
「ムーアカイト」という天然石をご存じでしょうか?
名前は知らなくとも、あたたかみのあるアースカラーのジェムストーンといえば思い当たる方もいるかもしれませんね。今回はムーアカイトの歴史や特徴など、さまざまな角度からご紹介します。
ムーアカイトの基礎知識
ムーアカイトは赤色、桃色、黄色、褐色、茶色、黒色、白色など、マーブルチョコレートのような質感とカラーバリエーションが豊富な天然石です。どっしりとした安定感と、大地の色を映すようなあたたかみのある色は、世代や性別を問わず多くの方に愛されています。
名前の由来・和名
オーストラリアのムーカ地区で大量に産出されたことから「ムーアカイト」と名付けられました。「ムーカイト」「モッカイト」「モーカイト」とも呼ばれていますが、すべて同じ石のことです。和名は「碧玉(へきぎょく)」とされていますが、実はこの和名はジャスパーという別の鉱石と同じものです。ジャスパーとは多結晶質の石英のなかでも、特に不透明なものを指しています。縞模様や目玉のような模様などさまざまな表情を見せ、古来から勾玉などに用いられてきました。
そして、ジャスパーの中でもさまざまな鉱石が混ざったものを「ムーアカイト」と呼ぶようになりました。そのため、ムーアカイトの和名も碧玉になったというわけです。ムーアカイトのモース硬度は7。アメジストやローズクォーツ、水晶と同程度の硬さを持っています。天然石の中では比較的硬いほうなので、取り扱いやすいといえるでしょう。
雨を呼ぶ石として珍重された歴史も

母なる大地を思わせるアースカラーが特徴のムーアカイトですが、オーストラリアの先住民であるアボリジニの文化にも深く根差してきました。アボリジニは数万年前からオーストラリア大陸で生活していたといわれており、ムーアカイトが大量に採掘されたムーカ地区にもたくさんの先住民が生活していました。
アボリジニアートと呼ばれる色鮮やかな手工芸品や装飾品など独自の文化を築いてきたアボリジニは、オパールや水晶などの天然石を霊石として珍重していたことが知られています。ムーアカイトもそのひとつで、「雨を呼ぶ石」や「大地の石」という呼び名で大切にされてきました。石の名前にも使われている「ムーカ」とは彼らの言葉で「流れる水」を意味するそうです。
アボリジニの人々は地下水脈を探すための石として、ムーアカイトを用いていたといわれています。現在でもアボリジニアートとしてムーアカイトを用いたアクセサリーや小物など、多くの手工芸品が製作されています。デザインのインスピレーションを得るのにチェックしてみるのもおすすめですよ。
ムーアカイトのパワーストーンとしての効果

パワーストーンとしてのムーアカイトは「明るさ」「発見」「決断力」などの石言葉がつけられています。どのシーンでも大切にしたい言葉ばかりですよね。困難に際した時も気持ちを明るく保つことで、新たな発見や正しい決断ができるようになるでしょう。石言葉からも分かるようにムーアカイトには心を癒し、メンタルを安定させる効果があるとされています。
・落ち着いた気持ちで受験にのぞみたい人
・転職に際して正しい決断を下したい人
・気持ちを明るく保ち、良い結果を出したい人
ムーアカイトの持つパワーには目標達成という効果も期待できるため、受験生や転職など人生の転機を迎えている方のお守りとしてもおすすめです。パワーストーンブレスレットやチャームとして複数のパワーストーンと組み合わせるなら、タイガーアイやリバーストーン、ローズクォーツなどがおすすめです。お互いの石の持つ力を引き立てあってくれるでしょう。
ムーアカイトの持つ意味

ムーアカイトには、心や精神に深く関連する意味が込められています。
精神的安定
日常の喧騒から一歩離れ、心の平穏を求めるとき、ムーアカイトは心の支えとなります。ストレスや不安が渦巻く瞬間に、静かに寄り添い、穏やかな心を取り戻す手助けをしてくれるのです。ムーアカイトの持つ穏やかなエネルギーは、私たちの内面に深く根を下ろし、心の波を静めてくれます。
自己表現の向上
ムーアカイトは自己表現の向上という意味もあります。内なる声に耳を傾け、自分の本当の感情や考えを周囲に伝える勇気をくれます。自分の意見をしっかりと持ち、それを適切に表現することに苦手意識を持つ人々にとっては、ムーアカイトは心強い支えとなります。
創造性の刺激
最後に、ムーアカイトには創造性の刺激という意味もあります。新しいアイディアを生み出すとき、ムーアカイトは無限のインスピレーションの源となります。クリエイティブな活動をする方に新しい視点を提供し、心を開放する助けとなる石です。
心を豊かにするムーアカイトの力を、ぜひ日々の生活に取り入れてみてください。
ムーアカイトは初めての天然石としてもおすすめ

マーブルチョコレートのようなあたたかみのある可愛らしい色合いのムーアカイトですが、天然石の中では決して高価なほうではありません。縞模様やマーブル模様のひとつとして同じものがない石の中から、自分だけのお気に入りを安心して選ぶことができるでしょう。
豊富なカラーバリエーションもさることながら、小さな丸ビーズからペアシェイプ、ラウンドカットなど、カットや形状によって雰囲気が異なります。豊富なカラーバリエーションを活かして、さまざまなテイストの作品が作れそうですね。ナチュラルなデザインと相性が良いですが、フロスト加工で表面のつやを消したものはシックでスタイリッシュな雰囲気にも。
これは天然石アクセサリーに共通して言えることですが、硬度の違う石同士を組み合わせてデザインする際は石同士がぶつからないよう配慮が必要です。編み込みパーツやウッドパーツを挟み込むことで、石に衝撃が伝わらないようにしましょう。
ムーアカイトのモース硬度

ムーアカイトのモース硬度は、6.5から7.0の範囲に位置します。比較的硬い天然石のため、日常的な使用において十分な耐久性を持っています。
衝撃に対しては強いムーアカイトですが、それでも傷つけないよう注意して扱いましょう。汚れが気になるときは、水で洗うことができます。ただし、長時間水にさらすことは避けましょう。
また、太陽光や月光を用いた浄化で石のエネルギーをリフレッシュするのもおすすめです。その際は、強い直射日光に長時間充てることは避けましょう。
石を大切に扱い、適切なメンテナンスを行うことで、ムーアカイトの魅力を長く保つことができますよ。
まとめ
この記事では、ムーアカイトについてご紹介してきました。ひとつとして同じものがない複雑な模様や、あたたかみのあるアースカラー。ムーアカイトはリーズナブルながら天然石らしさを最大限に楽しめる石です。
アクセサリーからコレクションまで「大地の石」の魅力を感じてみませんか?
ムーアカイトの鉱物データ
英名 | Mookaite(Jasper) |
和名 | 碧玉(へきぎょく) |
分類 | 二酸化ケイ素 |
化学式 | SiO2 |
色 | 白、黄、桃、灰、茶、赤色 |
モース硬度 | 7 |
劈開性 | - |
屈折率 | 1.53-1.54 |
結晶系 | 三方晶系 |
断口 | 貝殻状-凹凸状 |
条痕 | 白色 |
比重 | 2.61 |
光沢 | ガラス状光沢 |
石言葉 | 明るさ |
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