
天然石やジェムを扱っているお店に行くと「クリスタル」「水晶」「クォーツ」と書かれた透明な石を見かけることがあります。同じように見えるけれど、別の石なのでしょうか?
実は、「クリスタル」「水晶」「クォーツ」はいずれも同じもの。「石英」が結晶化してできた鉱物なのです。
今回は、「クリスタル」の名前の由来や、クリスタルをシンボルストーンとしたアニバーサリー、石言葉などクリスタルについて紹介しています。 オールマイティなパワーを秘めたクリスタルの魅力をご堪能ください。
クリスタルの鉱物データ

英名 | Quartz |
和名 | 水晶 |
化学式 | SiO2 |
色 | 無色透明をはじめとして、内包物によりピンクや紫・黒などがある |
モース硬度 | 7 |
屈折率 | 1.54 - 1.56 |
結晶系 | 六方晶系(三方晶系) |
比重 | 2.65 |
誕生石 | 4月 |
主な産地 | ブラジル、ヒマラヤ、日本、マダガスカル、中国、アメリカなど |
石言葉 | 完全・純粋・繁栄・神秘・浄化など |
クリスタルとは

日本でクリスタルと呼ばれている鉱物は、「石英」という二酸化ケイ素が結晶化してできた天然石を指します。
和名では「水晶」とも呼ばれるポピュラーな天然石です。古くは「玻璃」と呼ばれたこともありました。
中には「クリスタル」と聞くと、スワロフスキーやバカラのグラスを連想してしまう方もいるかもしれませんが、スワロフスキーやバカラで使用されているものは、正式には「クリスタルガラス」と呼ばれる、珪砂(石英が砂状になったもの)にカリウムやソーダ灰などを混ぜて作ったガラスになります。
質が高いガラスはクリスタルのように無色透明になるため「クリスタルガラス」略して「クリスタル」と呼ばれていますが、「クリスタル」と「クリスタルガラス」は本来別物なのです。
鉱物としてのクリスタルの特徴
クリスタルの主成分となる石英は、六角柱状の結晶体になるものが多いのが特徴です。無色透明のものが多いですが、クリスタルの仲間には、シトリン(黄水晶)やアメジスト(紫水晶)など内包物によりさまざまなカラーを持ったものがあります。
モース硬度は7で、ダイヤモンドやルビーなどに次ぐ硬度を持っています。一定方向に力が加わると割れる「劈開性」などはなく、基本的に扱いやすい鉱物であるため、
デイリーユースのアクセサリーなどとしても加工しやすく使いやすいといえるでしょう。

クリスタルの名前の由来

本来「クリスタル(crystal)」とは、「結晶」の意味を持つ単語です。その語源はギリシア語の「Kryos」で、「氷のように冷たい」という意味があります。
クリスタルは、山岳地帯のなかでも水源があるほど奥深いエリアから採掘されることが多かったため、古代の人はクリスタルを「氷の一種」もしくは「氷の芯となる部分」だと考えていたようです。
面白いことにクリスタルを「氷の一種」だと考えていたのは、西洋だけではありません。日本でも、クリスタルの和名でもある「水晶」を江戸時代の人々は「水精」と記述していました。
この「精」は、「混じりけのないもの」という意味です。「混じりけのない水(純水)が固まったものがクリスタル(水晶)だと思われていたのでしょう。
クリスタルの現在の呼称
以前はクリスタルを海外でも「ロッククリスタル」などと呼んでいましたが、現在は海外では「クリスタル」は「結晶」全般を指す言葉として定着しています。
クリスタルと呼ばれていた鉱物は現在では「クォーツ(quartz)」と呼ぶことが一般的になっています。
クリスタルの産地

クリスタルは、採掘できる鉱山がとても多いのが特徴です。
代表的な産地としてはブラジル、ヒマラヤ、マダガスカル、中国、アメリカが知られていますが、世界各地で採掘されています。
日本でもクリスタルは採掘されており、山梨県北部、愛知県春日井市、岐阜県中津川市が良く知られる産地です。
クリスタルの日本での扱い
日本でも古くからクリスタルは産出されていました。特に「草入り水晶」と呼ばれるガーデンクォーツがよく産出されています。
弥生時代ごろには勾玉などの装飾品としてすでに用いられていた様子で、豪族などの古墳からも出土しています。また正倉院の所蔵品のなかにもクリスタルを用いたアイテムが多数あることでも知られています。
江戸時代の書物には、冷え性などの薬として粉末状にしたクリスタルを薬草と混ぜて服用したという記録もありますが、効果のほどは分かっていません。
その後、明治時代になると、外国との貿易を始めた日本の代表的な輸出物となっていくのです。
日本に多大な利益を与えたクリスタルでしたが、現在では製品になりうるような質の高い水晶は、国内では枯渇したとみられています。そのため国産のクリスタルは今後ますます希少価値が高まるでしょう。
アニバーサリーを彩るクリスタル

無色透明で、澄み切った水のような美しさをもつクリスタルは、さまざまなアニバーサリーの象徴的存在として、守護的存在として名を知られています。
代表的なものとして、
- 4月の誕生石
- 結婚15周年(水晶婚式)のシンボル
- 獅子座の星座石
などがあります。
クリスタルの石言葉

数々の象徴ともなるほどの、パワーを秘めたクリスタルですが、ここからはクリスタルの石言葉についてみていきましょう。
クリスタルの石言葉には
- 純粋
- 繁栄
- 開拓
- 開運
- 調和
- 浄化
などがあります。 いずれも凛とした涼やかさをもつクリスタルのように潔く、また前に向かって歩き出そうという意味が感じられる言葉ですね。
クリスタルのヒーリング効果
では、石言葉を踏まえたうえでの、クリスタルの効果とはどのようなものがあるでしょう。
- 願いを叶えたい
- 健康で美しくなりたい
- 金運、恋愛運、仕事運などすべての運をアップさせたい
- 邪悪なモノを撃退したい
- 良好な人間関係を構築したい
など、さまざまな願いに対してほぼオールマイティな効果が期待できます。
何かひとつ強力なおまもりとしてパワーストーンを持ちたいと考えている場合は、クリスタルを選ぶといいでしょう。
クリスタルのお手入れ・浄化方法

モース硬度がダイヤモンドなどに次ぐ7もあるクリスタルは、お手入れが非常に簡単な鉱石の1つです。
汗や汚れが気になった場合は水で湿らせた布やセーム革でふき取ってください。落ちにくい汚れは、中性洗剤を使って洗った後、水で洗い流し、丁寧に水気をとりましょう。アクセサリーなどで、ほかの石がついている場合は、そちらの石に合わせた清浄を行ってください。
浄化の方法も特に種類を問いません。流水・塩・日光浴・クラスタ・月光浴・セージの中で、その時の気分などに合わせて浄化を行います。
浄化の際も、組み合わせているほかの石があれば、そちらの石に合わせた方法を選ぶことも忘れずに。
まとめ

クリスタルは、古代より私たちに寄り添い、パワーを与えてくれていた石の1つです。透明度の高いクリスタルを見ていると、昔の人々が「水」「氷」を連想したのもうなずけますね。
残念ながら日本では、宝石質のクリスタルは枯渇したとみられていますが、現在でもキャンプなどに出かけた沢などの水辺で、小さなクリスタルを見つけられるかもしれませんよ。それほど日本でもよく産出されていた鉱石なのです。 扱いやすく、オールマイティな効果を見せるクリスタルを、ぜひ身の回りに取り入れてみてはいかがでしょうか?
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