
数ある宝石の中でも「王様」として君臨するのがダイヤモンドです。
美しくて高価、そしてプロポーズの際に「不変の愛」を伝えるために用いられることでもよく知られています。その眩い輝きは古くから人々を魅了し、それは今でも変わりません。
今回はそんなダイヤモンドについて分かりやすく解説しながら、その魅力に迫っていきます。後半にはさまざまな種類のダイヤモンドも紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
ダイヤモンドの鉱物データ
英名 | Diamond |
和名 | 金剛石 |
化学組成 | C |
モース硬度 | 10 |
比重 | 3.52 |
屈折率 | 2.419 |
ダイヤモンドの最大の魅力は輝き

20世紀で最も優れた広告として称されているのが「A Diamond is Forever(ダイヤモンドは永遠の輝き)」という有名なキャッチコピーです。
いつまでも輝き続けるダイヤモンドと不変の愛を結びつけて「エンゲージリングはダイヤモンド」という印象を強く与えたこのキャッチコピーは1947年のアメリカで生まれ、日本を含む30以上の国で訳されました。
このキャッチコピーからも分かるように、ダイヤモンドの魅力はその「輝き」にあります。
そんなダイヤモンドの輝きを最大限に引き出すのが58もの面で構成されるラウンドブリリアントカットと呼ばれるカット技法です。
反射や屈折率などのさまざまな要素を基に数学的計算を用いて考案されたこのカット技法はダイヤモンドの輝きを際立たせてくれますが、もちろんダイヤモンドそのものの品質にも大きく依存します。
4C / ダイヤモンドの品質と価値

ダイヤモンドの品質に関しては、1950年代にG.I.A(米国宝石学会)が開発した「4C」という品質評価基準が国際的に用いられています。
ダイヤモンドの品質は以下の4つの要素によって決まります。
- Color(色)
- Clarity(透明度)
- Carat(重さ)
- Cut(カット)
「4C」とはこれら4つの要素の頭文字を取ったものです。
ダイヤモンドの色(Color:カラー)

まず最初の「C」であるカラー(Color)についてですが、一般的にダイヤモンドは無色、つまりカラーレスである方が品質が高いと見なされます。
グレードはアルファベットのD~Zまでの23段階で評価され、もっとも高品質なのがDグレードです。
グレード | D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z |
品質 | 高 ⇔ 低い |
グレード | 色範囲 |
D E F | 無色 |
G H I J | ほぼ無色 |
K L M | ごく微かな色味あり |
O P Q R S | 微かな色味あり |
T U V W X Y Z | 色味あり |
色範囲が無色でも最上級のダイヤモンドだけがDにグレードされるため、価値と希少性は非常に高くなります。
ちなみにこのカラーグレードはZに近づくほど黄色の色味を示します。
ダイヤモンドの透明度(Clarity:クラリティ)

ダイヤモンドの透明度を評価するのはクラリティ(Clarity)と呼ばれる2つめの「C」です。
内包物(インクルージョン)や疵(疵・ブレミッシュ)の程度によって以下の11段階に分類されます。
グレード | 内包物など |
FL | 内外部無欠点 |
IF | 内部無欠点 |
VVS1 VVS2 | ごくごく僅かな内包物 |
VS1 VS2 | ごく僅かな内包物 |
SI1 SI2 | 僅かな内包物 |
I1 I2 I3 | 欠陥 |
VS2グレード辺りから一般の人が10倍のルーペで何とか内包物を確認できる程度になりますので、最高グレードのFLではプロでも内包物が認識できない品質になります。
ダイヤモンドの重さ(Carat:カラット)

3つの「C」はよく耳にするカラット(Carat)のことで、重さを評価する指標です。
ダイヤモンドだけでなく他の宝石にも用いられますが、1カラット(ct)の重さは0.2グラムです。重さは大きさにも直結しますので、カラット数はダイヤモンドの印象に大きな影響を与えます。
ちなみに世界最大のダイヤモンドは1905年の南アフリカで発見された3,106カラットの「カリナン」です。
原石であるカリナンは発見された3年後に105粒にカットされ、その中でも最も大きな「カリナンI」は530.2カラットにもなり、発見地であるアフリカの大地の偉大さを称して「The Great Star of Africa」(アフリカの偉大な星)と名付けられています。
ダイヤモンドのカット(Cut)

