
スファレライトは、まばゆい輝きが特徴的な美しい宝石です。ですが、モース硬度も低く、衝撃にもあまり強くなかったため、長い間宝石としては注目されてなかった期間が長かった宝石でもあります。銀や鉛が取れる方鉛鉱と見た目が似ていたせいで、疎まれた時期もあったくらいです。ですが、今では評価も上がり注目が集まってきています。
美しい宝石の「スファレライト」について、今回は詳しくご紹介していきましょう。
スファレライトの鉱物データ
英名 | Sphalerite |
和名 | 閃亜鉛鉱(せんあえんこう) |
分類 | 硫化鉱物 |
化学式 | (Zn,Fe)S |
色 | 褐色、琥珀色、黒色 |
モース硬度 | 3.5 - 4 |
劈開性 | 四方向に完全 |
屈折率 | 2.37 |
結晶系 | 等軸晶系 |
断口 | 貝殻状 |
条痕 | 褐色 |
比重 | 3.9 - 4.1 |
光沢 | 樹脂・金剛光沢 |
主な産地 | スペイン |
石言葉 | 幻惑 |
スファレライトの特徴

スファレライトは大変まばゆい輝きを放つ美しい宝石として知られています。スファレライト内の鉄分の含有率は高く、その含有率によって、濃い赤いものから黒色で不透明な個体まで生じてくるのが特徴的です。カドミウムの含有率によって、スファレライトの見た目は赤い色が濃くなっていき、鉄の含有量が多くなるにつれて、黒や茶色が濃くなる傾向もあります。特に黒色が濃いスファレライトになりますと、「ブラックジャック」という呼び名で親しまれています。
透明度が高く見た目の美しいスファレライトは「クライオフェン」と呼ばれ、とても人気があります。スファレライトは硫化鉱物に分類され、硫化鉱物として純粋なスファレライトであるほど、白や黄色といった透明度が高い色合いになっていくのも特徴的です。
スファレライトの名前の由来

ギリシャ語の「sphaleros」が由来になっています。言葉の意味は、「まぎらわしい」です。これはスファレライトの結晶や見た感じが方鉛鉱という鉱物と似ている上に、同じ場所から一緒に産出されるため、方鉛鉱を狙っていた鉱夫の立場からしたら、まぎらわしいと思われていたことから、そう呼ばれるようになりました。
スファレライトの和名は閃亜鉛鉱で、さらに飴色のスファレライトのことを「べっ甲亜鉛」と呼んでいます。「べっ甲亜鉛」はスファレライト内の鉄分が少ないことで飴色のように見えています。
スファレライトの硬度
スファレライトのモース硬度は3.5から4ほどで、宝石の中では低い値です。ですので、モース硬度が4以上の宝石と一緒に保管すると傷がついてしまう恐れがありますので、気をつけましょう。また、強い衝撃を加えると割れてしまうこともあります。強い力でスファレライトを拭いたり、超音波洗浄したりするのも避けるようにしてください。
スファレライト自身、酸に弱いという性質もあります。特に、塩酸と触れてしまうと、硫化水素を発生させてしまいますので、塩酸が入っている洗剤の近くには置かないようにしましょう。
高い屈折率をもつスファレライト

スファレライトは2.37という高い屈折率を持っているため、とても綺麗にまばゆい光を放つ宝石です。良質なスファレライトにおいては、ファイアと呼ばれる虹色の輝きを確認することができます。ファイアが見られるスファレライトのことを「幻惑の石」と呼ぶこともあるほどです。
スファレライトの綺麗なまばゆい光は古くから知られていましたが、モース硬度や劈開性からもわかるように、傷がつきやすく壊れやすいことでなかなか宝石として扱えなかった過去がありました。
ちなみに和名の「閃亜鉛鉱」は「するどく輝く亜鉛鉱」という意味ですので、和名にもスファレライトのまばゆい綺麗な輝きが関わっている点も、素敵な名前の由来なのではないでしょうか。
スファレライトの主要産地

