天然石の本を開いてみると、目次の一番はじめに載っていることが多いアイオライト。
アイオライトは一般的には知名度があまり高くない宝石ですが、石好きの方ならきっとご存知なのではないでしょうか。その色彩は、青かと思えば紫のような、グレーのような。はては赤みを帯びた色合いのものまで、多種多彩な表情を湛えた石「アイオライト」。
アイオライト。その秘められた魅力について、紐解いていきたいと思います。
アイオライトの鉱物データ
英名 | Iolite |
和名 | 菫青石 きんせいせき |
化学式 | (Mg,Fe)2Al4Si5O18・nH2O |
色 | 青 紺色 |
モース硬度 | 7 - 7.5 |
劈開性 | 明瞭 |
屈折率 | 1.53~1.57 |
結晶 | 斜方晶系 |
比重 | 2.60-2.66 |
誕生石 | 3月 |
石言葉 | 道を示す 誠実 貞操 徳望 |
アイオライトの魅力とは?

「海のサファイア」、「バイキングの羅針盤」。その所以たる、アイオライトの歴史

古き時代のバイキングたちは、大海への船出の際に「海のサファイア」アイオライトを持参していったといいます。
長い航海中の無事を祈る思いを込めたお守りとして、当時は重宝されていたとのこと。
また、それ以外にも石の持つ最大の特徴である「多色性」を活用し、羅針盤としての役割を果たしていたということなんです。
では、アイオライトの特徴である「多色性」とは、一体どんなものなのでしょうか。
アイオライトの持つ最大の特徴、「多色性」とは

アイオライトの現在の主たる産地はマダガスカル。他に、インドやスリランカ、タンザニアなど、多岐に渡ります。
また、鉱物学的な名前はコーディエライト(cordierite)といい、これは地質学者のルイ・コルディエ(1777 – 1861・フランス)から由来しているものです。
そんなアイオライトの「多色性」とは、シンプルに述べると「見る方向によってその色が変わる」ということ。
表面からみると青色なのに、真横90度の角度からは水のように透き通って見えることもあるというのです。
「ダイクロアイト(2色の石)」といい、その2色のコントラストがはっきりしているものほど高価とされています。
天然の鉱石なのに、見る方向によって色が変わる石。なんだかちょっぴりミステリアスで、ロマンのようなものも感じさせられますね。
アイオライトの石言葉、意味、効果

アイオライト(Iolite)は、菫青石(きんせいせき)という和名が示す通りに、青みがかった菫(すみれ)色が特長です。
サファイアにも似た青色で、スリランカの川底から採取されることもあってか「ウォーター・サファイア」とも呼ばれます。たくさんの異名を持つミステリアスさも、この石の魅力といえるでしょう。
石の持つ力としては、進むべき道筋、正しい方向への前進を促したり、目的を達成するための洞察力や直観力を向上させる力があるといわれています。目標に向かって進んでいく力をくれる存在として、バイキングたちから重宝されていたというのもうなづけますね。もっとも、航海の道しるべとして利用する際には、アイオライトの「多色性」を大いに活用していたようです。日光に向けてアイオライトをくるりと回すと色が変わる性質を利用し、羅針盤のように方角を割り出していたとのこと。
石言葉には諸説あり、「誠実」「穏やかな心」というものもあります。道しるべの役割を果たすという意味では、石言葉の中でも「自己同一性」が最もしっくりくるかもしれませんね。
またアイオライトは2021年12月20日に日本オリジナルとして3月の誕生石に認定されました。自分の誕生石・守護石として手に取ってみるのも良いかと思います。
アクセサリー素材としてのアイオライト
キラキラと閃光を発するアベンチュリン効果が魅力。ブラッドショットアイオライト

アイオライトの中でも近年特に人気を博しているのが、ブラッドショットアイオライト。
サンストーンに見られる、レピドクロサイトなどの内包物が含まれた、アイオライトをベースとした天然石です。
角度によってキラキラと内包物が閃光を発する、アベンチュリン効果が楽しめます。そのため、「アイオライトサンストーン」または「アベンチュリンアイオライト」とも呼ばれています。
キラキラと内包物が輝く様は、まるで夜空の星の輝きを切り取ったかのよう。ただ眺めているだけでも飽きが来ない、味わい深い魅力を放つ石なのです。
アイオライトの天然石ビーズ カボション ルース。

