クリソプレーズはアップルグリーンと呼ばれる青りんごのように美しい色合いが魅力の天然石。あまりメジャーではない石であると同時に、言い間違えを招きそうな名前でもあります。
でも、ひとたびその名を覚えると、記憶に深く残る可能性も高い名前のように思います。今回はそんなクリソプレーズの魅力について、色々な角度からご紹介していきたいと思います。

クリソプレーズの特徴
主な産地
クリソプレーズの主な産地はオーストラリアとアフリカです。
名前の由来
「クリソプレーズ」という名前はギリシア語の「chrysos」(金)と「prason」(西洋ねぎ)が語源です。瑞々しさを感じさせる色合いはマスカットに例えられることもあるそうですが、実はその名の語源になったのが西洋ねぎだなんて!
西洋ネギ=リーキは料理の世界においては「ボアロ」と呼ばれているそう。 形状は、ネギというよりはニラやニンニクのような葉を持っています。スーパーなどでももし見かけることがあったら本当に色味が近いのか、一度チェックしてみるのも楽しいかもしれませんね。
色
そして、クリソプレーズの美しい緑はニッケルに起因しているもの。長時間にわたって太陽の下に晒されたり、加熱してしまうとその美しい色味が退色してしまいます。そのため、ジュエリーに加工する際には細心の注意をはらうことが必要とされます。
歴史や逸話

多くの種類を持つカルセドニーグループに属しますが、クリソプレーズはその中でも産出量が少ないため、最も価値が高く美しい石だと言われます。古くにはチャペルやお城といった建築物に、豪華な装飾品としてあしらわれてきました。
それ以外にも、古代マケドニアの王であるアレキサンダー大王が装身具としてクリソプレーズを胸に飾っていたことも知られています。守護石としてクリソプレーズを身に着けることにより幾多の戦いに勝利を収め、一大帝国を築いたことから「あれはクリソプレーズの魔力によるものだ…」等と噂されることもあったそうです。
またそれ以外にも、古代ローマの時代よりカメオなどの装飾品として加工もされ、治療薬として用いられていたこともあるそうです。確かにクリソプレーズの神秘的な緑の輝きは、秘薬として珍重したくなるのもわかる気がしますね。
クリソプレーズと宮澤賢治の意外な関係とは?

文学作品においては、石好きで知られる日本の詩人“石っこ賢さん”宮澤賢治が、自身の詩「春と修羅 小岩井農場 パート七」の作中で「から松の緑玉髄(クリソプレーズ)」と記したのも有名です。
から松の青々とした色を例えて、クリソプレーズと謳ったものと思われます。石好きで、しかも詩人でなければそこにはなかなか結び付かないのではないでしょうか。石好きな賢治ならではの、自由な着想が楽しいですね。クリソプレーズだけでなく、石そのものの魅力の虜となった賢治は、ハンマーを片手に山野を歩き回り岩石を収集していた…という逸話も残っています。
作中に数多の石を登場させただけでなく、晩年には東北砕石工場で技師として働いていたということですから、その石好きはまさに筋金入りです。その東北砕石工場跡地は「石と賢治のミュージアム」として岩手県一関市の地に残っています。彼が愛した石たちの展示を、作品と共に楽しめる場所となっているそうです。興味がある方は、機会があれば一度訪れてみてはいかがでしょうか。
クリソプレーズはカルセドニーグループの一員

前述したように、クリソプレーズはカルセドニー(玉髄)グループに属する石。そのカルセドニーグループの他メンバーとして挙げられるのは、赤のカーネリアン、青のブルーカルセドニー、そして緑のクリソプレーズです。それ以外にも、ブラッドストーンやジャスパー、モスアゲート、オニキス、アゲートなども、カルセドニーグループの一員です。
そもそもカルセドニーは、肉眼では結晶が見ることができない塊状結晶鉱物の石英。自然界においては、乳房状やぶどう状、鍾乳石状といった塊状で産出。その多くが半透明~不透明な石なのです。クリソプレーズがお好みの方は、カルセドニーシリーズで統一した作品作りやコレクションをしてみるのも楽しそうですね。
クリソプレーズの石言葉
クリソプレーズの石言葉は、「豊かな実り」、「豊穣」「平和」。「自己実現」や「信頼感」等といったものもあります。目に良いとされるグリーンのカラーが表す通りの、平穏な気持ちへと導いてくれそうな言葉ですね。ネガティブなイメージを払拭したい時には、家の中に飾っておくだけでも効果があるとも言われています。
その一方で、夢を叶えるためのステップアップを促すような言葉もあります。例えば、「勝利」や「成功」、「喜び」そして「奇跡」など。仕事で成功を収めたいと考えている人には、目標達成の一助となってくれる石なのです。
一大王国を築き上げたアレキサンダー大王も、もしかしたらこのクリソプレーズの石言葉を知っていたのでしょうか。アレキサンダー大王にあやかって…というのは少しスケールが大きすぎるかもしれませんが、身に着けることによって得られる効果を信じてみるのもまた一興です。
クリソプレーズのパワーストーンとしての効果、身につける意味とは

