長石|多くの宝石がある鉱物グループ

長石の特徴や種類などを解説。

宝石や天然石を見ていても、長石に分類されているものが多く、長石ってどんな鉱物の種類なのか疑問に思う方も少なくないのではないでしょうか。「長石」と一言で言っても、含まれている元素や作られた温度によって分類され、より細分化していくのが長石の特徴です。

今回は多くの宝石が属している鉱物のグループ「長石」について、特徴や分類を中心に詳しくご説明していきましょう。

この記事の内容

石英の鉱物データ

長石の硬度や和名などの鉱物データを解説
英名Feldspar
和名長石
分類ケイ酸塩鉱物
化学式(Na,K,Ca,Ba)(Si,Al)4O8、もしくは (Na,K,Ca,Ba)Al(Al,Si)Si2O8
白、灰色、青や赤がかった白、緑がかった白など
モース硬度6 - 6.5
劈開性どの長石かによって異なる
屈折率1.5
結晶系どの長石かによって異なる
断口貝殻状
条痕白色
比重2.5 - 2.7
光沢ガラス光沢

長石とは

長石とは、ナトリウムやカルシウム、カリウムなどの元素によって蘇生されたアルミノケイ酸塩鉱物の総称です。ナトリウムを含む長石は「曹長石」、カルシウムを含む長石は「灰長石」、カリウムを含む長石は「カリ長石」と呼ばれています。さらにこれらの3つの長石の成分のうち、カリ長石と曹長石からなるグループを「アルカリ長石」、曹長石と灰長石からなるグループを「斜長石」と呼び、より細分化されていきます。これら2つのグループについては、後ほど別項目で詳しくご紹介していきましょう。

長石のグループには、多くの宝石や鉱物が属していますので、長石のグループの石を並べてじっくりと観察し、比較してみるのもとても趣深いです。

さらに長石の特徴を見ていくと、長石は火山灰の中に1番多く含まれており、火山灰の中の無色の鉱物を調べると、そのほとんどがどれかの長石に分類できたということが多いです。火山灰の中に含まれる長石は無色のものが多いですが、微量に含まれる成分や含有物、ごく微量な放射線などの影響で白色、灰色、紫色、黒色、黄色、青緑色、淡緑色、桃色といった色合いが出てくることもあります。

長石(フェルスパー)の名前の由来

英名のフェルスパーの名前の由来は、2つの説があります。

1つは、「漂礫土中のへき開性がよく発達している石」というスウェーデン語です。漂礫土とは、氷河によって砕けた岩石の粒が、氷河が溶けたのちに、溶けた水や氷山によって運ばれて堆積したもののことをいいます。

2つめは、ドイツ語の「Feldspat」が由来だという説です。こちらは、英語の「Field」とへき開する鉱物全般を示す「Spat」が合わさった言葉になります。ドイツ語の由来では、長石がとても広範囲で見つけられることを意味しているという点も長石の特徴をよく表していると言えるでしょう。

長石の硬度

長石のグループに属する鉱物のモース硬度は、「6から6.5」ほどです。なかでも正長石はモース硬度6の標準鉱物として、利用されています。

長石の主要産地

長石の主要な産地を解説。

長石の主要な産地として有名なのは、イタリアやトルコ、中国です。

長石自体は地殻の中で最も普遍的にある鉱物で存在量も多いため、世界中のほとんどの岩石の中でみることができます。特に、花崗岩の60%、玄武岩の50%前後、長石が含まれているほどです。他にも、地下深い場所でできる深成岩や地上に出てくるまでに形成されてできた半深成岩、地上に噴き出たマグマが固まってできる火山岩の中にも長石は見られます。

アルプス性の熱水鉱床や地殻変動の際に作られる変成岩など、特殊な環境下で作られる岩の中にも長石がみられるのも長石の面白さの1つでしょう。

長石の分類

長石の種類にはどのようなものがあるのかを解説。

先ほどもご紹介した通り、長石は主に、「アルカリ長石」と「斜長石」の2つのグループに分かれます。 ここからは、それぞれのグループについて、より詳しくご紹介していきましょう。

アルカリ長石

アルカリ長石には、主に4つの天然石が分類されています。これらはどのような温度で形成されたかによって、特徴が大きく変わっていきます。また、アルカリ長石は花崗岩に多く含まれている点も特徴です。

