奇跡の鉱物!希少石グランディディエライトの秘密と魅力

今回ご紹介するグランディディエライト(Grandidierite)は、何を隠そう個人的ランキング「声に出したい鉱物名ベスト3」に入っています。

グランディディエライトという宝石について解説

グランディディエライト!いい響き。強そう。高貴な感じもする…というわけで、どうしてこの名前が付いたのか、そもそもグランディディエライトとはどういった石なのか、ひもといていきたいと思います。ハンドメイドジュエリー素材としての適性やお手入れ方法などもご紹介するので、最後までお付き合いいただければ幸いです。

この記事の内容

グランディディエライトの鉱物データ

英名Grandidierite
和名珪酸塩鉱グランディディエ
分類珪酸塩鉱物
化学式(Mg,Fe2+)(Al,Fe3+)3(SiO4)(BO3)O2
通常 青緑~青
モース硬度7.5
劈開性1方向に完全、1方向に明瞭(計2方向)
屈折率1.578-1.639
偏光複屈折性 0.037-0.039
分散強い r<v
多色性明瞭~強い 緑青/無色/青緑
蛍光性通常 なし
比重2.85-3.00
誕生石該当なし
誕生日石該当なし
石言葉新たな冒険、旅立ち、ビジョン、集中
愛称グラン、グランディ、ディディエ、ディディ
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グランディディエライトの歴史と命名秘話

宝石の中にはラピスラズリやトルコ石など古代文明の時代から尊重されてきたものがある一方で、20世紀に入ってから発見された新宝石も色々あります。例えば、タンザナイトは今やメジャーな宝石の一員として12月の誕生石の座をいとめていますが、その発見は1967年と、意外と最近です。

グランディディエライトの発見は1902年

グランディディエライトが新鉱物としてこの世に姿を現したのは20世紀に入りたての1902年。フランスの鉱物学者、アルフレッド・ラクロワ(Alfred Lacroix)により、マダガスカルで発見されました。

その後、ニュージーランドやノルウェー、アルジェリア、イタリア、インド、カナダ、チェコなど、世界各地で発見が報告されたものの、ジェムクオリティのものが掘り当てられることはなく、宝石業界では永らく忘れられていた鉱物でした。

グランディディエライト、透明な結晶の出現は2003年

ところが、発見から100年後の2003年、1カラットに満たない小さな結晶ではあるものの、透明度の高い原石が初めてみつかりました。場所はスリランカでした。

理論上存在すると信じられていながらも長年発見されなかった「幻の青い宝石」としてのグランディディエライト。それが見つかったわけですから、当時は奇跡の石!と話題騒然でした。

さらに2014年、マダガスカルでも宝石質の原石が見つかり、その新たな鉱床では継続的に採掘され、2018年頃からツーソン(アメリカのミネラルショー)でもファセットカットされた宝石としてのグランディディエライトが並ぶようになりました。

グランディディエライトの名前の由来

さて、そんなグランディディエライトですが、発見者はラクロワさんですし、発見場所はマダガスカルのアンドラホマナです。いったいどこからこの名前が来たのでしょうか。

答えは、人名です。フランスの博物学者であり、探検家でもある、アルフレッド・グランディディエ(Alfred Grandidier)氏に敬意を表して、ラクロワさんが名付けました。

グランディディエ氏はマダガスカル研究の第一人者で、地理学、動物学、民俗学等、様々な見地からマダガスカルを研究・探検し、40巻にもわたるマダガスカル本を出版しています。グランディディエライトの他、動物や植物にもグランディディエ氏から名前をもらい受けたものはたくさんあって、例えばマダガスカルを代表する植物、バオバブもその一つです。

グランディディエライトの希少性

グランディディエライトの希少性を解説

2014年にマダガスカルであらたな鉱床が見つかり、マダガスカル産のグランディディエライトの原石は現在も発掘が続いています。

2014年から2016年にかけては、800キロの原石が採れたという報告もあります。それでも希少石と呼ばれるのか?不思議に思うかもしれませんね。

グランディディエライトが希少な理由

実はグランディディエライトは、大変インクルージョン(内包物)の混入が多い鉱物です。最初の発見から100年もの間、宝石質の原石が見つからなかった、というお話をしましたが、2014年から2016年に作られた800キロの原石にしても、そのうち透明度の高い結晶はわずか60グラムだそうです。