不安や感情的なパニックを鎮める
日常生活の中で感じる不安や突然襲ってくる感情的なパニックは、多くの人が経験したことがあるでしょう。クリソプレーズは、このような心の動揺を鎮め、内面の平和を取り戻す手助けをしてくれます。その穏やかなエネルギーが心に浸透し、感情の波を穏やかにし、心の静けさをもたらすのです。
隠された才能を開花させる
私たちの中には、まだ発見されていない才能や可能性が眠っているものです。クリソプレーズは、これら隠された才能を引き出し、開花させる効果があります。この宝石を身につけることで、自己表現の勇気を得られ、創造性や才能が自然と湧き出てくるようになります。
強運を引き寄せる
クリソプレーズは、強運を引き寄せる石としても知られています。この宝石が放つポジティブな振動は、幸運を引き寄せ、人生をより良い方向に導く力があるとされています。チャンスを掴みたい時、目標に向かって進みたい時、クリソプレーズは最高のサポーターとなります。
夢や希望を与える
クリソプレーズは、心に夢や希望を吹き込みます。この宝石を身につけることで、未来への展望が開け、目標達成に向けた新たなパワーを得ることができるでしょう。挑戦を恐れず、希望を持って前進する勇気を与えてくれるのです。
クリソプレーズのバリエーションとその魅力

好みが多少分かれるところではありますが、母岩付きのクリソプレーズはそのプリミティブな表情が何といっても魅力でおすすめです。コントラストが映える縦長タイプは、まさに主役級の美しさ。
グリーンとブラウンの濃淡が入り混じったラウンドタイプも、見ていて飽きない個性をそれぞれが主張しています。どれかひとつを選ぶのがとても難しく、ブレスレットやネックレスでその表情の違いを楽しみたいと思わせてくれます。
しかし、最も価値が高いのはやはり、アップルグリーンの色合いが美しく透明度の高いクリソプレーズ。眺めていると吸い込まれてしまいそうな、灯りがパッと灯ったかのようなカラーが魅力です。
クリソプレーズの楽しみ方
ピアスやイヤリングとして身に着ければ、髪色に埋もれてしまうこともなく鮮やかなアクセントを与えてくれます。ネックレスとして身に着ければ、レフ版効果のように顔色がパッと明るくなりそうです。

クリソプレーズは仕事で成功を収めたいと考えている人にもおすすめな石なので、女性のみならず男性も、ブレスレットやキーホルダー、お守りとして身に着ければ、困難な状況下で自らの力を発揮する助けになってくれそうです。
アクセサリー作りに用いるだけでなく、コレクションして眺めるひそかな愉しみが得られるのも天然石の良いところ。ケースに並べて、それぞれの石に思いを馳せるのも良し。インスピレーションに従い、思うがままに一粒を手に取ってマインドフルネス(瞑想)の時間に充ててみるのもおすすめです。
まとめ
雑念を振り払いじっくり石と向き合うことで、普段とは思いもがけない考えに至ることももしかしたらあるかもしれません。その思うがままに手に取った一粒の石がクリソプレーズだったとしたら、得られる境地は果たして…。
「豊かな実り」「豊穣」?それとも「平和」や「自己実現」「信頼感」でしょうか。もしくは「勝利」や「成功」「喜び」「奇跡」の境地か。
その時のコンディションや選び取る石に応じて、さまざまに違った思いがきっと得られることでしょう。マインドフルネスの時間を経て気持ちの整理をすると同時に、作品作りのインスピレーションにも役立ててみてくださいね。
クリソプレーズの鉱物データ
英名 | Chrysoprase(Chalcedony) |
和名 | 緑玉髄(みどりぎょくずい) |
分類 | 二酸化ケイ素 |
化学式 | SiO2 |
色 | 黄緑、緑色 |
モース硬度 | 7 |
劈開性 | - |
屈折率 | 1.53-1.54 |
結晶系 | 三方晶系 |
断口 | 貝殻状 |
条痕 | 白色 |
比重 | 2.61 |
光沢 | ガラス状~蝋状光沢 |
石言葉 | 自己実現 |
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