正長石(オーソクレース)

長石のグループでアルカリ長石があり、その中にオーソクレース(正長石)がある。

低温から中温で形成された単斜晶系のカリ長石が正長石です。オーソクレースという英名は、ギリシャ語で真っ直ぐなことを意味する「Orthos」と、割れることを意味する「Klao」から命名されています。また、透明で菱形の氷長石というアルプス性熱水脈中で形成されるものは、「アデュラー」と呼ばれ人気があり、とても入手が難しいレアストーンです。

玻璃長石(サニディン)

アルカリ長石の中で美しい輝きをもつ玻璃長石は、ムーンストーンと呼ばれ人気がある。

火山岩の中でよく見られる玻璃長石は、高温で形成される単斜晶系のアルカリ長石です。単斜晶系はガラスのような光沢がとても特徴的な天然石になります。英名のサニディンの由来は、ギリシャ語で板を意味する「Sanidis」と見ることを意味する「Idein」から取られています。美しい輝きをもつ玻璃長石は、ムーンストーンと呼ばれとても人気です。

微斜長石(マイクロクリン)

アルカリ長石の中で青緑色の美しい微斜長石はアマゾナイト(天河石)と呼ばれる。

低温から中温で形成される三斜晶系のカリ長石が微斜長石です。パッと見は正長石とても似ていますが、晶系が僅かな差の分だけ異なるため、違うものとして扱われます。ちなみに、青緑色の美しい微斜長石は「アマゾナイト(天河石)」という呼び名の宝石として流通しています。

曹微斜長石(アノーソクレース)

高温で形成される三斜晶系のアルカリ長石が曹微斜長石です。微斜長石のカリウム分がナトリウム分に変わることで、曹微斜長石になります。この曹微斜長石も青白い光沢を放つものは、ムーンストーンという呼び名で流通している人気の宝石でもあります。

斜長石

斜長石は主に玄武岩の中で見られることが多い長石です。斜長石は以前は細かく分類されていました。ですが、今日では「曹長石」と「灰長石」の2つに分類して考えていくことが主流です。

曹長石(アルバイト)

斜長石の中でも、三斜晶系でナトリウム成分の高いものを曹長石と呼んでいます。ちなみに曹長石の英名のアルバイトは、ラテン語で白いものを意味する「Albus」に由来しています。

灰長石(アノーサイト)

斜長石の中でカルシウムを多く含む三斜晶系のものは灰長石と呼ばれ、ラブラドライトなどが人気である。

カルシウムを多く含む三斜晶系の斜長石のことを灰長石と呼び、分類されています。灰長石の名前の由来は、「灰」が日本語でカルシウムを意味することから命名されています。また、英名のアノーサイトは、ギリシャ語で斜めを意味する「Anorthos」と割れることを意味する「klao」が由来です。

ちなみに灰長石には、ラブラドライトサンストーンといった人気の美しい天然石も属しています。

アルカリ長石や斜長石以外の長石族の鉱物

アルカリ長石や斜長石以外の長石も存在し、ナトリウムやカリウムの成分がバリウムに変わってできたものや、霞石のように「準長石」と呼ばれる二酸化ケイ素が少ないマグマの中でできたものもあります。

長石のまとめ

長石のパワーストーンとしての効果、意味などを解説します。

長石のグループについてご紹介していきました。鉱物の組成まで見ていかないと分類できないものや、見た目だけでわかるものなど、鉱物の奥深さがとてもよくわかるのが長石の魅力です。長石は地球上でとても広範囲に分布していますが、同じ長石の仲間でも構成する元素や温度によって特徴が変わり、より様々な魅力が増えていくという点は、鉱物の面白さを教えてくれる天然石のグループでしょう。

また、本記事内でご紹介したように、アマゾナイトやムーンストーンなど宝石として人気がある長石の種類もあります。ですので、鉱物としての魅力を観察するだけでなく、実際にアクセサリーとして身につけてみて、肌感覚で長石の魅力や美しさを楽しむのも素敵な時間なのではないでしょうか。

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長石(フェルスパー)のアイテム一覧

このコラムで紹介している長石(フェルスパー)の天然石アイテムはこちらからご覧いただけます。

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