琥珀(こはく)壮大なロマンを閉じ込めた太古の賜物について

琥珀(こはく)の虫入りブレスレット

世界中の映画ファンや恐竜マニアを魅了している映画「ジェラシックパーク」は、琥珀の中に閉じ込められた血を吸った蚊の血液からDNAを抽出して恐竜のクローンを作るという物語です。シリーズ化され何作も映画化されてきましたね。

この映画から琥珀(こはく)に注目が集まるようになり、特に毛や虫など内包物が入った琥珀の人気に拍車がかかりました。琥珀には、壮大なスケールの未知なる世界が閉じこめられています。これから琥珀を解説しつつ、皆様を太古の世界へとお招きいたします。

この記事の内容

琥珀(こはく)ができるまで

琥珀は数千万年前の松柏科の植物が分泌した樹液(樹脂)が地面に落ち、土砂に埋まり地中で固まり硬化したものです。

何かの衝撃により樹木の樹皮が傷つけられると、自然の治癒力としてその傷を塞ぐように樹脂が出ます。その樹液の匂いに誘われ、虫や小動物達がやってきます。虫は結局足を取られ、小動物は毛を残し、流れ出る樹脂の中に封じ込められていきます。

それは風に舞い降りた植物の葉や花びら木の破片や雨や霧の水滴までも道連れに、太古のかけらを閉じ込めて琥珀となっていくのです。

琥珀はアンバーとも呼ばれる、琥珀の原料の樹液

地上にしたたり落ち、そしてじんわりと固まっていきます。自然の力で崩壊した地層から洗い出されて、川や海に流され海岸に打ち上げられたものや、流れ着いた場所でさらに地層になり、また洗い出されて流されて・・・といった何千万年という長い長い歳月を重ねて琥珀は地表に出てくるのです。

樹脂の化石とは言え、琥珀は鉱物ではないので、硬度は弱く叩くと簡単に砕け、火にくべると心地よい香りを放ちながらやがて300度位で燃えてしまうといった儚さを持ちます。どんな樹脂でも琥珀になるわけではなく、現在産出されている琥珀の樹脂は絶滅したナンヨウスギなどの一種だと言われています。

琥珀の産地

琥珀は、遠い昔中国では死んだ虎の塊が石になったと信じられ「虎魄」と書きましたが、これが日本名の「琥珀(こはく)」の由来であると言われています。 琥珀は「アンバー」とも呼ばれ、アラビアの語源である「軽くて海に漂う」と言う意味の「アンバール」からきたという説があります。

では、琥珀は一体どこで産出されるのか知っておきましょう。

 バルト海沿岸の琥珀

バルト海で採れる琥珀はバルティックアンバーと呼ばれる。琥珀の原石の写真。
バルト海「アンバー」

琥珀の産地として有名なのは、バルト海沿岸です。バルト海沿岸で採れる琥珀は「バルティックアンバー」と呼ばれ、宝石としての価値が高く世界中の愛好家らに支持されています。

北欧バルト海の岸辺に打ち上げられた琥珀は、18世紀前半までは海の産物と信じられていました。琥珀は軽いので、地表の琥珀が川から海に流されて海水に漂いながら海岸に辿りつくのです。このことからも前述した「アンバー(軽くて海に漂う)」と呼ばれる所以がわかると思います。

琥珀は「海の夕日の精が固まってできたもの」だとか、「人魚の涙」などとバルト海沿岸では伝えられ大切にされてきました。その後地上でも琥珀が採掘されるようになり、琥珀は金と同じ価値の取引が行われてきました。

バルト海と地中海東部ヨーロッパを結ぶ交易路は「アンバー(琥珀)ロード」と呼ばれ、バルト海沿岸で採れる琥珀は「アンバーロード」を通って中部・東部ヨーロッパに運ばれました。

日本の久慈の琥珀

昔日本では琥珀のことを「ナンブ」と呼んでいたそうです。それは、南部藩のあった岩手県が日本きっての琥珀の産地だったからです。

岩手県久慈市の琥珀は、縄文時代中期には採掘されており、遺跡から数多く出土されています。室町時代には産業化され、江戸時代には南部藩の重要な産業の一つとして大勢の琥珀細工士達が働いていたと言います。品質の良い琥珀は装飾品に利用され、良くない物は線香の材料として使用されてきました。

「石っ子賢さん」で有名な宝石好きの「宮沢賢治」の生まれ故郷は岩手県です。賢治の実家は質屋を営んでいたので、琥珀については幼い頃から見聞きして馴染み深かったのだそうです。

琥珀の有名な産地、岩手県
岩手山

あけがたの琥珀のそらは凍りしを大とかげらの雲はうかびて」

賢治が友人と岩手山に登ったときに日の出を待つ頂上付近で歌った短歌です。 これから迎える暖かい日の出を琥珀にたとえながら、その琥珀の空に流れる雲を太古の時代の恐竜に見立てている、とても印象深い作品です。

琥珀の色と種類について

琥珀には様々な色が存在し、水滴や植物を含む物や、コレクターに人気の虫入り琥珀など、内包物がそのままの形で閉じ込められたものがあります。

誰もが行ったことのない未知なる太古の時代の生物がそのまま閉じ込められているかと思うと、ウキウキしてきませんか?

