10月の誕生石|オパール&トルマリン・宝石に見る神秘と色

10月の誕生石、オパールとトルマリンの写真

10月は太陽が日を追うごとに南寄りの空に昇っていき、その斜めの日差しで影法師を長く伸ばします。同様に夜も長くなり、季節は本格的な秋に移り変わります。

今回はそんな10月の誕生石である「オパール」と「トルマリン」の話です。秋の夜長に美しい宝石へ思いをはせるのも素敵だと思いますので、ぜひ最後までお読み下さい。

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この記事の内容

10月の誕生石|オパールとは?

10月の誕生石、オパールの石言葉の解説

10月の代表的な誕生石の一つであるオパールは、古くから希望を象徴する宝石とされ、古代ローマ時代には「神の石」とも呼ばれていました。

そんなオパールは大きく2種類に分けられます。1つは遊色効果を持つ「プレシャスオパール」、もう1つは不透明で遊色効果を持たない「コモンオパール」です。

オパール / 遊色効果を持つ「プレシャスオパール」

10月の誕生石、オパールは遊色効果を持つ宝石

遊色効果をもつオパールをプレシャスオパールと呼びます。遊色効果は英語で「Play of Color」と言います。直訳すると「色の遊び」となりますが、遊色効果は宝石の中でもオパールだけが持つ光学現象のことです。具体的には、オパールに光が差し込むと、その内部構造に作用し虹のような色の帯を残す現象が発生します。

まさに煌めく様々な色がオパールの中で自由に遊んでいるかのような独特で神秘的な現象です。光の当て加減や角度によってそのオパールは様子を変え、そのパターンは無限と言われています。

もう1つの「コモンオパール」

10月の誕生石、ピンクオパールはコモンオパールと呼ばれる宝石の一種

一方、コモンオパールは遊色効果を持たないオパールのことです。ジュエリーとしてはプレシャスオパールほど広く流通はしていませんが、色彩そのものはとても豊富で、天然石アクセサリーやパワーストーンとして高い人気があります。

色に関しては一般的に不透明で乳白色のものが多いですが、ピンク・イエロー・ブルーなど様々な色があり、オパールの地色そのままのを楽しむことが出来るということで、これも人気の宝石になります。

オパール×シェイクスピア

10月の誕生石の解説

「ロミオとジュリエット」や「ハムレット」などの作品で有名な作家シェイクスピアの代表作の一つに「十二夜」という作品があります。この作品は1601年から1602年に書かれた喜劇、現代風に言うとロマンチックコメディーです。

この十二夜の中でオーシーノ公爵について、「Thy mind is a very opal.(そなたの心はオパールそのもの)」と表現されている箇所があります。シェイクスピアが文豪と称される一端を垣間見ることが出来るセリフです。

オパール、つまりこの場合はプレシャスオパールの遊色効果で、オーシーノ公爵の心移りの様を表現しています。

室町時代の狂言「墨塗」には「男心と秋の空は一夜にして七度変わる」という有名なセリフもありますが、時代と場所を超えても「オパール×移りゆく心×秋」とリンクしているのは興味深いものがあります。

非結晶の宝石オパールと水

10月の誕生石、オパールとは遊色効果を持つ非結晶の宝石

10月の誕生石オパールはケイ素と水で出来ています。もちろんその他にもオパールを生成する成分や要素はありますが、特徴的なのは他の宝石と異なり、元素同士は結晶となって強く結びついていないことです。つまりオパールはケイ素と水の粒子同士が集まって積み重なって出来ただけの結晶構造を持たない珍しい宝石なのです。

ちなみに水晶には生成過程で古来の水がそのまま内部に残った「水入り水晶」というものがありますが、非結晶で水分を含む宝石はオパールだけです。非結晶であること、水分を含んでいることがオパールの美しい発色を決定づけている秘密の一つになります。

10月の誕生石、オパールの神話とその魅力

10月の誕生石、オパールの神話と魅力について

オーストラリアの先住民族アボリジニは、「オパールは神様が虹からすべての色を取り、それを取り込んだ石」と信じていました。またギリシャ神話には「全知全能の最高神であるゼウスの涙が地面に落ちるとそれがオパールへと変わる」という言い伝えもあります。

当時の人々は謎めき、煌めくオパールを見て神と結びつけました。オパールの魅力は、その中に閉じ込められた「崇高さの世界」です。気高くて偉大、数ある宝石の中でも特にオパールの魅力を言い表そうとするならば、言葉を変幻自在に操るか、言い伝えにある神の存在に頼らなければならないほど神秘的な魅力があります。

10月の誕生石|トルマリンとは?

