惑星のような深みのあるブルーが特徴のカイヤナイトは、天然石アクセサリーやパワーストーンの材料として多くの方に愛されています。この記事ではカイヤナイトの概要や産地、パワーストーンとしての石言葉、種類などについて解説していきます。
カイヤナイトとはどんな石?

カイヤナイトは「藍晶石(らんしょうせき)」という和名で呼ばれている鉱石です。カイヤナイトという名前自体は、ギリシャ語の「Kyanos(暗青色)」に由来があるといわれており、その名前の通り表情豊かなブルーのグラデーションが特徴です。
石の中に刃のような結晶が折り重なっている様子が非常に美しく、透明度の高いものほど価値が高いとされ珍重されています。とはいえ、細いライン状のグラデーションが入った石にはひとつとして同じものがなく、自分だけの石を探すという楽しみもある鉱石といえるでしょう。
カイヤナイトはネパールやブラジル、タンザニア等が主な原産地ですが、1700年代にはすでに「Cyanite(サイアナイト、のちにカイヤナイトと改名)」という名前で存在していたことが知られているなど、古くからその神秘的なブルーは人々に愛されてきました。
カイヤナイトは高温で焼成することで、耐火材料であるムライトやシリカなどの物質に変換されます。これらはガラスやセメントなどの耐熱材料としても利用されるなど、工業の面でも重要な鉱石のひとつです。
パワーストーンとしてのカイヤナイトの効果

カイヤナイトは「適応・純粋・清純・正常」などの石言葉が示すように、物事を正しく判断し、精神を安定させる助けになってくれるといわれており、他のパワーストーンの効果を引き出すサポートストーンとしても人気があります。
ラピスラズリやタンザナイト、ラリマーなどと相性が良いとされ、ハンドメイドジュエリーや天然石ブレスレットでよく組み合わされています。いずれもブルーを基調とした石で、カラーリングやデザインの意味からもぴったりなのですが、カイヤナイトは一定方向に割れやすいという特性を持っています。硬度の違う石同士を組み合わせる際は、間に小さいビーズやウッドパーツを挟む等、破損を防ぐ必要があるでしょう。
カイヤナイトの意味

カイヤナイトは、古くから心身のバランスを整える力があるとされ様々な文化で重宝されてきました。カイヤナイトが持つ意味について掘り下げていきます。
まず、カイヤナイトは「コミュニケーションと表現」の意味があります。この石は、自己表現を助け、人とのコミュニケーションを円滑にするとされています。特に、言葉による表現や創作活動に関わる人々にとって、インスピレーションを与える効果があると言われています。
また、「クリアな精神と集中力の向上」もカイヤナイトの意味の一つです。心の混乱を静め、クリアな思考を促すことで、集中力の向上に役立ちます。学習や仕事において、深い集中を必要とする場面でこの石を身につけるとよいでしょう。
さらに、「感情のバランスとヒーリング」という意味も持っています。感情の落ち着きを取り戻し、心の安定をもたらすため、ストレスや不安を感じる時におすすめです。また、トラウマや過去の傷を癒す効果も持っています。
カイヤナイトの種類
名前にも「青」を冠されているカイヤナイトですが、実はブルーだけでなくグリーンやオレンジなどさまざまな色のものがあります。ここではカイヤナイトの種類について解説しています。
カイヤナイト (ブルー)

ブルーカイヤナイトは先にもご紹介した、惑星のような複雑なブルーが特徴の鉱石です。カイヤナイトと同じ化学式で表される鉱石には、アンダリュサイトやシリマナイトがありますが、アンダリュサイトは赤みを帯びた色、シリマナイトはグリーンやブラウンのものが多くカイヤナイトとは色も形状も大きく異なります。このように、化学組成が同じでも結晶の構造の違いで色や形状が異なる石を同質異像と呼びます。
カイヤナイトの深いブルーはブルーサファイアなどと同じく、鉄とチタンによる発色です。青が深く透明度の高いカイヤナイトは、青い宝石の代表ともいえるサファイアにも匹敵する美しさだといわれており、大変珍重されています。
グリーンカイヤナイト

