パライバトルマリン|彗星のごとく現れたスター宝石

パライバトルマリンのパワーストーンストーンとしての効果や意味を解説します。

目の覚めるようなネオン(蛍光)ブルーカラーがまぶしいパライバトルマリン。初めて目にした時にその現実離れした色味から、なにかの合成石だ!と感じたことをよく覚えています。自然でこんな色合いになるはずがないと。

1989年の華々しいデビュー以来、あらゆる名声をほしいままにしているパライバトルマリン。その希少な宝石の魅力や価値をお伝えしていきます。

この記事の内容

パライバトルマリンとは

パライバトルマリンの名前の由来や歴史を解説します。

パライバトルマリンは、1989年に宝石市場に彗星のごとく現れた、まるで蛍光のように鮮やかで彩度の高いトルマリンです。世界最大のミネラル・ショーであるツーソン・ショーで、これまで誰も見たことのないエレクトリックブルーの宝石が来るみたいだよ、という噂が噂を呼び、鳴り物入りでデビューを果たしました。噂に違わず美しく珍しい輝きを放つそのニューフェイスのトルマリンは最終日には2万ドルの大台を超えていました。

パライバトルマリンは、この道何十年の目の肥えた宝石商たちをことごとく虜にしてしまったのです。そこからスター宝石としての地位を駆け上がり、「世界三大希少石」のひとつとして呼ばれるまでになりました。

そもそもトルマリンとは、1つだけの鉱物の呼び名ではなく、30種類以上が属する鉱物のグループ名です。この中で、一般に流通している宝石の多くは、エルバイト/Elbaite(リシア電気石)という種類になり、パライバトルマリンもこちらに属します。エルバイトはとても幅広い色相を持っており、それがトルマリンの豊富なカラーにもなっています。

パライバトルマリンなどの寒色系、ピンクトルマリンなどの暖色系、イエロー系、褐色から無色まで、そのカラーバリエーションの多さは世界的に見てもトップクラスです。

パライバトルマリンの特徴

トルマリンに含まれる成分により出現する色調が異なり、パライバトルマリンはそこに含まれる銅によってあの特徴的なネオンブルーカラーが現れます。

ここで注目すべきはパライバトルマリンを構成している元素のバランスです。パライバトルマリンそのものを構成している元素のほとんどは地球の表層付近で形成されます。一方、色を構成している銅元素は地球の深部で形成されており、本来交わることのない2つの元素が奇跡的に共存するとても希少な宝石なのです。このように相反する元素が稀に共存している例は他にも見られます。

ルビー、エメラルド、アレキサンドライトなどで、クロムの性質と量によってその色味が異なりますが、いずれもクロム以外は地球表面近くで、クロムは地球深部と、同様の希少性を持ちます。ルビーやエメラルドの方が宝石としての歴史が古いため、クロムが希少な宝石の発色の元となることは有名でしたが、銅が元となる宝石はパライバトルマリンが初めての発見であったことも宝石界を大きく賑わしました。

非常に著名で高貴なルビー、エメラルド、サファイアと同様の稀な性質を持っていることが希少石という価値をいっそう引き上げています。そして、パライバトルマリンには内部のクラックや傷が見られるものが多いですが、これは異なる元素の共存の衝撃が影響しているとも言われています。

本当に自然の奇跡から生まれたカラーなのだと改めて実感しますね。 そうしたいくつもの奇跡から出来上がるために、当然産出量も少なくなります。もともと大きな原石は発見されにくい宝石ですが、小さなものでもはっきりと、それこそ暗闇の蛍光色のように輝くため、沢山の人から求められて愛されています。それによってまた、パライバトルマリンの希少性が高まっていくのです。

鉱物データ

項目データ
化学組成Na(Li,Al)_3Al_6(BO_3)_3Si_6O_18(OH)_4
青緑色、青色
硬度7 - 7.5
結晶系六方晶系
光沢ガラス光沢
透明度透明から半透明
屈折率1.614 - 1.666
二色性強い
分散0.017
主な産地ブラジル(パライバ州)、ナイジェリア、モザンビーク

