざしたときに光を通すかどうかというところです。モリオンは光を通さないマットな黒色をしています。
石言葉と効果もスモーキークォーツとほぼ同じですが、モリオンの方がより強いグラウンディング効果を持っています。グラウンディングとは、自分と大地が繋がっていると認識して心と身体の安定したバランスを維持することです。
これがマインドフルネスや瞑想に通じるとされて、近年人気の宝石なのです。

アメジスト

2月の誕生石で有名なアメジストも水晶グループです。
この紫色は、石に含まれている鉄イオンにより発色します。色調のバリエーションが幅広く、淡いピンクから、黒に近いくらい濃い紫色をしているものまであります。産地によって濃淡やグラデーションの違いも多く、産出量も安定してあるので好みのものを探せる楽しみもあります。
古来から世界中で採れる宝石だったので、世界各地に興味深い伝承が残っています。古代ヨーロッパでは王家や神殿に祀られており、高貴な宝石として大切にされてきました。日本でも昔から紫は高貴な色とされています。
アメジストの上品な紫色から感じる印象は、時代や民族を越えて共通の感覚を呼び起こしてきたのですね。離れ離れになったり、時として争うこともありますが、私たち人間は本来つながっているのだと感じさせてくれます。
これらが石言葉の「高貴」「心の平和」の由来ともなっています。

シトリン

一般に流通しているシトリンのほとんどはアメジストを加熱処理したものであることは皆さんご存じかと思います。
アメジストが持つ鉄イオンが自然熱によってパープルからイエローに変わったものがシトリンの発見でした。しかし天然のシトリンカラーを持つものはとても稀少なため、古くから加熱処理がなされてきました。
スモーキークォーツ同様、宝石の持つ美しさを最大限引き出すための工程であり、宝石としての価値は天然のものとなんら変わりはありません。11月の誕生石としても人気の宝石なので、安定して流通していることはとても素晴らしいことですよね。
石言葉に「成功」「富」「希望」とあるように、その色調から古来より豊かさをイメージさせ、暗闇を照らす太陽の石と呼ばれてきました。
ポジティブな意味を持つシトリンはギフトとしてはもちろん、自分へのお守りとしてもおすすめです。

ルチルクォーツ

金運の石としておそらく一番有名な宝石であるルチルクォーツ。男性からの人気も高いですよね。和名を針水晶といい、クリスタルクォーツの中にルチルと呼ばれる針状の鉱物が内包されているクォーツです。
このルチルは金紅石という二酸化チタンの結晶で、クォーツが結晶化する過程の温度差の影響でこのような神秘的な姿となります。
なぜ金運の石として人気があるのか、それはルチルクォーツが持つ「集める」エネルギーが強いからと言われています。持つ人のお金、人脈、チャンスなどを集めて吸い寄せる効果があるそうなのです。
ここでのポイントは、持ち主との相互作用が促されることです。ルチルクォーツが持つ強い力を引き出すには、身につける自分も最高のコンディションであるときが最も効果を発揮すると言われています。
あらゆる努力と準備を行い、あとは成功するだけだ!という時にバックアップしてくれます。ただ単に持ち主を豊かにするのではなく、努力を怠らず成功へひた走ってきた人の背中を押してくれる、そんなポジティブな宝石なのです。

ミルキークォーツ

ミルキークォーツは淡雪を思わせるような柔らかい輝きの乳白色が特徴です。この色合いはクォーツに含まれるアルミニウムの影響によるものです。濃淡のバリエーションが幅広く、ホワイトが強いものから、みずみずしく透明感あふれるものまで見かけることが出来ます。
シンプルなものがいいけれど、クリスタルだとちょっと味気ないな、という気分のときには特におすすめです。他のものとの相性もよく、ほどよいアクセントを添えてくれます。
石言葉に「母性愛」とあるように、持つ人に安心感を与えてくれる効果があると言われています。
同じような効果を持つ宝石にムーンストーンやマザーオブパールなどがありますが、いずれも乳白色のニュアンスを持ちます。
この乳白色という色を見つめていると、なぜだか安堵感に包まれることがありませんか?それは無意識下で、お母さんの母乳をイメージすることで安心していると考えられています。そう言われると不思議と納得がいきますよね。
クォーツの石言葉
クォーツの種類 | 石言葉 |
---|---|
クリスタルクォーツ | 統合、調和、強化 |
ローズクォーツ | 愛、美、優しさ |
スモーキークォーツ | 安定、癒し、安眠 |
モリオン | 邪気祓い、魔除け、落ち着き |
アメジスト | 高貴、心の平和 |
シトリン | 成功、富、希望 |
ルチルクォーツ | 強運、洞察力の向上、家族円満 |
ミルキークォーツ | 母性愛 |
クォーツのヒーリング効果
クォーツの種類 | 効果 |
---|---|
クリスタルクォーツ | ネガティブなものを浄化し、思考をクリアにする効果 |
ローズクォーツ | 自己愛を取り戻し、他人を愛せる状態へ導く効果 |
スモーキークォーツ | 邪気を払う効果、安定と癒しを与える効果 |
モリオン | 強いグラウンディング効果、心と身体のバランスを維持する効果 |
アメジスト | 心の平和と高貴な感覚を呼び起こす効果 |
シトリン | 明るくポジティブな気持ちに導く効果 |
ルチルクォーツ | お金、人脈、チャンスを集める効果 |
ミルキークォーツ | 持つ人に安心感を与える効果 |
クォーツの浄化方法、お手入れの方法
クォーツの種類ごとにおすすめの浄化方法とメンテナンス方法をご紹介します。
クォーツの種類 | 浄化方法 | メンテナンス方法 |
---|---|---|
クリスタルクォーツ | 月光浴、流水、さざれ石、ホワイトセージ | 定期的に月光にさらし、優しく布で拭く |
ローズクォーツ | 月光浴、さざれ石、ホワイトセージ | 色褪せを防ぐため直射日光は避ける |
スモーキークォーツ | 流水、さざれ石、ホワイトセージ | 定期的に水で優しく洗い、乾燥させる |
モリオン | 塩、さざれ石、ホワイトセージ | 暗所で保管し、優しく布で拭いて清潔に保つ |
アメジスト | 月光浴、流水、ホワイトセージ | 長時間の直射日光を避け、布で優しく拭く |
シトリン | 月光浴、さざれ石、ホワイトセージ | 直射日光を避け、定期的に布で拭く |
ルチルクォーツ | 月光浴、流水、さざれ石、ホワイトセージ | 定期的に水洗いし、柔らかい布で乾燥させる |
ミルキークォーツ | 流水、月光浴、ホワイトセージ | 優しく布で拭いて、柔らかい布で包んで保管する |
- 月光浴: 夜間、特に満月の夜に石を外に置き、月の光で浄化する方法です。
- 流水: 自然の流れる水や水道水で石を優しく洗い流す方法です。水に弱い石は避けましょう。
- さざれ石: さざれ石の上に石を置き、他の石のエネルギーで浄化する方法です。
- 塩: 石を塩の中に埋めて浄化する方法です。石によってはダメージを与える可能性があるため、注意が必要です。
- ホワイトセージ:石をセージの煙にさらして浄化する方法です。直接火を使う方法なので、火の扱いには十分注意しましょう。
まとめ

地球と共に歩んできた長い歴史を持つ宝石たちと、私たち人間が原始から本能的に持っている感覚が共鳴するという神秘的な体験を与えてくれます。
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