2月の誕生石|アメジスト&クリソベリルキャッツアイの魅力

2月の誕生石についての基礎知識

雪消月(ゆきげづき)と呼ばれ、冬から春へと変わりはじめる2月。そんな2月の誕生石は、アメジストとクリソベリルキャッツアイの2つの宝石です。

吸い込まれそうな美しい紫色をしたアメジストが代表的な2月の誕生石で、クリソベリルキャッツアイは2021年末に新しく2月の誕生石として加わりました。この2つの宝石の特長はまったく異なります。全体から高貴な美しさを放つのがアメジスト、一条の艶やかな光で人々の目を奪うのがクリソベリルキャッツアイです。

今回はこれら2月の誕生石について、基本情報や歴史などを紹介しながらその魅力に迫っていきます。人々を魅了する美しさの秘密を知ることもできると思いますので、ぜひ最後までお読みください。

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この記事の内容

2月の誕生石、アメジストとは

2月の誕生石、アメジストとはどんな宝石か。

2月の代表的な誕生石はアメジストです。アメジストは紫色をした水晶のことで、和名は「紫水晶」と言います。最大の特徴は、その吸い込まれそうな美しい深い紫色。

その他にも淡いカラーのラベンダーアメジストや緑色をしたグリーンアメジストもあります。ちなみにアメジストは2月の誕生石であると同時に、水瓶座(1/20〜2/18)と魚座(2/19〜3/20)の星座石としても有名です。

2月の誕生石、アメジストの色について

ここでは、アメジストの色について解説します。アメジストが紫色の理由は、微量に含まれる「鉄イオン」によるものです。紫の色ムラが少なく、高い透明度と濃い色をした個体が一般的には価値の高いアメジストとされます。このアメジストの色の特長は、紫外線に長時間さらされると脱色されたように色が変わることです。そして、一度色が変わると元の色には二度と戻りません。この色の変化は加熱した時にも見られ、約420〜450度でアメジストの紫色は脱色し始め、黄色もしくは黄褐色へと変わっていきます。

ちなみに、この加熱処理を正しく行うことで、アメジストから黄色の水晶「シトリン」が人工的に作りだされることは多いです。ただし、全てのアメジストが同じ変化を見せる訳ではなく、産地や個体によっても反応は変わります。次の項目では、アメジストの中でも色が特長的な「ラベンダーアメジスト」と「グリーンアメジスト」を紹介しますのでチェックしてみてください。

ラベンダーアメジスト

2月の誕生石、アメジストの種類にはラベンダーアメジストも含まれる。

比較的濃い紫色をしていることが多いアメジストですが、淡い紫色のラベンダーのような色をしたアメジストは「ラベンダーアメジスト」と呼ばれます。アメジストは紫外線の影響で色が変化することは既にお伝えしました。このラベンダーアメジストは自然の中で紫外線を浴び、濃い紫色が脱色していくことで生まれます。

このラベンダーカラーのアメジストの主な産地は、マダガスカルやブラジルが有名です。特にマダガスカルでは良質のラベンダーアメジストが発掘されています。児童小説として有名な「赤毛のアン」にも、実はこのラベンダーアメジストが登場しています。

孤児院から来たアンを引き取った老兄妹の一人であるマリラが一番大事にしている母の形見のブローチの周囲は、アメジストで囲まれていたそうです。このブローチを見たアンは「紫水晶(アメジスト)は大人しいスミレの魂のよう」と言い、その控えめな美しさをスミレの花に例えて表現しました。これが淡い色をしたラベンダーアメジストだったのではないかと言われています。余談ですが、このブローチの中心には亡き母の髪の毛が入っていたそうです。では、次にちょっと意外な色をしたグリーンアメジストを紹介します。

グリーンアメジスト

2月の誕生石、アメジストの種類。アグリーンアメジストも2月の誕生石。

前述しましたが、アメジストには緑色をしたものもあります。これが「グリーンアメジスト」です。ちなみに、グリーンアメジストはギリシャ語で「明るい緑」という意味の「プラシオライト」という別名で呼ばれることもあります。加熱処理することによって色を変えるアメジストですが、このグリーンアメジストは偶然から生まれた宝石と言われています。

