マラカイト|邪気を防ぎ、心身を癒す緑青の「眼」の石

マラカイトの特徴や歴史を解説。

マラカイトという天然石をご存知でしょうか?

名前に聞き覚えはなくても、孔雀が羽を広げたような独特の模様と、美しい緑色の石といえば思い当たる方も多いかもしれませんね。この記事ではマラカイトの持つ歴史や特徴などをまとめてみました。邪気を防ぐという緑青の歴史に触れてみませんか?

この記事の内容

マラカイトの基礎知識

マラカイトの基礎知識を詳しく解説。

マラカイトの特徴といえば、なんといっても美しい緑青とくっきりした縞模様です。その模様は研磨やカットの仕方によって孔雀が大きな羽根を広げたようにも、羽根の頂点にある丸い眼のような模様にも見えます。このことから、日本では孔雀石とも呼ばれてきました。

マラカイトの産地

マラカイトの歴史は古く最初の産出地は明らかになっていませんが、現在の主な産地はコンゴやロシアなどです。かつては秋田県の荒川鉱山でも採掘されていましたが、昭和初期には鉱脈が枯渇して現在では閉山となっています。現在流通しているほとんどのマラカイトはアフリカのコンゴのものです。

マラカイトは銅の二次鉱物であり、銅鉱床の上部に生成される鉱石です。先にご紹介した荒川鉱山も、銅を産出していた鉱山でした。

マラカイトの特徴

銅鉱石が二酸化炭素や地下水に触れると、酸化して結晶になります。それらが層になったものがマラカイトです。古くなった銅製品には緑青と呼ばれるサビが生じますが、その主成分とほぼ同じ構成物でできています。

ブルー・マラカイトと呼ばれる天然石もありますが、これは厳密にはマラカイトではなく成分が非常に良く似たアズライトという別の鉱石です。鉱床の環境や成分の違いでマラカイトとアズライトに分かれるため、ひとつの鉱床で共生していることも多いのが特徴です。

マラカイトとアズライトが混じりあった天然石は「アズロマラカイト」と呼ばれており、ブルーとグリーンが混ざり合った美しい模様が珍重されています。

アクセサリーやパワーストーンとしても人気が高いですが、さまざまな条件が重なって初めて生まれる鉱石であることから、非常に希少性が高くなかなか市場に出回りません。そのため、人工的に着色したアズロマラカイトも多く販売されています。

マラカイトのモース硬度

マラカイトのモース硬度は3.5~4.5と非常に低く、マーブル(大理石)やコーラル(珊瑚)と同程度です。

硬貨でも傷がつくほどの柔らかさなので、流通しているマラカイトは特殊な樹脂で加工して強度を高めてあります。それでもあまり強度はないので、取り扱いには充分注意することが必要です。

マラカイトの歴史

マラカイトの歴史や意味を解説。

「マラカイト」という名前の由来は、ゼニアオイ(mallow)を意味するギリシャ語「malache」に由来するという説と、同じくギリシャ語の「malakos(柔らかい)」に由来するという説があります。マラカイトの美しい緑をゼニアオイに見立てたという説と、マラカイトの繊細な柔らかさから命名したという説。どちらもなんとなくイメージが湧く由来ですよね。

マラカイトの歴史は非常に古く、紀元前3000年ほどにさかのぼります。古い記録では古代エジプトにおいて、マラカイトは化粧品としても用いていたといわれていました。

クレオパトラもマラカイトをアイシャドウとして用いていたとされていますが、マラカイトは肌に触れるとかぶれやすい性質を持っています。現在の研究では、実際には別のものだったのではないかと結論付けられています。

どこかエキゾチックな雰囲気は、現代に生きる私たちから見てもコスメとして使いたくなってしまう美しさですよね。

また、硬度が低いので粉にしやすく発色も良いため、世界各地で顔料や花火の発色剤としても活用されてきました。現在でも「岩緑青」と呼ばれる日本画で使われる緑色の顔料に、マラカイトが用いられています。

ウラル山地に大規模な鉱床があったロシアにおいて、マラカイトは建築の装飾材としても多用されてきました。

サンクトペテルブルクにあるセント・アイザック寺院では、柱などの装飾に大量のマラカイトが使われました。そして最も有名なものは、皇后エカテリーナ二世の冬宮(現エルミタージュ美術館)です。約2トンのマラカイトを使った「孔雀石の間」と呼ばれる部屋はゴールドとグリーンを基調にした装飾が非常に美しく、部屋そのものが美術品といっても良い気品に満ちています。