最後の「C」はダイヤモンドの輝きを引き出すカット(Cut)のことです。
ダイヤモンドの価値に大きな影響を与えますが、カットの形状そのものを評価するのではなく、カットによってどのようにダイヤモンドと光が相互作用するのかを評価対象としています。
ちなみにこのカットグレードで評価されるのは、DからZのカラーグレードとFLからI3の範囲の「ラウンドブリリアントカット」のみです。
グレード(5段階) | Excellent Very Good Good Fair Poor |
評価 | 高 ⇔ 低い |
さまざまな色のファンシーカラーダイヤモンド

先ほどダイヤモンドは無色(カラーレス)である方が高品質と評価されるとお伝えしました。
しかし、カラーグレードでZを超える色付きダイヤモンドは「ファンシーカラーダイヤモンド」や「カラーダイヤモンド」などと呼ばれ、その色合いや品質によっては非常に高く評価されることがあります。
ここではそんなファンシーカラーダイヤモンドをいくつか紹介します。
グリーンダイヤモンド

ファンシーカラーダイヤモンドの中でも特に希少性が高いのがグリーンダイヤモンドです。
グリーンダイヤモンドも個体によって色あいの程度が異なり、そのほとんどは黄色や青色などの色調が混ざった薄い色あいものになります。従って強い緑色を発するグリーンダイヤモンドは非常に希少で、高額で取引されることも珍しくありません。
緑色を発する理由は、ダイヤモンドが地表に出る前の地下深くで数百万年という長い期間放射線を浴びたことによるものです。その環境が特別であるために他の色のダイヤモンドよりも希少性は高まります。
美術館に展示されるような煌びやかでありながら自然を連想させるグリーンダイヤモンドは、目を奪われるような美しさを放ちます。
ブルーダイヤモンド

青色をしたブルーダイヤモンドも希少性が高く、人気のある宝石として知られています。
ダイヤモンドは炭素だけの単一元素からできている唯一の鉱物ですが、生成過程でホウ素が混入することによって青色を発色します。このホウ素混入によるブルーダイヤモンドが生成される確率は0.001%とも言われており、非常に希少性が高いです。
同じブルーダイヤモンドでも品質や色合いによってオーシャンブルーダイヤモンド、スカイブルーダイヤモンド、アイスブルーダイヤモンドなど呼ばれ方が異なります。
ひと昔前まで「一生に一度見ることができれば幸運」とまで言われていたブルーダイヤモンドですが、その青く鮮やかに煌めく様子は普通の宝石とは別次元の美しさと言っても過言ではありません。
ブラックダイヤモンド

ダイヤモンドには漆黒の色をしたブラックダイヤモンドもあります。
前述したようにダイヤモンドは炭素で構成されているため、同じ炭素だけでできた黒鉛(鉛筆の芯)を考えると「黒色をしたダイヤモンド」にも納得できるでしょう。もちろん黒鉛とブラックダイヤモンドは似て非となるもので、ブラックダイヤモンドは色ムラが出ることも多く、長い間工業用として用いられることが一般的でした。
しかし近年はジュエリーとしても用いられることが多くなり、注目度と人気も上がってきています。
ただ市場のブラックダイヤモンドは放射線処理やトリートメント加工が施されたものが多く、天然の漆黒ブラックダイヤモンドが発見されることは非常に稀です。
ブラックダイヤモンドは、その見た目からもカラーダイヤモンドの中で特に個性的と言えるかもしれません。

グレーダイヤモンド

無色透明なダイヤモンドに薄い黒味がかった色をしたのがグレーダイヤモンドです。
価値の高いと評価されることはあまりなかったグレーダイヤモンドですが、近年はその控えめな美しさが注目され、人気が高まっています。ダイヤモンド独特の煌めきを残しつつも派手さが抑えられているため、さりげなくオシャレを楽しめるアクセサリーと言えるでしょう、
冠婚葬祭などを含めたさまざまなシーンで使えることも魅力です。
ホワイトダイヤモンド

神秘的なカラーダイヤモンドと言えば、ホワイトダイヤモンドと答える人は少なくありません。
ホワイトダイヤモンドは乳白色で半透明をしたダイヤモンドです。ホワイトダイヤモンドにしか出せない独特の存在感があり、無色透明なダイヤモンドよりも清らかさを感じられます。
ちなみに、無色透明のダイヤモンドをホワイトダイヤモンドと呼ぶこともありますが、基本的にはホワイトダイヤモンドと無色透明のダイヤモンドは区別されますので注意しましょう。
白という色はさまざまなコーディネートにもよく合います。ダイヤモンドを検討している方は、ぜひこのホワイトダイヤモンドも選択肢に入れてファッションと一緒に楽しんでみるのも良いでしょう。
ダイヤモンドは4月の代表的な誕生石