カイヤナイトが微量のバナジウムを含むことでグリーンに変化したのが、グリーンカイヤナイトです。瑞々しく明るいグリーンが特徴で、中の結晶が層になっている様子が非常に美しい鉱石です。基本的には透明度が高いものが珍重されますが、ミルキーな淡いグリーンの中にさまざまな形状の内包物(インクルージョン)が見える独特のニュアンスにもファンが多く、多くの天然石アクセサリーなどに使われています。
オレンジカイヤナイト

ブルーやグリーンしかないと思われていたカイヤナイトですが、2007年にタンザニアでオレンジ色のカイヤナイトが発見されました。暗めのオレンジ色はカイヤナイトとは全く違う雰囲気ですが、カイヤナイト特有のライン状の結晶はそのままです。ブルーやグリーンと比べて透明度が低いものが多く産出される傾向があるため、透明度が高いものはより珍重されています。
とはいえ透明度の低いオレンジカイヤナイトも、はちみつのようなとろりとした光沢はやさしく愛らしい雰囲気で、オリジナリティを活かしたデザインにぴったりです。さまざまなテイストのハンドメイドジュエリーに活用できるでしょう。
インディゴブルーカイヤナイト

インディゴブルーとは藍色をベースとした暗い青のことで、わずかにグリーンの混じった鮮やかな色合いが特徴です。デニムの染色材としてご存じの方も多いかと思います。
インディゴブルーカイヤナイトは独特の色合いと内包物(インクルージョン)のグラデーションが、引き込まれるような美しさを持っています。透明感のある淡いブルーグリーンのものから、深海のようなインディゴブルーのものまでさまざまな色合いの石がありますが、いずれもライン状の結晶や内包物(インクルージョン)が表情豊かで、デザインのインスピレーションを刺激される石です。
天然石素材としてのカイヤナイト

カイヤナイトを天然石ビーズとして扱う場合、注意するべきポイントがいくつかあります。カイヤナイトには、一定方向に割れやすい「劈開性(へきかいせい)」という性質があります。ダイヤモンドやカルサイト、フローライトなど劈開性を持つ鉱石は他にもありますが、カイヤナイトの劈開性は独特の性質を持っています。
これは四角い柱状をしている結晶の平行方面の硬度が「4」、一方、平行面と交差する垂直方面の硬度が「7」と、同じ鉱石でありながら硬度が極端に違うことが原因です。この性質から、カイヤナイトには「ディスシーン(二硬石)」という別名もつけられています。
天然石素材として販売されているカイヤナイトの多くは、結晶の間に樹脂を浸透させて強度を上げる含浸処理という加工をされていることがほとんどです。ブレスレットなどをデザインする時は、破損を防ぐため石同士がぶつからないようにしましょう。
カイヤナイトのモース硬度
カイヤナイトのモース硬度は4.5から7までと幅広く、めずらしい特徴を持っています。こんなにも硬度に幅がある理由は、カイヤナイトが異なる方向に対して異なる硬さを示すためです。そのため、カイヤナイトの扱いには注意が必要です。
カイヤナイトは比較的脆いため、衝撃や圧力に弱いです。日常のお手入れでは、柔らかい布を使用して優しく拭くのがよいでしょう。強い摩擦や圧力を避けてあげましょう。
またカイヤナイトを保管する際には、他の石や硬い物質との接触を避け、柔らかい布や専用の袋に入れて保管することで、傷や破損を防ぐことができます。
まとめ

この記事ではカイヤナイトの鉱石としての概要や種類、産地などについて解説してきました。惑星のようにも深海のようにも、見る角度や光の具合でさまざまな表情を見せるカイヤナイト。複雑なニュアンスを持つブルーと表情豊かなインクルージョンは、自分だけのハンドメイドジュエリーにぴったりですね。
カイヤナイトの鉱物データ
英名 | kyanite |
和名 | 藍晶石(らんしょうせき) |
分類 | ケイ酸塩鉱物 |
化学式 | Al2SiO5 |
色 | 通常 青色、緑色、褐色、白色、灰色、黒色 |
モース硬度 | 4~7.5 (方向により異なる) |
屈折率 | 1.71-1.73 |
劈開性 | 完全 |
条痕色 | 白色 |
結晶系 | 三斜晶系 |
光沢 | ガラス光沢 |
比重 | 3.53~3.68 |
愛称 | カイヤナイト、カイアナイト |
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