この偶然を紹介するために時計の針を1953年に戻しましょう。

ブラジルで採れたアメジストを人工的に加熱処理しシトリンを作っていたら、偶然アメジストが緑に色を変えたそうです。前述したようにアメジストがシトリンの黄色に変わるのは約420〜450度ですが、この時の温度は約650度でした。いつもより高い温度で加熱したことによって、偶然グリーンアメジストが生まれたのです。

そんなグリーンアメジストですが、地中に埋まっている間にマグマの熱などで自然に生成されることもあると言われています。ただし、そのような過程で生成された天然のグリーンアメジストは、とても希少であまり市場に出回ることはありません。いずれにしても、アメジストに熱を加えることで生まれるグリーンアメジストは、とても優しい印象の淡い穏やかな色をした宝石です。

2月の誕生石、アメジストの歴史

2月の誕生石であるアメジストは、古来から近代に至る長い歴史の中で宝飾品としてよく用いられてきました。ここではピラミッドで有名なエジプトと、かつて最上級産地であったロシアに関するアメジストの話を交えながら、アメジストの歴史を紹介していきます。

古代エジプトにおけるアメジスト

2月の誕生石アメジストは古代エジプトでも使用されていた歴史のある宝石。

今から3000年以上前の紀元前1356年に生まれたとされる古代エジプトの有名な少年王ツタンカーメンですが、そのお墓は1922年に発見されました。そのお墓は、さまざまな豪華宝石や装飾品と一緒に見つかったことでも有名です。よく知られているのは黄金のマスクや金箔のベッドなどですが、その中にはアメジストをあしらったものも少なくありません。その代表格がこのブレスレットです。

2月の誕生石とツタンカーメンの装飾品

このブレスレットには金・ラピスラズリ・カーネリアンなどが用いられ、中心には「スカラベ」に見立てたアメジストがあしらわれています。スカラベというのは、昆虫のフンコロガシのことです。日本ではその名前からちょっとネガティブな印象を持たれていますが、当時のエジプトでは日の出を司るケペラ神のシンボルとされていました。

当時のエジプトでは、糞を丸めて転がすフンコロガシ(スカラベ)の様子から、太陽を運んでいると考えられており、フンコロガシは日の出のシンボルとして様々な装飾品などにデザインされエジプトの至る所で見られるようになっていました。そして古代エジプト第18第王朝のファラオ(王)として19歳という若さで亡くなったとされるツタンカーメンのお墓にも、アメジストで作られたこのスカラベのブレスレットが埋葬されたのです。

ロシアのアメジスト / 女帝

2月の誕生石を愛した女帝

光り輝く豪華絢爛なロシア皇帝の至宝にもアメジストは存在感を発揮しています。歴代のロシア行程の中でも、特にアメジストを好んでいたのが18世紀の女帝エカチェリーナ2世です。紆余曲折を経て生粋のドイツ人ながらロシア帝国に女帝として君臨した彼女は、その政治手腕だけでなく、その67年間の人生で12人もの愛人がいたことでも有名です。

さらに無類の宝石好きだったとも言われており、時には数千人の鉱夫を雇ってウラル地方の鉱山を発掘させていました。その鉱山ではトパーズ・アクアマリンなど様々な石が採れましたが、彼女の一番のお気に入りはアメジストだったと言われています。

2月の誕生石であるアメジストの希少性を説明。

ロシアで採れていたアメジストの中でも特に濃い紫色をしたものはサイベリアン・アメジストと呼ばれることがあります。サイベリアンはシベリア(産)という意味で、特徴はその色の濃さだけでなく、内部に赤い閃光のような光が見えるのもその一つです。

現在ではすでに採掘され尽くしたと言われていますが、このサイベリアン・アメジストのように少し青みがかった濃い紫色に赤い閃光が見えるアメジストは、サイベリアンクオリティと称してアメジストの中でも高く評価されています。

2月の誕生石、アメジストの魅力

2月の誕生石、アメジストの魅力について

2月の誕生石、アメジストをさまざま紹介しましたが、人々が抱くアメジストのイメージは美しい紫色でしょう。多くの人を魅了して止まない濃淡さまざまな紫色がアメジストの最大の魅力です。

少し話を脱線させてミレニアムイヤーを目前に控えた1999年の話をします。この年に「冷静と情熱のあいだ」というイタリアを舞台にした日本人男女2人を主人公にした恋愛小説が出版されました。この小説は男性のパートを作家の辻仁成・女性のパートを江國香織がそれぞれ執筆するという「1つの物語で2つの目線」を持ち、そのラブストーリーは人気を博しました。

