スモーキークォーツ｜上質なブランデーのような輝きに魅せられる

華やかな主役が多い水晶グループの中でも控えめな、奥ゆかしい輝きを放つスモーキークォーツ。一度知るともっと追いかけたくなるスモーキークォーツの魅力を見てゆきましょう。

スモーキークォーツの鉱物データ

英名	Smoky Quartz
和名	茶水晶（ちゃすいしょう）
分類	ケイ酸塩鉱物
化学式	SiO2
色	茶色、淡茶色、帯灰茶色、帯褐黒色
モース硬度	7
劈開性	－
屈折率	1.54－1.56
結晶系	三方晶系（六方晶系）
断口	貝殻状
条痕	白色
比重	2.65
光沢	ガラス状光沢
主な産地	ブラジル
石言葉	「安定」「癒し」「安眠」

スモーキークォーツ(茶水晶)とは

スモーキークォーツの特徴

スモーキークォーツとは、クォーツ(水晶)の中でも、透明感のあるブラウン～ブラックの色味が特徴とされる天然石です。無色透明の水晶をブランデーで染め上げたような、美しく透きとおった輝くブラウンカラーが魅力的です。

このブラウンカラーは、水晶中に含まれるごくわずかなアルミニウムが自然の放射線を受けることで発生します。天然のスモーキークォーツで透明度の高いものはなかなかお目にかかれない為、広く流通しているスモーキークォーツは、前述した自然の過程を人工的に放射線処理によって促しているものがほとんどです。

スモーキークォーツがブラウンカラーとなる過程について、天然か人工的かという差があるだけで、その成り立ちと最終的な宝石の美しさは相違ありません。また、放射線というとあまり良くないイメージをもたれる場合もあるかもしれませんが、人体に影響のないごくわずかな量なので心配することはありません。

スモーキークォーツの名前の由来、和名

スモーキークォーツの名前の由来は、英語名の「Smoky Quartz」でも表されているように、煙を閉じ込めたような色をしているからとよく言われています。煙には白いものも黒いものもありますが、ここではちょっと茶色や淡く黒っぽいニュアンスです。水晶にうっすらと黒い煙がかかったような、そんなイメージですね。

スモーキークォーツの和名は「茶水晶」といい、こちらは分かりやすいですね。茶色い水晶、というと地味な印象ですが、マットな茶色い石ではなく、ブラウンがかったきれいに透き通る宝石だと紹介してあげましょう。

スモーキークォーツの主な産地

天然のスモーキークォーツは非常に希少で、めったに産出されません。前述した加工をほどこしている場合、主な原産地は水晶と同じということになります。ブラジルが水晶の主要原産地なので、スモーキークォーツの主な産地もブラジルとなります。

歴史・言い伝え

スモーキークォーツは紀元前300年頃から、スコットランドのケアンゴーム産地で採掘されてきました。ケルト民族の衣装や装飾品として流通していたのがその宝石としての価値の始まりだといわれています。スモーキークォーツはスコットランドの国石でもあります。

なぜ水晶がこのような色味になるのか、そのメカニズムが解明されていない時分には、暗めの色味とあいまって、地域によっては不吉なイメージを持たれていたこともありました。その一方で、古来より魔除けや癒し効果があるとして、お守りの存在でもありました。煙には退魔の意味があることから、スモーキークォーツは悪霊払いにもなると信じられていたのです。祈祷師が祈祷の際に火を焚きしめて煙を使うことがありますが、そこからイメージされたともいわれています。

そしてその価値観から、前述したケルト民族の衣装飾りとされていた歴史もあります。その装飾としては、ブローチ、キルトのピン、靴下に差し込むソックナイフのスキャンドゥなどが代表例です。さらにそのデザインは現代にも脈々と受け継がれてきました。他の宝石にも言えることですが、その石が加工される方法は古からあるものが変化しつつも現代で受け入れられています。これは先人たちが現代の科学的な技術がなくともその天然石の魅力を引き出す知恵を持っていたというふうにも解釈できます。先人たちは偉大ですね。