マラカイトで作られた豪奢な柱や置物は現在でも多くの人々を惹きつけ、エルミタージュ美術館の中でも人気の展示となっています。

マラカイトで作られた置物や柱はエルミタージュ美術館の中でも人気の展示物。

マラカイトは装飾品としてだけでなく、魔除けやお守りとしてもさまざまな国で昔から珍重されてきました。

眼の形をしたマラカイトを宗教的儀式に使ったり、邪気を払い除ける霊眼としてあがめていたと言い伝えられています。中性ヨーロッパでは、子どものゆりかごにマラカイトの護符を結び付けていたという伝承が残されています。

これはマラカイトに含まれる銅の成分が虫除けの効果を発揮していたという実用的な理由と、目玉にも似た同心円状の模様が邪気を払うイメージを持たれていたという二つの理由から生まれたものと考えられます。

マラカイトの価値

マラカイトはアメジストやラピスラズリ、トルコ石と同じく「半貴石」に分類されています。半貴石にはジュエリーのような基準は存在せず、価格と硬度が低いものというのが一般的な分類です。

とはいえ、宝石の美しさは硬度や価格だけで決まるものではありません。多彩な色彩や模様といった個々の美しさが重視されるのも半貴石の特徴です。価格帯が手頃ということは、自分だけのお気に入りを手に入れやすいという考え方もできるでしょう。

ひとつとして同じものがないのが天然石の特徴ですが、その中でもより美しいとされる模様や色合いはあります。マラカイトの場合、グリーンが濃く発色して縞模様がくっきりしているものが上質とされています。他にも眼のような模様がはっきり出ているものも愛好者が多く、珍重される傾向にあります。

マラカイトは半貴石の中でも、飛びぬけて高価な石というわけではありません。しかし模様の出方によってはかなりの高額で取引されることもあり、価格が変動しやすい石でもあるのです。

パワーストーンとしてのマラカイト

パワーストーンとしてのマラカイトは、強い邪気払いの力があると昔から信じられてきました。「目の石」とも呼ばれており、洞察力を高めて真実を見抜いて直感を助けるといわれています。視力低下や眼病から目を守ってくれるとも信じられており、昔から護符としても用いられてきました。

「目」に関するパワーが強いとされるのは、目に似た同心円状の模様がもとになっているものと考えられます。

また、マラカイトには高いヒーリング効果があるとされています。ストレスや緊張の緩和、痛みを軽減して心身を健やかに保つパワーを持っています。浄化作用も高いため、子どもに持たせるお守りとしても向いているパワーストーンです。

マラカイトの効果、意味

マラカイトは、心の平穏や集中力向上に効果があるとされています。

その鮮やかな緑色は、心を落ち着かせ、ストレスを和らげる力を持っています。また、創造性を高める効果も期待されており、アーティストやクリエイティブな仕事をする人におすすめできる天然石です。古くから身につけることで心身の安定をもたらすといわれ、守護石としても用いらてきました。

マラカイトの石言葉

マラカイトの石言葉には「再会」「恋の成就」「癒し」「魔除け」などがある。

マラカイトの石言葉に「再会」「恋の成就」「癒し」「魔除け」など、ポジティブで清浄な意味を持つ言葉が多く並んでいるのも特徴です。

再会

マラカイトは「再会」の石言葉を持ちます。長い間会えなかった人との再会や関係の修復に良い影響をもたらすと言われています。この石を持つことで、遠い人との心の距離が縮まり、再び絆を深めるきっかけになるかもしれません。

恋の成就

「恋の成就」もマラカイトの石言葉です。愛情の成就や恋愛関係の発展に寄与する力があるとされ、恋愛成就を願う人には特におすすめです。この石を身につけることで、恋愛運が高まり、願いが叶う可能性があると言われています。

癒し

マラカイトは「癒し」の効果があるとされる石です。心の傷を癒し、精神的な安定を促進する力があります。ストレスや心配事から解放され、内面からの穏やかさを取り戻す手助けをしてくれるでしょう。

魔除け

この石には「魔除け」の意味も込められています。邪悪なエネルギーやネガティブな影響から守る力があると信じられています。日々の生活での不安や恐れから守り、安心感を与えてくれます。

マラカイトの取り扱い方法

先にも解説したように、マラカイトは硬度が低い天然石です。そのため、取り扱いには注意を払う必要があります。

硬度の高い石や金属パーツと組み合わせたアクセサリーなどは、傷がついたり破損してしまうおそれがあります。また、紫外線にも弱いので、浄化にはセージや月光など負担がかからない方法を選びましょう。

マラカイト、まとめ

マラカイトは目のような模様や縞模様を持つ天然石。

マラカイトの歴史や価値について解説してきました。目のような模様や縞模様、ひとつとして同じもののないマラカイトは、お守りやアクセサリー、コレクションとしてひとつは持っておきたい天然石です。

ぜひあなただけのお気に入りの石を見つけてくださいね。

オンラインストア
マラカイトの素材一覧。

マラカイトのアイテム一覧

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