加工される天然石には、大きく分けてビーズ、カボション、ルースがあります。
アイオライトについては、天然石ビーズとタンブルカット、ボタンカット、ブリオレットカット、チップ(ミニタンブル)、そしてオーバルに加え、ペンダントやブレスレット等の品ぞろえもあります。
眺めているだけでも穏やかな気持ちへと心をいざなってくれそうな、天然のアイオライトならではの多彩な表情を持つ石たち。ハンドメイド作家さんや職人さんたちの製作へのイマジネーションを、きっと大いにかきたててくれることでしょう。
アイオライトの神秘的な輝きを、アクセサリー&ジュエリーへ。
青や菫色、グレーみがかったアイオライトは、落ち着いたベースカラーがなんといっても魅力です。
シックで合わせやすい色彩をまとったアクセサリーやジュエリーは、お守りがわりに普段から身に着けていたい、というニーズにもマッチします。
また、一般的にはあまりポピュラー過ぎない石のため、他人とは少し違ったアクセサリーやジュエリーを探している人にもぴったり。自分だけのオンリーワンジュエリーを求めているという人の目にも、きっと留めていただけるのではないでしょうか。
深みのある輝きを放つアイオライト。一般的な宝石に見られる華やかさ、「ゴージャス感」が苦手という人も、カジュアルに身に着けられそうな点が魅力です。
シンプルな一粒ピアスやペンダントなら、普段着スタイルのワンポイントとしてもしっくりと馴染み、さりげない存在感を放ってくれそう。Tシャツやブラウス、ニットのネックラインにもさりげなく、無造作なヘアスタイルの耳元にもシックで繊細な輝きのアクセントをプラスしてくれます。大小の大きさや形が異なるアイオライトを取り入れたデザインのピアスやペンダント、ネックレスも素敵ですね。
一方で、他の石を組み合わせたクリエイティブなデザインにも、アイオライトがさりげない輝きを添えてくれます。サファイア等の同系色の石と組み合わせたり、オパールやダイヤを中心にあしらったデザインにもぴったりです。

また、アイオライトを指輪にして身に着けると幸福が訪れる、という言い伝えもあるそうです。大ぶりなものから小さめな石まで、アイオライトには実にさまざまなバリエーションがあります。自分へのご褒美としても、ギフトアイテムとしても喜ばれそうな逸品をぜひ、手掛けてみてはいかがでしょうか。
お守りがわりの天然石ブレスレットとして、普段着スタイルの手元にプラスするのも素敵です。チェーンブレスレットのエンドに一粒あしらったデザインなら、ファッションのテイストを選ばず幅広く人気を博しそうです。
女性向けのデザインとしては、他人とは少し違った個性的なアクセサリー、ジュエリーをお好みの方に。深みのある落ち着いた輝きを放つアイオライトは、シックでスタイリッシュな男性向けのデザインにもフィットしてくれることでしょう。

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アイオライトのモース硬度
魅力的なアイオライト、この石のモース硬度は、約7から7.5とされています。
モース硬度スケールは、1(最も柔らかい)から10(最も硬い)までの数値で鉱物の硬さを表します。アイオライトの硬度は比較的高いため、日常的な使用においても耐久性がありますが、適切なケアが必要です。
アイオライトのケアとメンテナンス方法
- クリーニング:アイオライトは柔らかい布やブラシを使用し、温かい石鹸水で優しく洗うのが最適です。洗浄後は、必ず水分をしっかりと拭き取ってください。
- 衝撃からの保護:硬度が比較的高いとはいえ、強い衝撃を受ければ傷ついてしまいます。他の硬い物質との接触は避けましょう。
- 化学物質に注意する:日焼け止め、化粧品、洗剤などの化学物質からアイオライトを遠ざけることで、変色や損傷を防ぐことができます。
- 適切な保管:アイオライトは、柔らかい布や専用のジュエリーボックスに入れて保管することで、傷やほこりから守ることができます。
適切なメンテナンスをして、大切なアイオライトをずっと美しいまま楽しめるといいですね。
まとめ

アイオライトの魅力を紐解いていくと共に、こんなアクセサリーやジュエリーがあったらいいなという思いを後半には綴らせていただきました。
作品や製品作りをしていく中で、アイオライトという石の持つイメージが頭に浮かぶようになっていただければ幸いです。石を目にした際のインスピレーションに従って、作品や製品作りを思うがまま自由に楽しんでくださいね。
