
さまざまな色相を持つ宝石は数あれど、トパーズのようにさまざまな顔を持つものはあまり多くありません。
透明感の高い澄んだ色合いや神秘的な深い色の石、トパーズは種類によってその表情をがらりと変えます。この記事では、トパーズの魅力や歴史、様々な種類についてご紹介しています。
トパーズとはどんな宝石?

トパーズの和名は「黄玉(おうぎょく)」といいます。これはオレンジ系の石が多いことに由来した名前ですが、先にもご紹介したようにオレンジ系からピンク、ライトグリーンなどさまざまな色合いを持つ石としてもよく知られています。
色合いを変えたり、よりあざやかにするためにトリートメントと呼ばれる熱処理や照射処理が行われることもあります。トパーズの硬度は8と水晶よりも高く、宝石全般から見てもかなり硬いほうです。擦れなどにはかなり強いですが、衝撃に対する耐性があまり高くないので一定の方向に割れやすいという特徴もあります。
トパーズの持つ歴史とその産地

トパーズの歴史は非常に古く、紀元前から採掘が行われてきたといわれています。古代エジプトにおいて美しいオレンジ色は太陽神ラーの化身と考え、非常に大切にされてきました。また、古代ギリシャでもお守りとして用いられており、「トパーズ」という名前はギリシャ語で「探求する」を意味する「topazos」が語源だったとする説があるほどです。
しかしそのカラフルな色彩から、トパーズは他の宝石と誤認されることも多く、最も古いトパーズの採掘地として知られていた「トパジオス島(現・ザバルガード島)」では、実際に採掘されていたのはトパーズではなくペリドットだったといわれています。ロシア・ウラル山脈で初めて大規模な採掘が始まったトパーズですが、現在ではブラジルをはじめヨーロッパやアフリカなど、世界各地で採掘が続けられています。
パワーストーンとしてのトパーズの効果、石言葉
トパーズは11月の誕生石として、贈り物やお守りとして今も多くの方に愛されています。多彩なカラーを持つトパーズには、それぞれに石言葉がつけられていることもありますが、最も多いのは「誠実」「友情」「潔白」などの前向きな言葉たちです。
直感力と洞察力を高め、持ち主にとって最も必要なものが何かを指し示してくれる石ともいわれています。明るい未来を切り開くため、転職やキャリアアップをはかる方がお守りとして身につける事が多いのも特徴です。パワーストーンとしては、シトリンやアクアマリン、ペリドットなどと相性が良いとされています。

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トパーズの持つ意味

トパーズの魅力はその輝きと色の多様性だけでなく、石が持つ意味にもあります。特に、信頼と知性の象徴として、人々の心に長きにわたって影響を与えてきました。
信頼
トパーズは信頼の象徴とされています。その温かみのある色合いは、心を落ち着かせ、人との絆を深める力を持っていると言われています。友情や愛情の証として贈られることも多く、トパーズを身に着けることで、相手への信頼感を表現できます。また、この石は人々を結びつけ、コミュニケーションの架け橋となる力を持つとも言われています。信頼は人間関係の基盤であり、トパーズはその強固な絆を象徴する石なのです。
知性
さらに、トパーズは知性の象徴ともされています。クリアな発想や洞察力を促すとされ、特に学問や創造的な仕事に従事する人々にとって価値があるとされます。この宝石を身に着けることで、思考が明晰になり、新たなアイデアや解決策が浮かぶと言われています。知性は人間の能力を最大限に引き出す鍵であり、トパーズはその潜在力を引き出す手助けをしてくれるのです。
トパーズの種類
トパーズは、さまざまな色合いや表情を持つジェムストーンです。ここではバリエーションに富んだトパーズの種類についてご紹介しています。
ブルートパーズ

澄んだ青が特徴のブルートパーズは、トパーズの中でも特に人気の高い石です。青とひとくちにいっても色の濃さによって、呼び名が変わります。
アクアマリンにも似た淡いブルーのものを「スカイブルートパーズ」。またスカイブルートパーズよりも鮮やかで濃い「スイスブルートパーズ」は、紺碧の海のような清涼感のあるブルーが特徴です。そしてブルートパーズの中で、最も価値が高いとされているのが「ロンドンブルートパーズ」です。他の二つよりも色合いが深く、グレーやグリーンのトーンが混じっています。深い森のような、神秘的で落ち着いたブルーのトパーズです。
このブルートパーズ、天然のものは流通量が非常に少ないうえに、色も淡いものがほとんどです。現在ブルートパーズとして販売されているものは、無色のトパーズに電子や放射線を照射して高熱で処理したものなのです。かつてあまり珍重されていなかった無色のトパーズが、化学の力で美しいブルートパーズに生まれ変わったというわけですね。
ブルートパーズの価値は、色の鮮やかさやカラットの大きさによって変わります。いずれも比較的流通量が多いので、予算や好みに合わせて自分だけの石を選ぶことができるでしょう。
ピンクトパーズ

