
今回は紫色が美しい天然石「エンジェルシリカ」について解説します。
実は「紫」という色は古来から特別視されていました。
日本の飛鳥時代には聖徳太子が冠の色によって階級を表わす「冠位十二階」を制定しましたが、最も階級の高い地位である「大徳」には濃い紫色、その次に「小徳」には淡い紫色が用いられたことも知られています。
日本だけでなく世界でも権威の象徴として紫が使われていましたが、その理由は色の貴重性と高い気品を感じさせる色だからです。
そんな高貴な色をまとった珍しい天然石エンジェルシリカ。今回はこの石の特徴や魅力に迫ってみたいと思いますので、ぜひ最後までお読みください。
エンジェルシリカの鉱物データ

鉱物名 | チャロアイト |
英名 | Angel Silica(Angelsilica) |
化学組成 | (K,Na)5(Ca,Ba,Sr)8[(OH,F)]|Si6O16|(Si6O15)2] |
色 | 紫・ラベンダー紫 |
モース硬度 | 4.5-6 |
結晶系 | 単斜晶系 |
比重 | 2.65 |
主な産地 | ロシア |
石言葉 | 安らぎ・冷静・浄化 |
エンジェルシリカはチャロアイトの一種
エンジェルシリカ(Angelsilica)は鉱物としての正式な名称ではなく、流通名になります。
鉱物としての正式名称は「チャロアイト」。チャロアイトと言えば、ラリマー、スギライトと並んで「世界三大ヒーリングストーン」に数えられる石の一つです。

チャロアイトに水晶の成分が混ざって生成されたものがエンジェルシリカです。
シリカ(silica)というのは二酸化ケイ素(SiO2・石英)のことを指し、水晶はそのシリカが結晶化してできた天然石のことを指します。
名前に「エンジェル」という言葉が付けられている理由については後述しますが、エンジェルシリカはチャロアイトの姉妹石であり、水晶が入り混じった天然石であるということをまず理解しておくと良いでしょう。
ちなみにエンジェルシリカという呼び名以外にも、「チャロアイトクォーツ」や「チャロアイトシリカ」と呼ばれることもあります。


透明感のある美しいラベンダーカラーが特徴

エンジェルシリカの最も大きな特徴は、透明感を感じる美しい紫色です。
ラベンダーカラーとも呼ばれ、その色合いからも水晶成分が入っていることを感じることができます。
エンジェルシリカの元となる鉱物であるチャロアイトはマンガン由来の紫色をしていますが、その色は濃く、さらに白と黒のマーブルシルク模様が見られるのが特徴です。
そんな芸術家が描いたようなチャロアイトの模様は深みがあり非常に力強いですが、エンジェルシリカは優しさや繊細さを感じることができます。
チャロアイトに水晶(クォーツ)成分が入ることで、二つの天然石の絶妙な調和が生み出されていると言えるでしょう。
ただエンジェルシリカもそれぞれの個体によって濃淡は異なります。石の奥まで見えているように思える淡い色合いと透明感を持つ個体もあれば、チャロアイトをわずかに薄くしたように見えるような個体もあります。 この濃淡の差は含まれる水晶成分の割合によって生じますが、色の濃いエンジェルシリカとチャロアイトの線引きが明確にあるわけではありません。
嫌味のない優しい気品を持つエンジェルシリカ

冒頭で紫色は「権威の象徴」として用いられてきたとお伝えしました。
聖徳太子が制定した「冠位十二階」の最高位「大徳」の色として採用されただけでなく、世界的にも似たようなことが行われてきたことは知られています。
それがよく分かる英語の言葉があります。
Born in the Puple
直訳すると「紫の中で産まれた」という意味の掴みずらい言葉になりますが、実はこれは「王族(貴族・特権階級)の家格に産まれた」という意味の言い回しになります。
実際に古代ローマ帝国時代、皇帝は自分以外の人々が紫色の衣類などを着用するのを禁止していたそうです。
紫色は身に着ける人の「身分や気品の高さ」を表しますが、主張の強い色合いの場合は「権威」という人の欲望や強い立場が透けて見えてしまうこともあります。
あまりにもそれが強いと印象は良いとは言えませんが、エンジェルシリカの紫色は水晶が持つ透明感によって権威性が和らぎ、「嫌味のない優しい気品」を感じさせてくれます。
そういった点からもエンジェルシリカは親しみやすいパステルカラーの紫色と言えますが、鉱物としては希少性が高く常時市場に溢れているような鉱物・天然石ではありません。
エンジェシルカの名前の由来

