
宝石の輝きやデザインは「カット」によって大きく左右されます。カットは宝石の形状や表面の仕上げを指し、光の反射や屈折を活かして石の美しさを引き出す重要な技術です。
また、カットは宝石の見た目だけでなく価値にも影響を与えます。優れたカットは宝石の価値を高め、ジュエリーのデザインにも深く関わってきます。
この記事では宝石のカットの種類や選び方についてご紹介します。

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宝石のカットの基本

どうして宝石にカットをほどこすのか
宝石のカットは、石本来の美しさを最大限に引き出し、その輝きを強調することを目的としています。適切なカットが施されることで、光が宝石の内部で反射し、見る人を魅了するきらめきを生み出します。また、カットは宝石の形状やデザインを決定づける重要な工程であり、ジュエリーとしての完成度を高めます。
ファセットカットとカボションカット
宝石のカットは大きくファセットカットとカボションカットの2種類に分けられます。ここではそれぞれの特徴についてお話をしていきます。
ファセットカット(facet cut)とは

ファセットとは、宝石表面に設けられた小さな平面のことを指します。このファセットが光を反射・屈折させ、宝石の輝きを生み出します。たとえば、ブリリアントカットでは多くのファセットが設けられ、光が内部で繰り返し反射することで強い輝きを放ちます。一方、ステップカットのように大きな面が並ぶデザインでは、光が柔らかく広がり、落ち着いた輝きを楽しむことができます。

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カボションカット (cabochon cut) とは

ボションカットは、宝石の表面を滑らかで丸みを帯びた形状に仕上げるカット技法です。ファセットを設けないため、石の内部の模様や透明感、色合いを活かすのに適しています。このカットはオパールやムーンストーンなど、光の反射ではなく石の個性を際立たせることが重要な宝石によく使われます。また、カボションカットは光を穏やかに拡散させるため、落ち着きのある上品な美しさを引き出します。

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宝石の各部の名称
ファセットカットが施された宝石は、部位ごとに名前がついています。

クラウン: 宝石の上部にあたる部分で、光を取り込む役割を果たします。
テーブル: クラウンの中央にある平らな面。光を内部に導き出す最も大きなファセットです。
ガードル: クラウンとパビリオンの境目に位置する帯状の部分。宝石の大きさや形状を決定するポイントです。
パビリオン: ガードルの下に広がる部分で、光を反射させ輝きを生む重要な役割を果たします。
キューレット: パビリオンの底にある小さな面で、光を逃がすポイントとなる場合があります。
宝石カットの種類
宝石のカットには、それぞれ独自の魅力と特徴があります。ここでは代表的なカットについて、特徴、利点、適した宝石を解説します。
ブリリアントカット

ブリリアントカットは、ラウンド型のカットで宝石の輝きを最大限に引き出すデザインです。このカットは58面のファセットを持ち、光を効率的に反射させることで宝石特有のきらめきを生み出します。特にダイヤモンドで人気が高く、婚約指輪やクラシックなジュエリーに最適です。その輝きの強さは、多くのジュエリーデザインの基準とも言えるほど評価されています。
エメラルドカット

エメラルドカットは広い平面と直線的な形状を特徴としています。このカットは光を控えめに反射し、石の内部の透明度や自然な美しさを強調します。エメラルドやアクアマリンなど、色や質感を活かしたい宝石に適しており、クラシックなリングやシンプルなネックレスに使用されます。
プリンセスカット

プリンセスカットは四角い形状で、シャープな輝きが特徴的なモダンなカットです。このデザインは、ラウンドカットの輝きと四角形の形状を融合させたもので、現代的なジュエリーに特に人気があります。ダイヤモンドやカラーストーンによく使われ、婚約指輪やカジュアルなペンダントに適しています。
オーバルカット

オーバルカットは楕円形の形状で、ラウンドカットの輝きと細長いデザインを兼ね備えています。このカットは指を細く長く見せる効果があり、ダイヤモンドやルビー、サファイアによく用いられます。エレガントな印象を与えるため、リングやネックレスに多く使用されます。
マーキスカット

マーキスカットは、両端が尖った船型のデザインです。このカットは宝石を実際のサイズよりも大きく見せる効果があり、ダイヤモンドやアメシストに多く採用されています。特にリングやペンダントで個性的な印象を与えるために使われます。
ペアシェイプ(しずく型カット)

ペアシェイプ(しずく型カット)は、上部が尖り下部が丸いロマンチックな形状が特徴です。このカットはエレガントで女性的な印象を与え、ダイヤモンドやオパール、タンザナイトなどに多用されます。特にドロップピアスや華やかなネックレスに適しており、動きに応じて輝く魅力があります。
トリリアントカット

トリリアントカットは三角形の形状を持つカットで、大胆で現代的な印象を与えます。このカットは宝石の表面積が広いため、輝きが大きく見える特徴があります。ダイヤモンドやシトリン、ペリドットなどに適しており、エッジの効いたピアスやネックレスに使われることが多いです。
クッションカット

クッションカットは、四角形または長方形の形状に丸みを帯びた角を持つカットで、柔らかな印象とヴィンテージ感を特徴としています。このカットは「ピローカット」とも呼ばれ、その名の通りクッションのような形をしています。ラウンドカットとプリンセスカットの中間のようなデザインで、クラシカルな雰囲気を醸し出しながらも現代的な輝きを兼ね備えています。