琥珀の色

琥珀の色についての解説、説明

琥珀は透明なものから半透明、不透明とあります。琥珀の色としてポピュラーなのは、ウイスキー色ですね。濃淡はありますが黄色やゴールドの、ねっとりとした蜂蜜色が一般的に親しまれていると思います。

しかしながら、琥珀には様々な色が存在するのをご存知ですか?

色は赤に近いコニャックのようなチェリーアンバーや、不透明なやさしい色合いの乳白色もあります。とても希少で価値が高いと言われているのが青く光る琥珀、ブルーアンバーです。樹脂に含まれている成分により紫外線に反応して淡い色からブルーに変化します。黒い布などの上に置くとブルーが一層引き立ちます。うっすらとグリーンが出る場合もあります。

 内包物入りの琥珀

虫入り琥珀のビーズ、ブレスレット

宝石は内包物(インクリュージョン)がなければないほど希少であり価値が高いと言いますが、琥珀の場合は違います。琥珀色といったノスタルジックな黄昏色の中に、壮大な世界が広がり、内包物が何千万年も前の地球を物語っているのです。

それは虫や動物の毛に収まらず、鳥の羽やとかげや小動物といった珍しい物まであります。2020年3月にミャンマーで鳥のような恐竜の頭部の化石が入った琥珀が見つかったと報じられました。約1億年前の琥珀だと言われ、世界最小の恐竜である可能性が高いのだそうです。また同時期の琥珀にサソリのような形をした生物が完全な形で見つかっています。

3キロを超える巨大な琥珀も見つかっていることから、人間が誕生する遙か昔の地球上には想像もつかないような巨木や、樹液を大量に流して敵から身を守り生命を維持するような植物がたくさん生い茂っていたのかもしれません。タイムスリップするかの如く、琥珀を見つめているだけで妄想が膨らみます。

残念なことに琥珀は年々産出量が減ってきています。当然珍しい内包物を閉じ込めた琥珀は、希少価値が上がっています。

豪華絢爛「琥珀の間」のミステリー

ロマノフ王朝の威信の象徴であった「琥珀の間」は、一流バロック建築家と彫刻家にデザインさせた琥珀と金で装飾された豪華絢爛な部屋です。部屋の一面は、総重量6トンの最高品質の琥珀10万個で埋め尽くされ、壁やテーブル、彫刻や燭台など細部にわたり全てが琥珀でできた世界に無二のものです。

エカテリーナ宮殿に移送されてからは、女帝エカテリーナがこの煌びやかな部屋をとても愛したと言います。しかしながら「琥珀の間」は、第二次世界大戦によって消滅してしまいます。第二次世界大戦の独ソ戦でドイツ軍はエカテリーナ宮殿に突入します。宮殿内にあった多くの美術品や絵画、そして琥珀の間もはがされ解体され、当時のドイツ領であった、現ロシアのカリーニングラードの城へと運ばれていきます。

たくさんの琥珀を使用したロマノフ王朝の「琥珀の間」
再現された「琥珀の間」

1944年8月の2度に渡るイギリス軍の空爆により城は破壊され、琥珀の間は行方不明となります。終戦後、当時のソビエトは国家委員会を立ち上げ、戦争によって失われた美術工芸品の調査に乗り出します。中でも「琥珀の間」の捜索は重要視されたそうです。当時のカリーニングラードの城の館長は、「琥珀の間は全て燃えてしまった」と証言しています。

エカテリーナ宮殿にて琥珀の間を管理していた人物は、何度もカリーニングラード城の焼け跡を見に行きましたが、燃え尽きた琥珀の残存物はどこにも見当たらなかった為「琥珀の間は燃えていない。空爆前にどこかに移されたのではないか」と言いました。琥珀は燃えやすいことから、空襲により燃え尽きてしまったという説が有力ですが、誰もが燃えて跡形もなくなってしまったなんて思いたくないはずです。

月日が流れ、別件の絵画盗難事件を捜査していた警察によって一枚の絵画が発見され、「琥珀の間」に飾られていた絵画であると鑑定されたという説もあります。これは一体何を意味するのでしょうか?空爆を受ける事を察知して、城内の美術工芸品や「琥珀の間」も運び出されていたと言う説も侮れませんね。

戦火の炎の中、人間の浅はかさをあざけ笑うが如く心地よい香りを放ちながら燃え尽きてしまったのか・・・。秘密組織の地下部屋でその煌びやかな姿をマニアのためだけに捧げているのか・・・。妄想は限りなく膨らんでしまいます。皆様はどう思われますか?