また、ジェムクオリティのグランディディエライトの採掘は、マダガスカルに限られています。マダガスカルの政府がグランディディエライトの輸出をコントロールしているという話もあり、事実、流通量は増えていないのが現状です。

レアストーンかつ高価な宝石かつ天然石素材

こうしたことから、宝石としてのグランディディエライトは超貴重なレアストーンだと言われています。2015年、『フォーブス』というアメリカの経済雑誌で、レッドダイアモンド、ターフェアイトに次いで 「世界で3番目に高価な宝石」 と評価されたこともあります。近年大変人気のあるアレキサンドライト、レッドベリル、ベニトアイトよりも上位でした…

一方で、半透明のグランディディエライトは天然石ビーズなどに加工され、比較的お手頃な価格で入手が可能なので、天然石ブレスレットの素材としてなど、活躍の場を広げています。レッドベリルやベニトアイトが天然石素材として流通しているところは見たことがありません。そういう意味でもグランディディエライトは珍しく貴重な石種といえるのではないでしょうか。

グランディディエライトの色と輝き

グランディディエライトの色についての説明

グランディディエライトの色とは

グランディディエライトの色を一言で表すとすれば「青緑」あるいは「緑青」です。ブルーとグリーンが絶妙に混在する、深い海のような色。英語では”teal (鴨の羽色)”と表現されることが多い気がします。

どこか和風な雰囲気もまとっていて、日本の伝統色では「鉄色(てついろ)」「青碧(せいへき)」「浅葱色(あさぎいろ)」などがグランディディエライトにぴったりだと思います。

この印象的なブルーグリーン(グリーンブルー)は、アルミニウム、マグネシウム、ボロン、鉄、等が混ざり合うことで生まれます。鉄分が多ければ多いほど、色が濃くなります。

宝石としてのグランディディエライトは、ブルーとグリーンの中間色で、色が濃く、ネオン感のあるものがトップカラーとされています。日本では水色に近い色味のものも人気があります。

グランディディエライトの輝きとは

ファセットカットされたグランディディエライトはよく輝きます。屈折率はトルマリン、トパーズ、ベリル(アクアマリンやエメラルド)に近く、光の分散度も強い、という性質があるからです。

また、グランディディエライトには、多色性が強いという性質もあります。多色性があるということは、見る角度によって見える色が変化する、ということです。

グランディディエライトは3色の多色性があると言われ、それらの色は「薄いイエロー~無色+グリーンブルー+ブルー」です。これらの色が複雑に絡み合って輝くことで、グランディディエライトの絶妙なカラーはつくられていると言えるでしょう。

下の画像は「二色鏡」という多色性を確認する道具で撮影したグランディディエライトです。ひとつの石の中に複数の色が隠れているのがわかるかと思います。

グランディディエライトには多色性が見られる。

グランディディエライトに似ている宝石

グランディディエライトは色や性質が似ていることからラズライト(Lazulite:天藍石)に間違えられることがあるそうです。

また、2019年に新しい鉱物として登録されたローレントーマサイト(Laurentthomasite)も色が似ていたり、産地がマダガスカルだったりということで、混同されて流通したこともあるようです(屈折率はグランディディエライトの方が高いです)。

色だけで言えばナイルブルートルマリンやブルーグリーンアパタイトなど、ブルーグリーン系の似ている石は意外とあります。

日本国内で話題になった時期がパライバトルマリンと被っているので、グランディディエライトとパライバトルマリンは何が違うのか?といった話題を耳にすることがありますが、個人的にはパライバトルマリンの方がネオン感が強く「南国のビーチ」的雰囲気があり、一方、グランディディエライトはメタリックな大人の輝きを持つ「南極海」かな、と思っています。

耳慣れない宝石が急に人気となったとき、その背景に『宝石の国』があったりしますが、グランディディエライトもパライバトルマリンも話題になったのが少し遅かったからか、今のところ『宝石の国』のキャラクターにはなっていません。もしかしたら今後登場することがあるかな、あるとしたらどんなキャラクターになるのかな、と考えるのは楽しいですね。