スファレライトの主要産地は、スペイン。特にスペインの中でも、ピコス・デ・エウロパではとても品質の高いスファレライトが産出されるため有名です。
塊として産出するだけでなく、晶洞と呼ばれる岩石や鉱脈内の空洞では、スファレライトの結晶として産出することもあります。
スファレライトの歴史
古代のオーストラリアやアフリカ、アメリカの先住民たちがスファレライトを儀式に用いていたという記録もあります。また、擦り傷や切り傷、眼病の治療に使っていたという時代もありました。
1870年代からスファレライトと呼ばれるようになっていきます。鉛や銀が抽出できる方鉛鉱とスファレライトの見た目が似ているため、名付けて区別していました。スファレライトの存在は古代のローマ時代知られており、名前はなかったものの当時も似ている方鉛鉱との区別がなされていたとのことです。
モース硬度が低く、傷つきやすいため、昔から存在は知られていましたが、宝石としてはなかなか日の目を見ませんでした。むしろ、方鉛鉱とまぎらわしいため、発見されても疎まれることが多かった天然石です。
しかし、モース硬度が比較的低い鉱物のカッティング技術が高くなってきた近代になってからは、スファレライトの評価は大きく変わります。非常に美しい輝きから、宝石としての知名度も人気もどんどん上昇しており、今となっては大変人気のある輝きの美しい宝石としての地位を得ています。
今では、スファレライトは宝石としてだけではなく、亜鉛の原料になることがわかっているため、亜鉛の抽出に使われることもあります。過去と現在とで、技術が進歩したことで大きく評価が変わった石の代表例だと言えるでしょう。
まだまだ宝石としての歴史は浅いスファレライトですが、今後さらに大きく価値を伸ばす可能性もまだまだあるポテンシャルの高い宝石だとも言えます。
スファレライトの気になる石言葉
スファレライトの石言葉は「幻惑」です。この石言葉が、スファレライトのパワーストーンとしての意味や効果にもとても関わってきます。
スファレライトのヒーリング効果

スファレライトのパワーストーンとしての効果は、石言葉の「幻惑」ということがきっかけになっています。相手を魅了し惑わしていくだけでなく、自分自身の中にある本当の自分を引き出し、異性にアピールしていく力があります。男女関係なく内に秘めた色気を相手に伝えていく効果がスファレライトのパワーストーンとしての大きな効果です。
また、スファレライトは、孤独を癒すパワーストーンとしても効果を発揮します。独身の方や一人暮らしの方、心に何か満たされない感情がある方など、心の癒しにも効果があるパワーストーンであるため、そばに置いておくだけでも癒しの効果が期待できるでしょう。
スファレライトを身につける意味、おすすめの人
自分自身の魅力を高めたい人
スファレライトは、内に秘めた色気や魅力を引き出す効果があります。自信を持って異性にアピールしたい人や、より魅力的になりたいと願う人におすすめです。
人間関係を良好に保ちたい人
相手を魅了し惑わせる力を持つスファレライトは、人間関係をスムーズにする手助けをします。友情や職場の関係、恋愛関係など、あらゆる人間関係において、より良い印象を与えたい人におすすめです。
孤独感に悩む人
孤独を癒す力を持つスファレライトは、独身の方や一人暮らしの方、心に何か満たされない感情を抱える人に特におすすめです。その癒しの効果は、心の安らぎと満足感をもたらし、ポジティブな気持ちを引き出します。
スファレライトの浄化・お手入れ方法
おすすめの浄化方法
◎月光浴
満月の夜にスファレライトを窓辺に置くことで、月の光による穏やかな浄化が可能です。月光は、石のネガティブなエネルギーを取り除き、自然な形でリチャージします。
◎セージやパロサントでの煙浄化
セージやパロサントの煙を使ってスファレライトをくゆらせる方法も効果的です。聖なる植物の煙は、石から不要なエネルギーを浄化し、清めます。
お手入れ方法
◎柔らかい布での拭き取り
使用後は柔らかい布で優しく拭き、汗や油分を取り除きましょう。石の表面を清潔に保ち、輝きを維持できます。
◎水洗いの注意
スファレライトは水に弱いため、水での洗浄は避け、湿った布で軽く拭く程度にしましょう。また、高温や急激な温度変化も避けてください。
スファレライトのまとめ
スファレライトは時代によって宝石としての価値が大きく変わっていたシンデレラストーリーをもつ宝石です。誰もが見惚れてしまうまばゆい輝きは、スファレライトの歴史と共に大きな魅力でしょう。宝石のカッティング技術力の向上によって宝石として地位が変わってしまうという良い例なのではないでしょうか。パワーストーンとしても人の心を魅了するだけでなく、孤独感さえも癒してくれるという効果は、唯一無二なものでしょう。
今後もどんどんスファレライトの評価が上がっていくと予想されます。宝石としてだけでなく、観賞用に入手したいという方は今日が最安値かもしれません。明日以降の高騰も可能性として否定できないポテンシャルがある宝石です。鉱物としての鑑賞も、似ている方鉛鉱と並べながら違いはどこなのか探すという楽しみ方も、とても趣深いのではないでしょうか。

スファレライトのアイテム一覧
このコラムで紹介しているスファレライトの天然石アイテムはこちらからご覧いただけます。
表示するURL:https://www.kenkengems.com/?mode=grp&gid=2537377&sort=n