
天然石の魅力は、自然が長い年月をかけて育んだ唯一無二の色や模様、そして内に秘めたエネルギーにあります。しかしその美しさは、日々のちょっとした取り扱いで大きく左右されてしまうことも。
「いつのまにか色があせた」「表面がくもってしまった」――そんなトラブルを防ぐには、正しい保管とお手入れの知識が不可欠です。
このコラムでは、天然石を長く美しく楽しむための保管方法やお手入れのコツを、わかりやすく解説します。大切な石たちを、ずっと輝かせていきましょう。

天然石アイテムを多数掲載しております。
国内最大級の品揃え!天然石卸 kenkengems.com
なぜ保管やお手入れが大切なの?

天然石は意外とデリケート
天然石は、地球の長い歴史の中でゆっくりと育まれてきた自然の結晶です。その美しさには一つとして同じものがなく、まさに自然が生んだアートともいえる存在です。
けれどその一方で、見た目以上にデリケートな性質を持っていることをご存じでしょうか?
たとえば、アメジストやローズクォーツといった石は紫外線に弱く、長時間日光に当たると色が褪せてしまうことがあります。また、ターコイズやラピスラズリなどは水分や油分を吸収しやすく、汗や湿気によって変色したり、ひび割れが起こることも。
同じ「天然石」というくくりでも、その性質は石ごとにまったく異なります。だからこそ、それぞれの石に合った保管やお手入れを心がけることがとても大切なのです。
知らず知らずのうちに起きている“劣化”
天然石は、毎日使うアクセサリーとして身に着けることも多いため、思っている以上にさまざまな環境の影響を受けています。
- 他のアクセサリーとぶつかって細かい傷がつく
- 湿気の多い場所に保管していて、表面がくもってしまう
- 香水やヘアスプレーが付着してツヤがなくなる
- 金具やチェーンとの反応で黒ずんでしまう
こうしたダメージは日々の生活の中で少しずつ蓄積していき、やがて「なんだか石がくすんできた」「最初の輝きがなくなった気がする」といった状態につながってしまいます。
長く楽しむための“ちょっとした習慣”
でも安心してください。天然石の保管やお手入れは、難しい作業や特別な道具を必要とするものではありません。
ちょっとした習慣や工夫を取り入れるだけで、大切な石たちを長く美しい状態で楽しむことができます。
また、天然石は見た目のケアだけでなく「浄化」を取り入れるのもおすすめです。浄化についての詳しい方法や考え方は、別のコラムで紹介していますので、気になる方はそちらもあわせてご覧ください。

天然石の正しい保管方法

天然石を長く美しく保つには、日常の保管方法に少しだけ気を配ることが大切です。ここでは、石の性質に合った保管の基本から、アクセサリーとして使用する際の保管のコツまで、実践しやすい方法をご紹介します。
保管場所の選び方(温度・湿度・光)
天然石は自然由来の素材ゆえに、温度や湿度、光の影響を受けやすい性質を持っています。特に以下のような環境は避けるようにしましょう。
- 直射日光:アメジストやローズクォーツなど、紫外線に弱い石は退色の原因に
- 高温・多湿:湿度が高すぎるとカビやサビ、金属パーツの変色の原因に
- 乾燥しすぎ:オパールなど水分を含む石は乾燥でヒビ割れを起こすことも
理想的なのは、直射日光が当たらない風通しのよい場所。湿気を防ぐためにシリカゲルなどの乾燥剤を一緒に入れておくのも効果的ですが、乾燥しすぎに注意が必要な石には使わない方がよいこともあります。
素材別・保管のポイント
天然石の種類によって、適切な保管方法は異なります。以下の表に、よく使われる石とその注意点をまとめました。
| 石の種類 | 性質・特徴 | 保管時の注意点 |
|---|---|---|
| アメジスト | 紫外線で退色しやすい | 直射日光を避ける |
| ローズクォーツ | 光により色が薄くなることがある | 日光に長時間さらさない |
| ラピスラズリ | 多孔質で水・油に弱い | 湿気・水分を避け、柔らかい布で包む |
| ターコイズ | 吸水性が高く、変色しやすい | 水濡れ・汗・化粧品との接触を避ける |
| フローライト | 割れやすく傷つきやすい | 衝撃を避け、他の石と接触させない |
| カルサイト | 酸に弱く、硬度が低い | 酸性洗剤・摩擦厳禁、個別保管推奨 |
| スモーキークォーツ | 比較的安定している | 強い衝撃や高温に注意 |
| ペリドット | 傷つきやすく熱に弱い | 他の石と分けて、日光・熱を避ける |
| サンストーン | 鉄分を含み酸化しやすい場合がある | 湿気を避け、通気性のよい場所に保管 |
| オパール | 含水鉱物で乾燥・熱に弱い | 乾燥しすぎないよう湿度を保った保管が理想 |
※天然石の状態や加工内容によっても異なるため、購入時の注意書きがあればそちらも参考にしましょう。
アクセサリーの場合の保管方法
天然石を使ったブレスレットやネックレス、ピアスなどは、保管方法にも少し工夫が必要です。
- 他のアクセサリーと一緒にしない:石や金具がぶつかって傷の原因に
- 小分けにして保管:1点ずつ不織布や柔らかい布に包んだり、仕切り付きケースに入れる
- 金属パーツの変色対策:乾燥剤と一緒に保存する、使用後は軽く拭いてからしまう
アクセサリー用のジュエリーボックスを活用するのも便利ですが、外気との湿度差に注意して、たまに空気を入れ替えてあげるのもおすすめです。
天然石のお手入れ方法

