アクアマリン|海の色を閉じ込めた宝石

輝く海の色をそのまま閉じ込めたような透明感あふれるブルーのアクアマリンは、世界中で多くの方に愛されている天然石のひとつです。「水色の宝石」といえばアクアマリンを想像するという方も多いのではないでしょうか。

アクアマリンは3月の誕生石としても知られており、ハンドメイドジュエリーの素材やお守りとしても広く親しまれています。この記事では、アクアマリンをもっと好きになるさまざまな情報や豆知識をご紹介しています。

アクアマリンの解説
この記事の内容

アクアマリンとはどんな石?

アクアマリンには「 藍柱石 (らんちゅうせき」「藍玉(らんぎょく)」という和名があります。ブラジルやパキスタン、ナイジェリアなど、世界の各地でさまざまなカラーを持つアクアマリンが産出されています。

アクアマリンの硬度は7.5~8とされており、天然石素材としては比較的硬めだといえるでしょう。その美しさだけでなく、普段使いにも耐える硬度も特徴のひとつです。

アクアマリンとエメラルドの意外な関係

アクアマリンはベリルと呼ばれる鉱物の一種

アクアマリンはエメラルドなどと同じ「ベリル(緑柱石)」という鉱石の仲間です。本来のベリルは無色透明な鉱石ですが、含まれる不純物の種類によって色が変わるため、ジュエリーとしては別のものとして扱われるようになったのです。

不純物として含まれた鉄が原因で青くなったベリルをアクアマリン、鉄やバナジウムが含まれて緑になったベリルの中でも、特に濃い緑のものをエメラルドと呼びます。他にもモルガナイトやヘリオドールなど、不純物の違いによってさまざまな色に変化するベリルが宝石として珍重されています。

アクアマリンの持つ伝説や意味

アクアマリンの意味

「アクアマリン」という名前は、ラテン語で水を意味する「Aqua」と海を意味する「Marinus」を組み合わせたものが語源だといわれています。一説には2,000年以上前の古代ローマ人が命名したともいわれており、その歴史の長さがうかがえます。

ギリシャ神話においても「嵐の時に海の精霊が落とした宝物が、浜へ流れついたもの」や「美しい歌声に引き寄せられた船を沈めてしまう精霊セイレーンが、海と地震を司る神ポセイドンの不興を買い、宝石のかたちにされたもの」と語られてきました。古来からアクアマリンの透き通ったブルーに、神秘的なものを見出してきたといえそうですね。

このような由来からアクアマリンは単なる装飾品としての価値だけではなく、船乗りが安全な航海を祈願するお守りとしても大切にされてきました。

現在でもアクアマリンは「勇敢・安らぎ・幸福」など、幸せを象徴する石言葉がつけられており、心身を平穏に保ち人間関係を円滑にしてくれるといわれています。また、母なる海と縁が深く、美しいマリンブルーがサムシングブルーを連想させることから「幸せな結婚」という意味も持つようになりました。贈った人も贈られた人にも幸せが訪れる石として、結婚や出産、記念日の贈り物として多くの方に選ばれています。

アクアマリンの効果

海のような青色が魅力的なアクアマリンは、パワーストーンとしても人気があります。様々な効果があるとされていますので、いくつかご紹介しましょう。

心の平穏とリラクゼーション効果

アクアマリンは、心を落ち着かせ、ストレスや不安を軽減する効果があるとされます。この石を身につけることで、感情的なバランスを取り戻し、自分の内面を平和に導いてくれます。

コミュニケーションを助ける効果

自己表現をサポートし、コミュニケーションの障壁を取り除く効果があるとされています。人間関係の改善や、より円滑なコミュニケーションを促進することに役立ちます。

クリアな思考と冷静さをもたらす効果

アクアマリンは、冷静で明晰な思考を促進すると言われています。特に混乱や感情的な状況において、冷静な判断を下すのを助けるとされています。

ヒーリング効果

伝統的に、アクアマリンは呼吸器系の健康をサポートするとされています。特に喉や甲状腺の健康に良い影響を与えると考えられています。

これらの効果は科学的根拠に基づくものではなく、個人の体験や信念に依存するものです。しかし、アクアマリンを日常的に身につけることで、そっとその石が自分をサポートしてくれる場面が訪れるでしょう。

アクアマリンのさまざまな「青」

アクアマリンが「ベリル(緑柱石)」という鉱石の仲間であることは先にご紹介しました。
一般的にアクアマリンは透明度が高く、薄めのブルーが珍重される傾向にありますが、それ以外にも水色から薄いグリーン、乳白色に近い色まで多くのカラー展開があります。原石のアクアマリンはグリーンがかっており、エンハンスメントと呼ばれる熱処理をかけることでブルーへと変化します。原石自体にブルーの発色因子がなければ、処理をかけても透明度の高いブルーにはなりません。しかしグリーンがかった色味や、インクルージョン(内包物)などによるニュアンスの違いも、アクアマリンの魅力のひとつです。

ここでは、アクアマリンの種類について解説しています。

サンタマリア アクアマリン

サンタマリアアクアマリンの写真

アクアマリンが産出される鉱山は、ブラジルやナイジェリア、マダガスカルなど世界各地に点在しています。その中でもブラジル ミナス・ゼライス州のサンタマリア・ディ・イタビラ鉱山で発見されたアクアマリンは加熱加工なしで深く鮮やかなブルーが特徴で、「サンタマリアアクアマリン」と呼ばれて世界中で大人気となりました。