ダイヤモンドは4月の誕生石としてもよく知られています。
誕生石は1月〜12月の誕生月を象徴する宝石のことで、12の月それぞれに種類の違う宝石が挙げられています。4月の誕生石はダイヤモンド・水晶・キュービックジルコニア・モルガナイトの4つですが、最も有名なのはダイヤモンドです。
ダイヤモンドを含む4月の誕生石については、関連記事「4月の誕生石|ダイヤモンドは王様の輝き / その他の3つの誕生石も紹介」の中で詳しく紹介していますので、ぜひ確認してみてください。
ダイヤモンドの知られざる秘密にも触れていますので、きっと新たな発見や魅力を見つけられるでしょう。
「世界一硬い石」ダイヤモンドのモース硬度

「世界で1番硬い石」とも称されるダイヤモンドは、美しい輝きだけでなくその硬さでも知られています。
鉱物に対する硬さの尺度であるモース硬度の中で、ダイヤモンドは唯一の「硬度10」を誇る宝石です。そのためダイヤモンドは、地球上で最も硬い自然物質とされています。この硬度は1から10までの数字で表され、数字が大きいほど硬く、1に近いほど柔らかいことを示しています。
モース硬度が異なる石を擦り合わせると、高度の低い石に傷がつき、高い石には傷がつきません。例えば、サファイア(硬度9)でダイヤモンド(硬度10)をひっかいてもダイヤモンドには傷がつかないのです。ダイヤモンドは鉱物の中で最も硬度が高いので、他のどんな石でひっかいても傷つきません。
誤解されやすいのですが、このモース硬度が示す硬さの基準はあくまで「ひっかいた時の傷のつきにくさ」です。衝撃に対しての強さは関係ありません。したがって、ダイヤモンドは「傷がつかない」という性質はありますが、衝撃に対して無敵というわけではないのです。実際、強い衝撃を受けるとダイヤモンドは割れてしまう可能性があります。
またこの傷つきにくさを生かし、ダイヤモンドはジュエリーに使用される以外にも、工業用ドリルやカッティングツールなどの用途でも価値を生み出しています。
パワーストーンとしてのダイヤモンド その効果とは?

ダイヤモンドはパワーストーンとしても愛されています。特に「永遠の愛」や「不屈さ」に関連する効果があると信じられています。
愛が永遠に続く
ダイヤモンドは、その不変の輝きで「永遠の愛」の象徴とされています。結婚指輪にダイヤモンドがよく用いられるのも、この石が持つ「終わりのない愛」を象徴するからです。大切な人との愛や絆を、より強く深いものにしてくれるでしょう。
良縁をもたらす
またダイヤモンドは、持つ人に良縁をもたらすパワーがあるとも言われています。この石は、人脈を引き寄せたり人との絆を深める力を持っているため、恋愛成就のお守りとしての効果も信じられているのです。美しく輝くダイヤモンドを身につけることで、背筋が伸びて自信が持てるようになり、自分をより魅力的に見せられるという効果もありますね。独身の人がダイヤモンドを身につけると、運命の人との出会いが訪れるという言い伝えもあります。
困難に打ち勝つ強さを授ける
そしてダイヤモンドには、持つ人に困難に打ち勝つ強さを与える効果もあると言われています。「最も硬い石」であるダイヤモンドの硬さは、内面的な強さの象徴でもあります。ダイヤモンドを持つことで、精神的な不安やストレスに対する耐性が強まり、人生の挑戦に対して前向きに取り組む勇気を与えてくれると言われています。
最後に / ダイヤモンドを身に付ける意味

「永遠の愛・不変・純愛・清浄無垢」、これらはダイヤモンドの石言葉ですが、冒頭でお伝えしたように「いつまでも変わらない愛」を連想させる言葉です。
大切な人からダイヤモンドを受け取れば、きっとそのダイヤモンドが二人を末永く見守ってくれるでしょう。ジュエリーやアクセサリーとして自分用にダイヤモンドを購入して身に付けるのもおすすめです。さまざまな色がありますので、きっとお気に入りの色をした1粒を見つけられるでしょう。
ダイヤモンドは高価なイメージがありますが、ハイグレードな品質でなければ手が届くものも多いです。特にハンドメイド用であれば加工処理が施された色とりどりのダイヤモンドを手頃な価格で購入できます。
ぜひこの機会にお気に入りを見つけ、宝石の王様「ダイヤモンド」の輝きを身にまとってみてください。
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