古代ローマ帝国ではスモーキークォーツに彫刻をあしらったものを印章としていたり、カメオの素材としてもよく使用されていました。現代と違って宝石としての楽しみというよりは、印章もカメオも実務的な用途であったものの、魔除け効果を持つスモーキークォーツで作ることに意味がありました。また、ヒーリングや魔除けの効果を期待され、病気にかかった方へのお見舞いの品としての役割もあったようです。水晶グループは浄化作用が高めと言われますが、その中でも特に破魔の力が強いとされていたことも、そういった利用がよくされていたことへの理由としてうなずけます。

スモーキークォーツの石言葉と意味

スモーキークォーツの石言葉には「安定」「癒し」「安眠」「責任感」「くじけない心」などがあります。「安定」「癒し」「安眠」の言葉からは、古くから退魔やヒーリングの効果として愛されてきたスモーキークォーツの一面がうかがえます。古くには不眠症の治療にも使われていたことがあったそうです。

そこから発展して、安定を得た状態から人間的に成長し、結果としてあふれる責任感やあきらめない心を表すようなフレーズが石言葉として定着しました。さまざまな言い伝え、歴史から正反対な意味の石言葉を持つ天然石もありますが、スモーキークォーツは一貫して信頼、安定のようなイメージが湧く石言葉が多いのも特徴の一つです。

スモーキークォーツのパワーストーンとしての効果と浄化方法

よく知られる効果

スモーキークォーツには「グラウンディング」とよばれる効果があります。「グラウンディング」とは、自分の精神の中心と地球を結びつけ、そのつながりを強化することで、精神的なエネルギーと肉体的なバランスをよりよい状態へ導くことです。こうすることで、心の安定や肉体的にも思考的にも落ち着きが得られるといわれています。

こう聞くと、なんだかとてもスピリチュアルな領域まで踏み込んだ印象がありますが、マインドフルネスや瞑想という言葉に置き換えるとしっくりくるのではないでしょうか。瞑想などと同じ効果を得られる、また、得る手助けをしてくれる素敵な天然石です。グラウンディングの力を持つ天然石は他にもいくつかあり、そのほとんどがモリオンやオニキスなどブラックカラーのニュアンスです。中でもこのスモーキークォーツは透明感のあるブラウンカラーなので、グラウンディング効果を持ちつつも、あまり黒色が強くないものを探している方にもおすすめです。

また、スモーキークォーツは現実的で理論的な思考力をサポートしてくれる効果も持っています。これもグラウンディングに通じる一面がありますが、心と身体のバランスがとれて自己調律ができている状態にしつつ、それを軸に正しく健全な思考力を獲得することができます。そのため男女ともに忙しく仕事をもって毎日を過ごす現代人にとてもマッチすると、そういった方向からも支持されています。新しいプロジェクトに取りかかる、転職や引っ越しのタイミングなどでパワーを発揮する天然石です。

スモーキークォーツの浄化方法

スモーキークォーツは紫外線や強い光に弱いので、太陽光による浄化は避けてください。石の色味が変わってしまう可能性がありますので注意しましょう。そのほかの、水、月光、セージ、水晶、塩、音、いずれの方法でも問題ありません。パワーをたくさん使ったなという時には月光浴がおすすめです。

ホワイトセージの葉を焚いた煙に石をくぐらせるセージ法も推奨されています。セージの葉は天然のものがよりよいです。グラウンディング効果を持つくらい頼もしい力を持っているスモーキークォーツですから、向いてない浄化方法が少ないというのも力強い印象ですね。

まとめ

その姿形は「スモーキークォーツ」という名前の表す通り、まるで煙を閉じ込めたようなブラウンカラー。きれいに透き通って輝く天然石です。

このブラウンカラーは、水晶中に含まれるごくわずかなアルミニウムが自然の放射線を受けることで発生しますが、天然のものは非常に希少で、めったに産出されません。広く流通しているスモーキークォーツは人工的に放射線処理されているものがほとんどですが、その成り立ちと最終的な宝石の美しさは相違なく、多くの人に愛されています。

たくさんの人に愛でられる理由のうち大きなものは、スモーキークォーツの持つ力強い効果です。古くから魔除けのお守りとして使われていた歴史を持ち、「グラウンディング」とよばれる心と身体のバランスを整える手助けをしてくれるパワーを持っています。

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