ピンクトパーズとは、無色のトパーズにコーティングと加熱処理を施してピンク色にしたものです。非加熱の天然ピンクトパーズもありますが流通量が非常に少なく、インクルージョン(内包物)のないものとなると、なかなか見ることはできません。
加熱処理を施したピンクトパーズは彩度が高く紫がかったピンクが特徴で、カットや処理によってさまざまな表情を見せてくれる石です。可愛らしい雰囲気にも、上品にも仕上がるので、デザインのインスピレーションを刺激してくれそうですね。
ホワイトトパーズ

ホワイトトパーズはカラーレストパーズとも呼ばれており、水晶のように無色透明が特徴です。ブルートパーズやピンクトパーズのもとになる石で、照射処理や熱処理を行ってさまざまな色合いを生み出します。
処理前のシンプルな無色の石を好む方も多く、さまざまなカットを施したものが流通しています。比較的安価で手に入りやすいため、好みのものを探しやすいのも特徴です。
ミスティックトパーズ

トパーズは熱処理によってさまざまな色合いを引き出したものが多くみられますが、その中でもちょっと変わった色合いを持つのがミスティックトパーズです。ブルートパーズやピンクトパーズのように熱処理をしたものですが、ミスティックトパーズの場合はチタニウムを蒸着させることで、角度によって複数のカラーが見える遊色効果を生み出しました。その玉虫色や虹にも似た色合いから、レインボートパーズとも呼ばれています。
製法が確立してから間がないこともあり、流通量はあまり多くありません。しかしさまざまな加工法が生み出され、よりクリアな輝きを持つものやブルー基調のものなどカラーバリエーションが増えています。
ブラウントパーズ

これまでご紹介してきたトパーズのカラーバリエーションは、熱処理やコーティングなどで色をつけたものでしたが、ブラウントパーズの場合はほとんどが天然色です。
シトリンにも似た薄い琥珀色から、深みのあるブラウンまでさまざまな色合いがありますが、いずれもとろりとした光沢と表情豊かなインクルージョン(内包物)が魅力です。薄いブラウンのものをシャンパントパーズと呼ぶこともあります。色合いとカットによってイメージががらりと変わるので、幅広い世代に愛されるジェムストーンといえるでしょう。
インペリアルトパーズ

インペリアルトパーズは特定の色味を持つ天然色トパーズです。かつて皇帝の王冠に使用されたことから、主な産出地でもあるブラジルのドン・ペドロ皇帝にちなんでインペリアルトパーズと呼ばれるようになったといわれています。
インペリアルトパーズにはさまざまなカラーバリエーションがありますが、コニャックイエローやシェリーカラーと呼ばれるイエロー系のものが多く見られます。また、ピンク・レッド・オレンジの三色が複雑に入り混じったものはより稀少で、価値が高いとされています。
トパーズのモース硬度

トパーズのモース硬度は8とされており、これは宝石の中でも比較的高い硬度です。日常的に身につけるのにも十分な強さを持っているので、アクセサリーとしての使用にぴったりです。
傷つきにくく日常生活では安心して身につけられますが、強い衝撃を受けると割れてしまう可能性があるため、例えば重い物を持つ作業や、スポーツをする際は外しておきましょう。
汚れが気になるときは、ぬるま湯や石鹸水で優しく洗浄し、柔らかい布で拭き取るのが良いでしょう。強い化学薬品や熱水は避け、自然乾燥させることが大切です。
適切なケアを行い、トパーズの魅力を長く楽しみましょう。
まとめ
この記事では、トパーズの歴史や多彩なバリエーションについてご紹介してきました。カラーやカットでその表情を変えるトパーズは、アクセサリー作成のインスピレーションを無限に刺激してくれるジェムストーンのひとつです。たくさんの石の中から、自分だけのお気に入りを見つけたいですね。
トパーズの鉱物データ
英名 | Topaz |
和名 | 黄玉(おうぎょく) |
分類 | ケイ酸塩鉱物 |
化学式 | Al2SiO4(OH,F)2 |
色 | 黄、橙、茶、桃、緑、青、無色 |
モース硬度 | 8 |
劈開性 | 完全(水平方向) |
屈折率 | 1.62-1.63 |
結晶系 | 斜方晶系 |
断口 | 亜貝殻状-凸凹状 |
条痕 | 白色 |
比重 | 3.49-3.57 |
光沢 | ガラス状 |
石言葉 | 誠実 |
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