「かつて恋人同士だった2人の主人公が若き頃に交わした約束」がどうなるのか、というストーリーが気になる人はぜひ2冊の本を手に取っていただきたいと思いますが、その時にそれぞれの単行本のカバーが青と赤であることに気がつくでしょう。

2月の誕生石の色と石言葉についての解説

「冷静の青」と「情熱の赤」。これは色の世界では最も有名ですが、この相反する2つを混ぜ合わせると紫ができます。

冷静と情熱のあいだ。

美しくありながらも、同時に強さと儚さも感じるアメジストの魅力を表現するにはピッタリの言葉かもしれません。ちなみに、紫という色は時々「情緒不安定・欲求不満・病的」などネガティブな印象で語られることがありますが、本当はそういう助けを必要としている人達を優しく惹きつけ癒してくれる色です。

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2月の誕生石、クリソベリルキャッツアイ

2月の誕生石、クリソベリルキャッツアイとはどんな宝石か。

ではここからは、もう一つの2月の誕生石である「クリソベリルキャッツアイ」を紹介していきます。

2月の誕生石は長らくアメジストだけでした。しかし、冒頭でお伝えした通り、2021年12月に全国宝石卸商協同組合などが誕生石を改正し、このクリソベリルキャッツアイが新たに2月の誕生石に加わりました。クリソベリルキャッツアイは、和名では「猫目石」と呼ばれます。ベリリウムとアルミニウムと酸素から構成された鉱物であるクリソベリルの一種で、変成岩(片岩)や巨晶花崗岩(ペグマタイト)の中から産出されます。

同じクリソベリルの変種には有名なアレキサンドライトがありますが、これは内包するクロムの含有量が増加し変色性を示すクリソベリルのことです。そんなクリソベリルの中には、研磨することでキャツアイ効果を見せるものもあります。それがクリソベリルキャッツアイです。つまり、通常のクリソベリルとキャッツアイ効果を見せる一部のクリソベリルを区別するためにこの名前が名付けられています。

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クリソベリルキャッツアイの特長

クリソベリルキャッツアイの最大の特長は、キャッツアイ効果を見せることです。キャッツアイ効果とは、宝石の内部で光の反射が起こることにより、猫の目のような細い光の帯が現れる現象のことを指します。

キャッツアイ効果が見られるのは、クリソベリルキャッツアイだけではありません。エメラルドやトルマリン、その他にもクォーツなどの一部の個体にも見られることがあります。ただし、いずれも希少性が高く、頻繁に出会うことはありません。キャッツアイ効果が現れる宝石そのものが希少ですが、その中でも「最も美しいキャッツアイ」を見せるのが、このクリソベリルです。従って、単に「キャッツアイ」と宝石を呼ぶときは、このクリソベリルキャッツアイのことを指すことが一般的です。

一方、エメラルドやトルマリンの場合は、「エメラルド・キャッツアイ」「トルマリン・キャッツアイ」と宝石名も一緒に付けられることが通常です。クリソベリルキャッツアイは、単に「キャッツアイ」でも石に精通した方には通じます。ちなみに、通常クリソベリルキャッツアイはトリートメントが施されません。従って、手にするもの全てが自然そのものの状態に極めて近い状態です。

クリソベリルキャッツアイの歴史

2月の誕生石に選ばれるなど現在ではクリソベリルキャッツアイは人気の宝石の一つですが、注目されたのは近年に入ってからです。それまでは知る人ぞ知る宝石であったと考えられますが、宝石としての価値は見い出されていなかったと思われます。

それが変わったのは、19世紀のことです。イギリス王室ビクトリア女王の3番目の息子であるコノート公爵が、クリソベリルキャッツアイのエンゲージリングをプロシアの王女ルイーズ・マーガレットに贈りました。それがきっかけとなり注目を浴び、人気宝石の仲間入りをしたのです。日本でもクリソベリルキャッツアイは、戦後から現在にかけて、希少性が高く珍しい宝石として大きな需要があります。