オパールと並ぶもう一つの代表的な10月の誕生石はトルマリンです。トルマリンは蠍座(10/23~11/21)の星座石でもありますが、宝石の中でも最も多彩な色を持つ宝石で、石言葉は「歓喜、安楽、忍耐」などです。

10月の誕生石、トルマリンの写真

トルマリンという名称は、スリランカで話されている言語の一つであるシンハラ語の混合宝石(Mixed gems / මිශ්ර මැණික්)から由来していると言われています。詳しくは後述しますが、これはトルマリンの中には単色だけでなく、2色以上のカラーが混在するパーティーカラートルマリンを見て名付けられたと推測出来ます。

トルマリンは電気を発する不思議な鉱物

10月の誕生石、トルマリンの不思議

10月の誕生石トルマリンはその周囲に電気を帯びる性質を持った特殊な鉱石です。それゆえ18世紀の学者カール・リンネはトルマリンを「Electric Stone(エレクトリック・ストーン)」と呼び、それがトルマリンの和名「電気石」の由来になりました。

そしてその特殊な性質は18世紀後半になりフランスの物理学者キュリー兄弟(ピエールとジャック)、さらにドイツの実験物理学者リーケによって解明されることになります。

トルマリンが電気を帯びる条件は2つです。それはトルマリンに圧力を加えた時、そして温度変化を与えた時です。これは専門的には圧電効果と焦電効果と呼びますが、マイナスイオンが発生しますので、トルマリンは健康効果もあると言われています。

この電気を帯びる現象は事実ですが、実はそのメカニズムは現在でも解明されていません。ゆえにトルマリンは未だに不思議な鉱物であり、同時に面白い宝石だと言えます。

トルマリンの魅力は多彩なカラー

10月の誕生石であるトルマリンの最大の魅力はその多彩なカラーバリエーションです。これは人々に「トルマリンに無い色はない」と言わしめる程で、トルマリンはこの世の全ての色を持っていると言うことも出来ます。

ちなみに赤からピンク系の発色をするトルマリンはルベライト、濃いブルートルマリンはインディゴライト、グリーントルマリンはバーデライト、ブラックトルマリンはショール、無色透明はアクロアイトと呼びます。

さらにトルマリンのカラーバリエーションは単色のみに留まらず、2色を持つバイカラートルマリンや、3色を持つトリカラートルマリンなども様々です。このように1つで2色以上の色を持つものは「パーティーカラートルマリン」と呼ばれ、宝石の華やかさと楽しさを感じさせてくれます。

ちなみに「ウォーターメロン(スイカ)」と呼ばれるトルマリンは、中心が赤色でその周囲が緑系の色をしています。

10月の誕生石の石言葉と意味

オパールの石言葉と意味

「希望」

オパールは、「希望」の象徴とされています。この石は、困難な状況でもポジティブな展望を持ち続ける力を象徴し、持ち主に光と希望を与えます。人生のどんな暗い時期にも、希望の光を見いだす力を与えると言われています。

「好転」

オパールは、人生の転機や新しいチャプターの始まりを象徴し、持ち主の運命が良い方向へと導きます。特に、新しい始まりや変化の時期に、良い転機をもたらすと信じられています。

「創造性」

オパールは、芸術的な才能や新しいアイディアを刺激し、クリエイティブな発想を促進します。アーティストやデザイナー、作家など、創造的な職業に従事する人々に特に適しています。

トルマリンの石言葉と意味

「希望」

トルマリンの石言葉にも「希望」があります。人生における困難や挑戦に対して前向きな気持ちに導いてくれる石です。トルマリンを身につけることで、未来に対する希望を抱き、ポジティブなエネルギーを引き寄せると言われています。特に、明るい色合いのトルマリンは希望の象徴として、多くの人々に愛されています。