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宝石のカット技術の進化

宝石のカット技術は、古代のシンプルな研磨から始まり、ルネサンス期の幾何学的なデザイン、そして現代の精密なコンピューター制御技術へと進化してきました。最初の宝石加工は古代エジプトやローマ時代に見られ、滑らかに磨かれたカボションカットが主流でした。当時は光の反射を考慮したファセットの概念はなく、宝石の自然な色や模様を活かすことが目的でした。
中世ヨーロッパに入ると、テーブルカット(上部が平らに削られたカット)が登場し、光の反射を利用した宝石の美しさが意識されるようになりました。16世紀にはローズカットが開発され、宝石に複数のファセットを施すことで、輝きを強調する技術が確立されました。
18世紀にはオールドマインカット(今のクッションカットの原型といわれるカット)が登場し、より均一で計算されたファセットが施されるようになりました。そして20世紀初頭、数学的な計算に基づき光の反射と屈折を最適化するよう設計されたカット技法モダンカットが発展し、ラウンド型で宝石の輝きを最も引き出すブリリアントカットが誕生しました。以降モダンカットは宝石カットのスタンダードとして広く用いられるようになります。
現代では、レーザーカットやCAD技術が導入され、精密かつ複雑なカットが可能になりました。これにより、従来のカットにとらわれないユニークなデザインや、宝石の形を最大限に活かしたオーダーメイドカットが実現されています。また、近年ではヴィンテージカットの復刻も進み、伝統と最新技術が融合した新たなカットの可能性が広がっています。
ヴィンテージカットとは?
ヴィンテージカットは、19世紀から20世紀初頭にかけて主流だった宝石のカット技法で、現代のブリリアントカットとは異なり、柔らかく温かみのある輝きが特徴です。手作業で施されていたため、ファセットの対称性にばらつきがあり、独特の個性を持ちます。
代表的なヴィンテージカットには、オールドマインカット、オールドヨーロピアンカット、ローズカットなどがあります。近年、クラシカルなジュエリーの人気とともに復刻が進み、アンティーク調のジュエリーを好む人々に愛されています。
モダンカットとは?
モダンカットは、20世紀以降に発展した宝石のカット技法で、数学的な計算に基づき光の反射と屈折を最適化するよう設計されています。代表的なものに、ラウンドブリリアントカット(58面のファセットによる最大限の輝き)やプリンセスカット、エメラルドカットなどがあります。
宝石カットの選び方
宝石を選ぶ際、カットは用途や宝石の種類、そしてデザインの印象を大きく左右します。それぞれの特徴を理解することで、ジュエリーとしての魅力を最大限に引き出す選び方が可能になります。
指輪

指輪には、輝きが目立つカットがオススメです。婚約指輪には、強い輝きを持つブリリアントカットや、クラシカルな印象のエメラルドカットが人気です。また、ラウンド型やプリンセスカットは、石の形状がしっかりと目立ち、どんなデザインにも合わせやすいのが特徴です。

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ネックレス

ネックレスには、ペアシェイプやマーキスカットなど、縦に長い形状がデザイン性を引き立てます。カボションカットはロマンチックで柔らかい印象を与えるため、特別なギフトにも適しています。

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ピアス

ピアスには、小ぶりで輝きを重視するブリリアントカットや、個性的な印象を与えるトリリアントカットがよく使われます。動きに合わせて光を反射することで、顔まわりを華やかに演出します。

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宝石のカットに関するよくある質問
- 宝石のカットとは何ですか?
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宝石のカットとは、原石を加工し、美しさや輝きを最大限に引き出す技術のことです。光の反射や屈折を考慮しながら、形状やファセット(切子面)を整えることで、宝石の魅力を引き立てます。
- カットが宝石の価値にどのように影響しますか?
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カットの質は、宝石の輝きや美しさに直接影響します。特にダイヤモンドでは、プロポーションやファセットの配置が適切であるほど輝きが強まり、高価になります。逆にカットが不適切だと、光が内部で反射せず、輝きが失われることがあります。
- 最も輝くカットはどれですか?
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一般的に、ラウンドブリリアントカットが最も輝きを引き出すカットとされています。58面のファセットが光を効率よく反射し、最大限の輝きを生み出します。
- カボションカットはどんな宝石に向いていますか?
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カボションカットは、オパールやムーンストーン、ラブラドライト、ターコイズなど、光の遊びや模様が美しい宝石に適しています。ファセットを持たないため、宝石の内部の特徴を強調するのに最適です。
- ヴィンテージカットとモダンカットの違いは?
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ヴィンテージカット(例: オールドマインカット、ローズカット)は、手作業で研磨されることが多く、柔らかな輝きが特徴です。モダンカット(例: ラウンドブリリアントカット)は、数学的な計算に基づき設計されており、光の反射を最大化する工夫が施されています。
- カットが優れている宝石を見分ける方法は?
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様々な要素がありますが一般的に下記の要素があげられます。
・シンメトリー(対称性)が整っているか。
・ テーブル(上部の平面)が均一で、歪みがないか。
・光の反射が均等で、輝きにムラがないか。

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