パライバトルマリンの名前の由来、和名

初めてブラジルのパライバ州から発見されたため、パライバトルマリンと名付けられました。

トルマリンという名前自体は、セイロン島の現地語であるシンハラ語の「トゥルマリ(turmali)」が由来とされています。

「混ざりあった」という意味で、元々は違う石の呼び名でしたが、回りまわってトルマリンを指すようになったそうです。トルマリン自体は古くからある宝石なので、鉱物学が発達していない時期にルビーやサファイアなどと混同されていたであろうことは想像がつきます。

このあたりが由来の曖昧な原因の一つかと思いますが、長い歴史と神秘的なエピソードを持つ宝石にはよくある話ですね。ミステリアスさも宝石を輝かせる要素となります。 和名は「リチア電気石(銅リチア電気石)」といいます。電気石とは、加熱すると電気を帯びる性質を持つことから名付けられました。電気と聞くとビリビリという効果音のものを想像しますがそこは小さい鉱物なので、ホコリや灰を吸いつける程度です。その様子からヨーロッパではセイロン磁石とも呼ばれていたそうです。

この吸引の動作は静電気と似ていますが、摩擦ではなく加熱で起きるので静電気とは異なります。文字だけで見るととても強そうな「電気石」、そのイメージがなんとなくつきましたでしょうか。

パライバトルマリンの色の種類

パライバトルマリンの種類や特徴を解説します。

パライバトルマリンといえばあのブルーネオンカラーを思い浮かべることが多いと思いますが、イメージの中でそのブルーはどんな色調をしていますか?ブルーの中でも色調に幅があり、それもパライバトルマリンを稀有な宝石にしているものの一つです。そもそもパライバトルマリンとは、銅とマンガンを含むブルーからグリーンのトルマリンと定義されています。

実際に流通しているパライバトルマリンにはネオンブルーカラーのものから、ややエメラルドグリーンのニュアンスを含んだものまで色々です。ブルーの色味がそういったグラデーションになる要因は様々ですが、一つに銅とマンガンの含有量があります。銅がより多いとネオンブルーカラーよりになり、マンガンが多いとグリーンの発色が強くなってくると言われています。

パライバ州から発見された最初のパライバトルマリンはネオンブルーカラーをしており、その産地名も名前に入れこむことで見た目の印象と名前を一致させました。鉱物らしいシンプルな名付け方ですね。

しかしその後、パライバ州以外からもパライバトルマリンが産出されて、それらもパライバトルマリンと呼んでいいか議論がなされました。なぜなら産地が異なるだけでなく、色味もグリーンがかっていたり、濃淡についてもごく淡いものがあったりと幅広かったからです。最終的には前述の定義に落ち着き、現在では色調・濃淡ともに様々なバリエーションを楽しめます。ちなみにこうした議論は通常、もっと時間を要するはずのところを、異例のスピードで決着がついたとのことです。

世界中でパライバトルマリンがその希少性ゆえに求められており、いち早く市場の流れを戻しながら、盛り上げたいという関係者の情熱がうかがえますね。 ブルーよりかグリーンよりか、ぜひお気に入りの一つを探してみて下さい。宝石の中でも高価な部類に入りますが、だからこそ運命の一つに出会えたら、日々によりいっそうの華やかさを添えてくれるに違いありません。

パライバトルマリンの産地

パライバトルマリンの産地や特徴を解説。

パライバトルマリンが世界初で産出されたブラジルのパライバ州バターリャ鉱山をはじめ、ブラジルにはほかにも採れる鉱山がありました。しかし、パライバトルマリン登場直後からの爆発的な人気により需要が急激に伸び、もともと産出量の少ない宝石であったこともあり、閉山する鉱山も少なからずありました。そのため、現在でも特にブラジル産のパライバトルマリンは高価で手に入りにくいと言われています。