先ほど「シルカ」は水晶を構成する二酸化ケイ素(SiO2・石英)のことであるとお伝えしましたが、なぜ「エンジェル」という言葉が頭に付けられているか気になる人も少なくないでしょう。
これについては諸説ありますが、ミカエルという天使(エンジェル)に関係していると言われています。
ミカエルは天使の中でも最も位の高い大天使です。「大天使ミカエル」という名前を聞いたことがある人も多いでしょう。
大天使ミカエルは、キリスト教やユダヤ教の教典である聖書に記述のある翼を持つ人物像ですが、その大天使が纏う色(オーラ)の色の一つが紫色と言われています。
具体的にそこからどう繋がって「エンジェル」シルカと名付けられたかは推測の域を出ませんが、天使や宗教は崇敬の対象であると同時にヨーロッパをはじめとした多くの国の文化や芸術に欠かせない存在です。
したがって「神が創った溶けない氷」とも呼ばれている「水晶」の成分を含む紫色をしたチャロアイトを見て、「紫 ⇒ 大天使ミカエル ⇒ エンジェル」と結びつけ、神秘性を表現したのかもしれません。
エンジェルシリカのパワーストーンとしての効果

神秘的な話に関連して、エンジェルシリカのパワーストーンとしての効果についても紹介したいと思います。
エンジェルシリカはパワーストーンとしても人気です。
世界三大ヒーリングストーンであるチャロアイトに癒し効果の高い水晶成分も含んでいるため、高いヒーリング効果で大きな癒しを与えてくれるパワーストーンと言われています。
現代に生きる人々は仕事はもちろん、プライベートでも多くの困難やストレスを抱えがちですが、そんな苦しい気持ちを和らげて前に進む力をくれるのがエンジェルシリカのパワーストーンとしての効果です。
エンジェルシリカを身に着ける意味

エンジェルシリカのパワーストーンとしての力を信じるのであれば、ネックレスやブレスレットとして身に着けるとよい効果が得られるかもしれません。
日々のストレスを軽減するだけでなく、気持ちの持ち方も前向きにしてくれますので、今よりもポジティブに過ごすことも期待できるでしょう。
お守りのような形で携帯することもおすすめです。
何かあってもエンジェルシリカが守ってくれると思えば、今よりも自信を持って強く生きるきっかけにもなるでしょう。
スピリチュアルな側面を期待する以外にも、単純にアクセサリーとして身に着けることで自分を美しく彩ってくれるアイテムにもなります。
優しい気品を感じさせる色と自然由来の独特な模様は、身に着ける本人だけでなく周囲の人々の目も奪うでしょう。
色合いの濃さや模様は個体によってさまざまですのでさまざまなシーンに合わせてファッションに取り入れることも難しくありません。
アクセサリーコレクションに一つ、もしくは二つ程度加えておくと、オシャレの幅を広げることができますのでおすすめです。
エンジェルシリカの石言葉は「安らぎ・冷静・浄化」

宝石や天然石に付けられる石言葉(宝石言葉)。エンジェルシリカにも「安らぎ・冷静・浄化」という石言葉があります。
前述したヒーリング効果にも関係する石言葉になっているのが特徴と言えるでしょう。
心に安らぎを与えれば冷静さを維持することができます。冷静でいることができれば自分の置かれた状況もよく把握することができ、必要に応じて心を浄化しながら自分自身と周囲の人にも優しく接することもできるでしょう。
石言葉を重視して天然石を選ぶ人も少なくありません。
もし「安らぎ・冷静・浄化」が今の自分に足りていないと感じる方は、エンジェルシリカを手に取ってみてください。
劇的な変化があるかどうかは分かりませんが、少なくとも「心の拠り所」としての役目は果たしてくれるはずです。
最後に / エンジェルシリカの魅力

今回はエンジェルシリカについてお伝えしました。
紫色の天然石といえばアメジスト(紫水晶)を思い浮かべる人も多いと思いますが、エンジェルシリカも負けずとも劣らない美しさを持っています。
色合いだけでなく質感や模様も非常に特徴的で、幅広い魅力を持つ天然石と言えるでしょう。
ロシアの一部の地域でしか産出されない貴重なエンジェルシリカ。もし見かけても、次の機会にはもう無くなっているかもしれません。
色合いや模様が自分の好みに合うエンジェルシリカを見かけたら、「次」ではなく「その時」に思い切って購入してみてはいかがでしょうか。
きっとあとから振り返ったときに「よい決断だった」と思えるでしょう。それだけの魅力がエンジェルシリカにはあります。
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