「潔白」

トルマリンの石言葉「潔白」は、心の純粋さや清らかさを意味しています。トルマリンは持ち主の心を浄化し、ネガティブな感情やエネルギーを取り除く力があると信じられています。トルマリンを日常に取り入れることで、心の中の潔白を保ち、清々しい気持ちで毎日を過ごすことができるでしょう。

「友情」

トルマリンには人と人との絆を強め、友情を深める力があるとも言われています。トルマリンを友人に贈ることで、互いの信頼や絆をさらに強固にすることができるでしょう。また、トルマリンを身につけることで、新たな友人関係を築く手助けをしてくれるとも言われています。

10月の誕生石のパワーストーンとしての効果

オパールのヒーリング効果

  • 幸福を呼び込む
  • 気持ちを落ち着ける
  • 愛を深める
  • アンチエイジング

トルマリンのヒーリング効果

  • ネガティブなエネルギーを取り除く
  • 創造性やインスピレーションを高める
  • 心を穏やかにする
  • 身体的な調和と健康を促す

オパールとトルマリン以外の10月の誕生石

実は10月の誕生石にはオパールとトルマリン以外にも別の2つの宝石が挙げられることがあります。それは「ローズクォーツ」と「タイガーアイ」です。

誕生石の起源は古く、時代と様々な国や地域を経てそれが普及していった経緯がありますが、その過程で各地で独自に様々な宝石が加えられたり、省かれてきた背景があります。ゆえにこのように1つの月に複数の誕生石が存在することもあります。

ではここからは簡単に「ローズクォーツ」と「タイガーアイ」について紹介していきます。どちらもとても個性的で素敵な宝石ですので、ぜひ確認してみて下さい。

10月の誕生石、ローズクォーツ

10月の誕生石、ローズクォーツの解説

クリスタルクォーツは水晶のことですが、ローズクォーツはピンク系の色合いをした水晶のことです。和名は「紅水晶、紅石英、バラ石英」と呼び名はいくつかあります。

美や愛を象徴する宝石としても知られ、古代ローマやエジプトでは美しさの秘薬として使われたとも伝えられています。ローズクォーツはパワーストーンとしても人気で、恋愛成就のお守りとして身に着ける人も多くいます。

10月の誕生石、タイガーアイ

10月の誕生石、タイガーアイの解説

タイガーアイは褐色・茶色・金色などの縞模様が個性を見せる宝石です。和名はその名の通り「虎目石」と呼び、日本では古くからとても人気のある宝石です。

タイガーアイはその名のとおり虎の目のような光沢のある輝きが特徴で、古代エジプトでは神々の像の目にこのタイガーアイを使いました。日本でも虎は特別な存在とみなされていましたが、古代ローマではこのタイガーアイの特別性を信じ、戦士のお守りとしても利用されていたと言われています。

ブルータイガーアイ・アイアンタイガー・レッドタイガーアイ・ゴールデンタイガーアイ・ホワイトタイガーアイなどその種類も様々ですが、どのタイガーアイも安心した力強さを感じられます。

10月の誕生石、最後に

10月の誕生石の説明についてのまとめ

10月と言えば1492年の10月12日に歴史的発見がありました。その主役はあのコロンブスです。彼はサンタマリア号でスペインから西まわりでインドを目指しました。そして西インド諸島だと思い込んで到着したのは、実はアメリカ大陸の南東に浮かぶカリブ海諸島でした。

この予期していなかったアメリカへの航路と大陸の発見により、世界の歴史は大きく変わっていくことになります。

宝石は数多くあります。しかし多くの人々が興味を持つのはその中のほんのわずかな宝石だけと言われています。もし様々な宝石に目を向けると、約500年前のコロンブスのように予期せぬ発見を宝石の中に見つけることが出来るかもしれませんし、宝石がそれを導いてくれるかもしれません。

今回は10月の誕生石であるオパール・トルマリン・ローズクオーツ・タイガーアイを紹介しました。10月の誕生石、種類は4つのみですが、色や模様は様々でまったく同じ宝石はありません。ぜひ見た目も性格の違う一つ一つの宝石からお気に入りを見つけてみて下さい。

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