しかし産地は広がりを見せ、2000年代に入るとナイジェリア産やモザンビーク産といったパライバトルマリンが台頭します。この時に先ほどの呼称問題も出ました。確かにネオンブルーカラーをまとうものこそがパライバトルマリンだという意見も大事かもしれませんが、色調や濃淡の違いは他の宝石同様、確かな個性であり、選ぶ楽しみの一つになります。

あえて同じ名前の中で一つひとつのユニークさを眺める喜びは、ほかには替えがたい魅力がありますよね。

パライバトルマリンの歴史

非常に新しい宝石で、他の宝石が古代史からの歴史を持つのに対して、まだ現代史しか持ち合わせていません。

ブラジルのパライバ州バターリャ鉱山で初めて発見された当時、そのいまだかつてない鮮やかすぎる色味に、誰も天然石だと信じてくれなかったという話があるそうです。気持ちはとてもよく分かります。珍しいもの、目新しいものに慣れている現代で、しかも自然の恵みからこんな色の宝石が産まれただなんてすんなりと信じられないですよね。

だからこそ本物の天然石だと分かった途端に人気となったことにも納得です。

パライバトルマリンの価値

パライバトルマリンの価値や偽物、本物の見極め方を解説します。

産地や産出量の少なさからその希少性は日々高められており、それは金額にも反映されています。小さなものでも高額で、さらにクラックなどが少ない状態のものはかなりの高値で取引されています。発見当初からカリスマ的な魅力と人気を誇る、誰が見ても非常に価値のあるスターのような宝石です。

パライバトルマリンの石言葉と意味

パライバトルマリンの石言葉を解説。

パライバトルマリンの石言葉には、ルーツ、スタート、新鮮さ、希望、などがあります。「希望」はトルマリン単独の石言葉でもありますので、それが由来になっているようです。

ルーツやスタートというなにかが発生して始まるイメージは、鮮烈な初登場を遂げたパライバトルマリンにぴったりです。新鮮さも同様ですね。心機一転、また何かの区切りのタイミングにもふさわしいので贈り物としてもおすすめです。

パライバトルマリンのパワーストーンとしての効果

パライバトルマリンのパワーストーンとしての効果や取り扱い方法を解説します。

パライバトルマリンが持つパワーストーンとしての効果は、癒やし、浄化、自己肯定感があります。

癒やしや浄化といった柔らかなイメージは、華々しいパライバトルマリンの経歴を考えると意外かもしれません。しかしその優しげな効果もまた、その稀有なブルーカラーが由来になっているのです。

ブルーには、見た人が冷静さや誠実さといったイメージを持つことは心理学的に証明されており、世の中のあらゆるものはそういった目的で青色をしています。青信号などが典型例です。そのためパライバトルマリンにも、身につけた人に安心感をもたらす効果があります。さらにネオンブルーカラーの様子は、まるで宇宙から見た地球のような輝きだとも言われており、母なる地球を前にした安堵感と癒しをもたらしてくれます。

高嶺の花の代名詞のような宝石の一面だけでなく、包み込んでくれるような温かい癒しの効果も兼ね揃えているまさに万能な宝石なのです。

パライバトルマリンの浄化、お手入れ方法

おすすめの浄化方法

硬度としては硬い方に入るので、衝撃にはそこまで神経質にならなくても問題ありません。高温には弱いため長時間の直射日光には注意しましょう。

おすすめの浄化方法としては、セージ、月光浴、クリスタル、音などがあります。

困難な状況でも自分らしく前向きに過ごせたときや、疲れつつも大きな安心感に見守られて結果が出せたときなどには丁寧にお手入れをしてあげましょう。

日頃のお手入れの方法

ぬるま湯を使用し、柔らかい歯ブラシなどと中性洗剤で洗うことができます。急激な温度の変化によって損傷することがあるため、熱湯の使用は避けましょう。また、割れや欠けの原因となるため超音波洗浄機の使用も控えましょう。

オンラインストア
パライバトルマリンの素材一覧。

パライバトルマリンのアイテム一覧

このコラムで紹介しているパライバトルマリンの天然石アイテムはこちらからご覧いただけます。

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