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グランディディエライトの石言葉、意味、効果

グランディディエライトの石言葉、意味、効果

なにしろ話題になったのが数年前でまだ歴史が浅い石なので、効果や効能などを言い伝えとして持っているパワーストーンのようなわけにはいかないのがグランディディエライトです。誕生石や誕生日石としての登録も残念ながらありません。

けれども、海外のパワーストーン系のサイトなどでは、「冒険」「ビジョン」「旅立ち」といった石言葉があるとされていたり、集中力を高める効果があるなどの説明がされていたりしています。これは、グランディディエライトが発見された経緯や、名前の由来が博物学者であり探検家でもあるグランディディエ氏であることが影響しているのかな、と思います。

また、鉱物学的に組成として「鉄(Fe)」を含むことから、「自信、内面の強さ、判断力」といった能力をUPするという説もあります。また、持ち主に対して正直であること、自分自身に忠実であることを促す力があると言われています。

グランディディエライトは、心の平和とバランスをもたらすとされ、ストレスや不安を和らげる効果があるとされます。また、創造力や直感力を高める効果もあると言われており、アーティストやクリエイティブな職業に就いている人にもおすすめです。

何か新しいことにチャレンジするタイミングで身に付けたり、お守り石やお供石として持ち歩いたりしたい石、ですね。

グランディディエライトのモース硬度

グランディディエライトのモース硬度は7.5です。これは、ガーネット並に擦り傷、ひっかき傷など面傷に強い、ということになります。アクセサリーとして身に付ける場合に、心強い数値です。

一方で、グランディディエライトには劈開(へきかい)性というものがあります。これは、鉱物がある方向に割れやすい性質のことを表します。グランディディエライトの劈開性は「1方向に完全&1方向に良好」、つまり、2方向に割れやすい、ということになります。

どんな天然石でも言えることではありますが、衝撃を与えた場合に割れる可能性がありますので、その点の取り扱いには注意が必要です。

とはいえ、加工された天然石は、その加工(カットや研磨)に耐えられた、ということですので、必要以上に怖がる必要はないかと思います。

天然石素材としてのグランディディエライト

グランディディエライトの魅力を解析

グランディディエライトの色の魅力

先の項目でご紹介した通り、グランディディエライトはブルーグリーン~グリーンブルーの色合いをしています。ブルーとグリーンの割合は様々で、ほぼブルーなものから、グリーンが強いものなど、カラーバリエーションは豊富です。

色の濃淡も様々で、明るいパステルカラーのものからしっかり色がのっているものまでありますので、天然石ビーズなどでハンドメイドジュエリーを制作する際には、グラデーションを組んだり色の配置を考えたり、楽しめる素材なのではないでしょうか。

お手入れ方法

グランディディエライトは問題なく水洗いができます。

ただ、先ほども述べた通り、劈開性がありますので、特にインクルージョン(内包物)が多かったりクラックが入ったりしているものについては、超音波洗浄は避けた方がいいと思います。

おすすめのお手入れ方法は、ぬるま湯に洗剤を溶かし、その中で柔らかいブラシを使う、というやり方です。その後は水ですすいでから柔らかい布で水分をとりましょう。

グランディディエライトとの相性

鉱物的に組成が近いとされるコーネルピンは、パワーストーン的には「新たな可能性」「本領発揮」といった意味合いがあるようなので、グランディディエライトとも相性がよさそうです。

2019年にはグランディディエライトがサファイアのインクルージョンとして発見されたことがあるので、サファイアやルビーなど、コランダムと合わせても面白いかな、と思います。

色という側面で考えると、いわゆる「ティール」の補色となるのは「コーラル」なので、ピンクオレンジコーラル(珊瑚)や、コーラルカラーのピンクオパールと合わせても、華やかになりそうです。

グランディディエライトのお手入れ方法を解説

まとめ

歴史、色、輝き、耐久性、何をとっても魅力的なグランディディエライト。夢とロマンがつまったこの奇跡の石を、機会があったら、ぜひ手に取ってみてくださいね!

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