スピネルは、とてもたくさんの色合いを持つ魅力的な天然石です。王侯貴族たちとの逸話も数多く見られ、美しい輝きで人々を魅了してきたスピネル。新しく誕生石にも認定され、宝石らしい歴史を持つ華やかな宝石・スピネルを追って行こうと思います。
スピネルの鉱物データ
英名 | Spinel |
和名 | 尖晶石(せんしょうせき) |
分類 | 酸化鉱物 |
化学式 | MgAl2O4 |
色 | 桃、紅、黄、橙、褐色、無色、青、緑、紫、茶、黒 |
モース硬度 | 8 |
劈開性 | - |
屈折率 | 1.71-1.73 |
結晶系 | 等軸晶系 |
断口 | 貝殻状 |
条痕 | 白色 |
比重 | 3.60 |
光沢 | ガラス状光沢 |
主な産地 | ミャンマー、アフリカ |
石言葉 | 果敢、活力、自己達成、カリスマ性 |
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スピネルとは
スピネルの特徴
スピネルはとてもたくさんの色合いを持つ天然石で、ブラックやレッドが一般的に有名です。他にも、ピンク、オレンジ、ブラウン、グリーン、ブルー、無色とバリエーション豊富で、濃淡の違いまで見ていくと絵の具のパレットが出来上がるくらいの種類があります。この様々な色味は石が含有する鉄、クロム、マンガンなどそれぞれ微妙な量の違いによるものです。
全体に透明感があり、宝石にするとカットが非常に映えてきらきらと美しく輝きます。これはスピネルが持つ結晶の屈折率が高く、緻密にカットすることでよりいっそうきらめきが増すためです。このように美しく上質な姿をしているため、化学的な鑑定が発達していない時代には長らくレッドスピネルとルビー、またブルースピネルとサファイアなどが混同されてきました。
スピネルの名前の由来、和名
スピネルの名前は、ラテン語で棘(とげ)を意味する「Spina(スピナ)」やギリシア語で火花を意味する「Spitha(スピタ)」に由来します。スピネルはもともと八面体結晶を持っており、その先端は鋭く尖っています。産出する際にこの先端が母岩から顔を覗かせて、棘のように見えることから命名されたようです。
和名は「尖晶石(せんしょうせき)」で、こちらの由来も同じと考えられますね。しかし、このスピネルという名前がついたのは18世紀に入ってからだそうです。古くから採掘されていた記録があるにも関わらず、なぜ後になってからなのか。それはルビーと間違われてきたからなのです。鉱物の化学的組成が明らかになり、スピネルは八面体結晶を持つ構造がルビーと異なる点として、この2つは違うものだと認識されました。そこからスピネルの名が採用され、使われています。
スピネルの主な産地
カラースピネルの主要産地はミャンマーです。ちなみにミャンマーはルビーの一大産地であることからもこの2つの天然石が混同されてきたという想像がつきますね。カラースピネルの中でも有名なブラックスピネルはタイが主要産地です。
スピネルにまつわる歴史、伝説
これまでお伝えしてきたように、レッドスピネルとルビーが混同されていたことを物語るエピソードはたくさんあります。最も有名な逸話はイギリス王室の「黒太子のルビー」ではないでしょうか。14世紀のイギリス王朝皇太子エドワードがスペイン王から譲渡された王冠、その中央にあしらわれた140ctもの巨大なルビーが実はレッドスピネルだったのです。
宝石としてはルビーの方が価値があると考えられがちですが、現在の産出量で比較するとレッドスピネルはルビーの数分の1ともいわれています。そのうえ140ctというかなり大きなサイズであることを考えると、このレッドスピネルも十分稀少な宝石と言えますよね。
他にも、同じイギリス王室で代々受け継がれてきた352ctもの「ティムールルビー」や、15世紀のフランスでブルターニュ公フランソワ2世妃マルグリットのもとにあった「コートドブルターニュ」など枚挙にいとまがありません。こうした過程から、ルビーではないと判明した際には一時的に偽物のような扱いをされてきた過去もありますが、レッドスピネルもルビーと同様に非常に高い稀少性があり、間違いなく美しく特別な価値を持つ宝石として現代では愛されています。
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スピネルの種類、それぞれの石言葉と意味
ブラックスピネル
スピネルと聞くとまず思い浮かべることが多いのがこちらの黒色のブラックスピネルではないでしょうか。透明感はありませんが、なんといってもその魅力は美しい光沢感です。小さな原石でも細かくカットをほどこすと本当にきらきらと輝きます。