クリソベリルキャッツアイの魅力

2月の誕生石、クリソベリルキャッツアイの色の種類を説明。

クリソベリルキャッツアイは、黄色系からオレンジ色、またブラウン色などさまざまな色があります。特に人気があるのは、ハニーイエローと呼ばれるハチミツのような濃く深みのある黄色です。次いで、レモンイエローやアップルグリーンなどの色も人気を博しています。美しい色も注目ですが、クリソベリルキャッツアイの魅力はやはりキャッツアイ効果が見られる点です。

クリソベリルキャッツアイを手に取ってゆっくり動かすと、くっきりと細い帯状の白い光が見られます。角度を変えるとそれが消え、まばたきしているようにも見えるでしょう。そんなクリソベリルキャッツアイを眺めていると、自然とその中に閉じ込められた謎めく小さな世界に思いを馳せ、中に飛び込んで内側から見たくなる衝動にかられます。

2月の誕生石の石言葉

2月の誕生石、アメジストとクリソベリルキャッツアイの石言葉を解説。

アメジストの石言葉

2月の誕生石であるアメジストの石言葉は「誠実・高貴・心の平和」です。日本では紫色は昔から高貴な色の象徴でした。これは学校で習った歴史からもよく分かります。

かつて聖徳太子が制定した「冠位十二階」。これは、冠の色によって階級を表わしていましたが、一番階級の高い「大徳」の地位には濃い紫色、その次の「小徳」に淡い紫色が採用されていました。そんな高貴な色の象徴である紫色を発するアメジストですが、その石言葉もそのイメージにぴったり合うものが付けられていると言えるでしょう。

クリソベリルキャッツアイの石言葉

2月の誕生石、クリソベリルキャッツアイの石言葉は「驚嘆・驚愕」です。「驚き」という意味の石言葉になっていますが、クリソベリルキャッツアイが見せる美しい一条の光は見る者を驚かせます。誕生石は身に着けることで加護を受けられたり、特別な力を与えてくれるとも言われていますが、このクリソベリルキャッツアイも例外ではありません。

2月の誕生石を身に着ける意味

2月の誕生石、クリソベリルキャッツアイとアメジストを身につける意味

アメジストに秘められた意味

アメジストは霊性の高い石とも信じられ、魔除けのお守りや数珠などにも用いられてきた歴史もあります。その他にも古代ギリシャ時代には、お酒の神バッカスとの伝説が信じられ「アメジストを身に着けると酒に酔わない」とも言われていました。ゴブレットなどの杯(さかずき)の装飾にアメジストが多く見られるのも、この伝説が起因していると考えられます。

アメジストを身に着けることは、日々のストレスや心の動揺から解放され、精神的なバランスを保つ助けになると言われています。この石は、瞑想や精神的な探求を行う際にも用いられることがあり、その落ち着いた色合いが心を穏やかにし、集中力を高めると考えられています。

クリソベリルキャッツアイに秘められた意味

クリソベリルキャッツアイを身に着けると第三の目を開眼させてくれるとも言われています。その独特の「猫の目」効果は、不思議な魅力を放っています。直感力と洞察力を高め、持ち主に幸運をもたらすと言われています。

また、クリソベリルキャッツアイは、守護と保護の石としても知られています。これを身に着けることで、ネガティブなエネルギーから身を守り、精神的な安定を促進するとされています。特に、ビジネスやキャリアにおいて重要な決断を下す際に、この石は洞察力を高め、正しい道を選ぶ助けになると考えられています。

2月の誕生石、まとめ

2月の誕生石であるアメジストとクリソベリルキャッツアイのまとめ

今回は2月の誕生石である「アメジスト」と「クリソベリルキャッツアイ」についてお伝えしました。まったく個性の違う2つの誕生石ですが、身に着ける人はもちろん、それを見た周囲の人々も魅了するという点では共通しています。どちらも高品質なものは宝石価格でとても高価です。しかし、手頃な価格で手を伸ばせば届く天然石のアメジストやクリソベリルキャッツアイも数多くあります。ぜひこの機会にこれら2月の誕生石を手に取り、身近な存在にしてみてください。

最後になりますが、2月の代表的なアメジストの石言葉「誠実・高貴・心の平和」は、私達がその人生を正しく、そして誇りを持ちながら自分と誰かの為に生きていくのに必要なキーワードと重なっています。宝石の見た目だけに捉われることなく、石言葉や意味などにも注目すると、思わぬ素敵な宝石に出会えることもあるのでおすすめです。

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