天然石は、丁寧に保管するだけでなく、定期的なお手入れも大切です。身に着けているうちに、汗や皮脂、ホコリなどが少しずつ付着し、見た目の美しさだけでなく、石の劣化につながることもあります。ここでは、天然石を美しく保つための基本的なお手入れ方法を解説します。
基本は柔らかい布で優しく拭く
お手入れの基本は、「乾いた柔らかい布で優しく拭く」こと。
使用後や長く保管していた石は、目に見えない汚れが付着していることがあります。メガネ拭き用のクロスや、柔らかい布で表面をなでるように拭いてあげると、石のツヤがよみがえります。
無理にこすったり、爪で汚れをこすり落とそうとすると、石の表面を傷つける原因になります。とくに硬度の低い石には注意が必要です。
汚れがひどいときの対処法
指紋や油分、汗などでベタつきを感じる場合は、ぬるま湯に中性洗剤を1~2滴垂らした溶液で軽く洗うのも一つの方法です。
ただし、この方法が使えるのは水に強い石に限られます。たとえば、クリスタルやスモーキークォーツ、アゲートなどは比較的安定していますが、ラピスラズリやターコイズ、オパールのような多孔質や含水性のある石は、水に触れさせない方が安心です。
水洗いの手順:
- 中性洗剤をほんの少し溶かしたぬるま湯に浸す(10〜20秒ほど)
- 軽く振る、または柔らかい歯ブラシで優しくなでる
- すぐに水ですすぎ、柔らかい布で水分をふき取る
- 日陰でしっかりと自然乾燥させる(※ドライヤーはNG)
なお、超音波洗浄器の使用は基本的におすすめしません。内部にひびがある石や、接着加工されているものは破損の恐れがあります。
素材ごとの注意点
石によっては、お手入れに注意が必要なタイプもあります。
- ラピスラズリ・ターコイズ・マラカイトなど:多孔質で水分を吸いやすく、洗浄や湿気で劣化する恐れあり。乾いた布で拭くだけにとどめましょう。
- オパール:含水鉱物のため乾燥も水分過多もNG。急な温度変化も避けたい石です。
- カルサイト・フローライト:柔らかく傷つきやすいため、摩擦や圧力に注意。
- 母岩付きルースやクラスター系の水晶:脆い部分が多いため、埃をはらう程度にとどめるのが無難です。
金具やチェーンのお手入れも忘れずに
天然石が使われたアクセサリーの場合、石だけでなく金具部分のケアも大切です。金具のくすみやサビは、石への汚れや変色の原因になることも。
- 使用後は、乾いた布で全体を優しく拭く
- 汗をかいた日は早めに拭き取る
- 長期保管前には金属の状態も確認しておく
天然石も金具も、使ったあとにひと拭きするだけで、ずっとコンディションを保ちやすくなります。

天然石アイテムを多数掲載しております。
国内最大級の品揃え!天然石卸 kenkengems.com
こんなときどうする?天然石Q&A

天然石の取り扱いには「これって大丈夫?」「どう対処すればいいの?」と迷うことも多いもの。ここでは、よくある質問をQ&A形式でまとめました。
- ブレスレットの石が白っぽくなってきたのですが?
-
皮脂や汗、化粧品の成分などが付着して表面がくもっている可能性があります。まずは柔らかい布で乾拭きしてみてください。それでも改善しない場合は、中性洗剤を薄めたぬるま湯で軽く拭き取りましょう(水に弱い石は避けてください)。
- 天然石にカビが生えることはありますか?
-
多湿な場所に長期間放置した場合、保管ケースの内部にカビが発生し、それが石や金属に付着することはありえます。とくに多孔質の石は湿気を吸いやすいため、保管場所の湿度管理が重要です。乾燥剤(シリカゲル)を入れると予防になりますが、乾燥に弱い石は個別対応を。
- 旅行などでアクセサリーを持ち歩くときの注意点は?
-
移動時は他のアクセサリーとぶつからないよう、個別にポーチやケースに入れて持ち運びましょう。車内や直射日光の当たる場所に長時間放置するのも避けてください。飛行機などの乾燥した環境では、オパールやターコイズのような乾燥に弱い石に特に注意が必要です。
- 保存袋にシリカゲルを入れても大丈夫ですか?
-
多くの石にとって湿気対策としてシリカゲルの使用は有効です。ただし、オパールやアンバーなど水分を含む石の場合は乾燥しすぎによるヒビ割れや変質の可能性があるため、石の性質に応じて使い分けましょう。
- 香水やヘアスプレーを使っても大丈夫?
-
香水やスプレーにはアルコールや油分が含まれており、天然石や金属パーツに悪影響を及ぼすことがあります。アクセサリーはメイクや香水の使用後に身につけ、外すときはなるべく早めに拭き取るようにしましょう。
まとめ|天然石を長く楽しむために

天然石は、見た目の美しさだけでなく、自然が生み出した一つひとつ異なる表情や、手にしたときの感覚までも楽しめる特別な存在です。
けれど、その魅力を長く保つには、保管場所や扱い方に少し気を配ること、お手入れを日々の習慣にすることが大切です。
石の種類ごとに性質が異なるため、「どの石も同じように扱えばいい」というわけではありません。
逆に言えば、石の個性に合わせたちょっとした工夫をするだけで、見違えるように美しさがよみがえることもあるのです。
また、石と向き合う時間を通して、ただ「モノ」として扱うのではなく、自分だけの大切な存在として愛着を深めていくことができるのも天然石の魅力です。
大切な石たちが、これからもあなたのそばで美しく輝き続けますように。