石言葉は「果敢」「破邪」「突破」とあり、魔除けの意味合いがあると信じられてきたことから付けられました。後述するスピネルの効果「グラウディング」の要素も色濃く持っています。
レッドスピネル
レッドスピネルは幾度となくルビーと間違われてきた歴史を持ちます。確かにそのはず、見た目は透明度の高い真紅でよく似て見えます。しかしレッドスピネル自体にも類まれな価値があり、人気の天然石です。またルビーと異なる点として、比べるとレッドスピネルの方が色味がより均一に見える場合が多いです。その赤色はルビーよりもやや朱色のニュアンスをまとってみずみずしく「ストロベリー・レッド」と表現されることもしばしばです。
石言葉は「活力」「勝利」「情熱」とあり、勝負運に効くという意味があります。石言葉についてもルビーと相通じる面がありますが、レッドスピネルの方がより力強い印象です。
ピンクスピネル
ピンクスピネルはレッドスピネルよりもわずかに淡い色味をしていながらも、やさしいパステルピンクからまるでネオンカラーのような鮮やかな濃いめのピンクまで豊富な種類があります。中でも特に濃い色合いのピンクは、時としてレッドスピネル以上の稀少価値を持つこともあります。見ているだけで心躍るそのカラーと輝きはカットにより最大限高められ、多くの方に愛される宝石です。
石言葉は「ポジティブ」「自己達成」です。物事に対するやる気を引き出してモチベーションをアップさせる意味を持ちます。確かにピンクスピネルの幸福なカラーを見ているだけで元気が湧いてきます。
ブルースピネルとコバルトスピネル
どちらもブルーの色味のスピネルですが、その色味の違いから区別されています。まず、ブルーの発色をするスピネルには鉄とコバルトが含まれています。ブルースピネルは鉄が多くコバルトが少ないもので、コバルトスピネルは鉄が少なくコバルトが多いものという分類がされます。色味の違いで見ていくと、コバルトスピネルの方がより鮮やかなブルーという印象を受けます。
コバルトブルーの…という比喩を見かけるときは明るくビビッドなブルーのイメージがありますよね。ブルースピネルはグレーやグリーンがかった落ち着いてシックな色味のブルーになります。こちらがよくサファイアに間違われたりもしてきました。コバルトスピネルの方が流通量が少なく、比べるとやや高価になることが多いですが、どちらも人気のあるスピネルのカラーバリエーションです。
ブルースピネルの石言葉は「審美眼」「美的意識」とあり、その美しさに見合う内面の輝きを意味しています。誇り高いイメージは古来よりサファイアと見なされてきたことからも分かります。
コバルトスピネルの石言葉は「成功」「カリスマ性」とあり、まさにそのコバルトカラーの稀少性が意味の由来となっています。カリスマ性をより引き出して成功へ導いてくれる特別さが伝わります。
新たな8月の誕生石となったスピネル
2021年、日本の誕生石がなんと63年ぶりに改定され、スピネルは8月の誕生石として新たに仲間入りをしました。たくさんのカラーバリエーションを持つスピネルなので、それだけでお誕生日シーズンが楽しくなります。カラーごとに異なる石言葉を持っている面も、贈り物として選ぶ際に気持ちが高まります。毎年違うカラーをチョイスして楽しむこともできますね。
スピネルのパワーストーンとしての効果と浄化方法
よく知られる効果
スピネルには「グラウディング」とよばれる効果があります。中でも特に、ブラックスピネルにその傾向が強く出る印象ですが、スピネル全体の効果として知られています。「グラウディング」とは、まず自身の精神と地球を結びつけ、次にそのつながりを強化することで、心の精神的エネルギーと肉体的なバランスを一段上の状態まで引き上げることです。これにより、精神的安定が得られて、肉体的・思考的にも冷静で穏やかになるといわれています。
また、勝利を呼ぶ石、目標達成に近づく、といった効果も持っています。これらはレッドスピネルやピンクスピネルでもフォーカスした効果で、判断力やエネルギーを底上げして目的まで駆け上がる力と励みを与えてくれます。いずれの効果も前向きで、自分自身を鼓舞してくれる頼りになるものです。
スピネルの浄化方法
スピネルは基本的に丈夫な天然石なので、特に慎重になる浄化方法はありません。しかし種類によっては長時間の太陽光に弱いため、晴れた日の直射日光は避けた方が良いでしょう。しっかりとした頼れる石ですが、お仕事やプライベートでの大事なタイミングに力を借りた時には、次の活躍のためにもゆっくりと浄化をしておきましょう。
スピネルのアイテム一覧
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