しかしサンタマリア鉱山は1900年代半ばに閉山したため、サンタマリアアクアマリンが産出されることはなくなってしまいました。しかし1970年代にアフリカ モザンビーク鉱山で鮮やかなブルーのアクアマリンが発見され「サンタマリアアフリカーナ」と名付けられました。

現在ではどちらの鉱山も閉山となっていることに加えて、これらに続く新たなアクアマリンは発見されていません。そのため深く鮮やかなブルーのアクアマリンは非常に希少価値が高く、高値で取引されています。

モス アクアマリン

モスアクアマリンの写真

モスアクアマリンは苔(モス)状のインクルージョン(内包物)が粉のようにちりばめられた、グリーンやグレーのアクアマリンです。ひと粒の中にさまざまな色がグラデーションになっており、インクルージョンのかたちや色もひとつとして同じものがありません。

通常のアクアマリンのような鮮やかさはありませんが、そのぶん穏やかで落ち着いた印象なのもポイントです。
ひとつとして同じものがないということは、色合いやグラデーションの入り方、インクルージョンのかたちなど、自分にとって特別な石を見つける楽しみもありますね。天然石ならではの自然な輝きを楽しめる石です。

キャッツアイ アクアマリン

キャッツアイアクアマリンとは

アクアマリンの中でも透明度が低く、インクルージョンが含まれているものを「ミルキーアクアマリン」と呼びます。
ミルキーアクアマリンは通常のものと比べて透明度は低いものの、優しく可愛らしい雰囲気になるのが特徴です。

薄い水色からグリーンまで、さまざまな色合いのものがありますが、その中でも石の中心が直線状に光るものを「キャッツアイアクアマリン」と呼びます。丸くなめらかなカボションカットの中心に入る光が、まるで猫の目のように見えることから名づけられたキャッツアイアクアマリンは、そのボリューム感や神秘的な雰囲気で多くの方に愛されています。

天然石素材としてのアクアマリン

アクアマリンの使用例

アクアマリンにまつわるさまざまな伝説や種類について解説してきましたが、ここでは実際にアクアマリンを使ったハンドメイドジュエリーを制作する際の注意点やポイントをご紹介したいと思います。

アクアマリンのモース硬度は7.5~8と比較的耐久性が高く、天然石ブレスレットなどの素材として普段使いに充分耐える硬度を持っています。お手入れの際も石鹸を含ませたお湯や洗浄機を使用することが可能です。

しかしモスアクアマリンやミルキーアクアマリンのようにインクルージョンを多く含んだものは、欠けやクラックが生じやすいため柔らかい布等で拭う程度に留めましょう。
また、金具やワイヤーなどに水分が残ることで、劣化や破損が起きやすくなります。洗浄のあとは、水分を完全に取りのぞくようにしましょう。

天然石ビーズとしての耐久性も高く、使い勝手の良いアクアマリンですが、他の素材と組み合わせる際には注意が必要です。アクアマリンと相性が良いとされ、ブレスレットやネックレスなどに組み合わせることが多いラリマーやラピスラズリは、モース硬度が5.0前後とアクアマリンよりも傷つきやすくなっています。なにかの拍子に天然石同士をぶつけてしまうと、傷や割れが生じる恐れがあります。

デザインを考える際は石同士がぶつからないよう、間にパーツを挟む等の工夫をしたいですね。

アクアマリンのモース硬度

アクアマリンのモース硬度は7.5から8とされています。

モース硬度とは宝石の硬さを示すスケールで、1(最も柔らかい)から10(最も硬い)までを表します。アクアマリンの硬度は比較的高いため、日常使いにも適しています。しかし、適切なケアとメンテナンスは必要です。

アクアマリンを長持ちさせるためには、以下の点に注意しましょう。

アクアマリンのケアとメンテナンス方法

  • クリーニング:アクアマリンは、柔らかい布やブラシを使って温水と石鹸で優しく洗います。洗浄後は、柔らかい布で水分をしっかりと拭き取りましょう。
  • 衝撃からの保護:硬度が高いものの、強い衝撃には注意が必要です。硬い物質との接触を避け、特に他の宝石との摩擦に注意してください。
  • 化学物質からの保護:化粧品や日焼け止め、洗剤などの化学物質が付着すると、宝石の色合いや輝きを損なう可能性があります。
  • 適切な保管:他の宝石との接触を避けるため、柔らかい布や宝石用の袋に入れて保管すると安心です。

簡単なケアとメンテナンスを心掛け、アクアマリンの美しさを長期間保っていきたいですね。

まとめ

この記事では天然石としてのアクアマリンの特徴や産地、さまざまな種類について解説してきました。海の色を溶かしこんだようなアクアマリンは、遠い昔から多くの人に愛され、多くの伝説を残しています。

美しい色合いをどのように活かしてデザインするか、アイデアが無限に広がりそうですね!

アクアマリンの鉱物データ

英名Aquamarine
和名藍柱石  藍玉 らんちゅうせき らんぎょく
化学式Be3Al2SiO6
薄青 水色
モース硬度7.5 - 8
劈開性不明瞭
屈折率1.57~1.61
結晶六方晶系
比重2.65-2.80
誕生石3月
石言葉幸福 富 聡明
オンラインストア
アクアマリンの素材を紹介

アクアマリンのアイテム一覧

このコラムで紹介しているアクアマリンの天然石アイテムはこちらからご覧いただけます。

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