24年の歳月をかけて、2003年エカテリーナ宮殿に「琥珀の間」が復元されました。豪華絢爛な芸術作品として、世界中から多くの観光客が訪れています。様々な思いを巡らしながら、一度は訪れてみたいと願う今日この頃です。

琥珀のもつパワーについて

琥珀は日本では古墳時代から、バルト海沿岸では新石器時代のお墓から発見されています。琥珀は帯電効果があり幸福を引き寄せる守護石として身につけられ、崇められてきました。

また、琥珀は火に投じるとマッコウクジラの腸内の結石から作る香料である「竜涎香」に似た香りがすることから、魔を払うとされ魔除けとして大切に扱われてきたそうです。琥珀のもつ神秘なパワーについて知っておきましょう。

琥珀の石言葉・効果について

琥珀の王妃といわれるグリーンアンバー、緑色の琥珀
【琥珀の王妃】と讃えられる南米産のグリーンアンバー

琥珀の石言葉は、「活性」「繁栄」「長寿」です。

木々の葉が光によって水を分解して酸素を生み出すように、その木々の樹液からできている琥珀には負のエネルギーを排出し、プラスのエネルギーを取り込むパワーがあると言われています。琥珀は気持ちや体力を活性させ、健やかで穏やかなパワーを充電させてくれます。

紀元前600年頃、古代ギリシャの哲学者タレスは、琥珀をこすると静電気が生じることを発見しました。ギリシャ語で琥珀のことを「エレクトロン」と呼ぶことから、琥珀が電気の語源になったと言われています。しかしながら、タレスはこの吸い寄せる力を磁気によるものと思っていました。これが静電気だと解明されたのは、その後2000年も経ってからでした。琥珀のパワーは科学的にも研究されているのです。

琥珀はこんな方におすすめしたい

ストレス社会の今、憂鬱さや息苦しさ、イライラを感じていませんか?仕事や人間関係、自粛生活にストレスを感じたら、琥珀を手に軽く握ってみてください。琥珀の温かみのある感触が心を落ちつかせてくれるはずです。 まぶたの上に琥珀をあててみると、穏やかで心地よい温度感でリラックスでき、目の疲れが和らぐとも言われています。

また、琥珀を見つめるだけでも小さい空間の中に広がる神秘な世界観を感じることができ、気持ちも楽になると思います。タフになれるというパワーは、太古の昔から人間のみが神様に与えられた大きな恵みです。琥珀を身につけて、タフになってストレスやイライラを発散させましょう。

琥珀を使ったアクセサリー

琥珀のアクセサリー

琥珀はその質感から、冬は温かく夏はひんやりするといった、とても肌馴染みが良い特徴があります。また、琥珀は植物由来であるため比重が1.05~1.1と軽く、硬度も2~2.5と人間の爪と同じくらいです。

天然石では重たいと感じる大きなペンダントヘッドやネックレスでも、琥珀は軽いので身体への負担は皆無です。むしろ心地よいつけ感にびっくりすると思います。特にピアスやイヤリングに最適です。

また、琥珀は色合いや質感がふんわりとしているので、大ぶりな物でも嫌みな威圧感もありません。琥珀のビーズも、丸玉からオーバル、タンブルやキューブ型、カットやチップなど多種類の製品が出ていますので、ハンドメイド作家さんにとってデザインのバリエーションがたくさん浮かびあがってくると思います。同系色の色合いの違うマルチカラーのビーズを使用すれば、何も加えなくてもそれだけでとっても豪華なアクセサリーができますね。

カボションカットの琥珀のペンダントトップを作ったら、ネックレス部分をチェーンにしないで琥珀の4ミリ位の丸玉で繋げてみるのはいかがでしょうか?チェーンよりも軽く肌にも馴染むので、金属アレルギーがある方にもお勧めです。琥珀色は白や黒などどんな色にも合わせやすいので、コーディネートもしやすいと思います。

琥珀をお洒落に楽しむと共に、太古の肌合いを直に感じてみてください。

まとめ

琥珀の壮大なロマンを感じていただけましたでしょうか?古くは何千万年も前の原始の森に茂る木々の樹液からなる琥珀が、今目の前にあるなんて奇跡的な出会いだとは思いませんか?

今宵は琥珀を見つめながら琥珀色に満たされたグラスを揺らし、凝縮された時間の重さに酔いしれたいと思います。

琥珀(アンバー) の鉱物データ

英名Amber
和名琥珀(こはく)
分類マンガンの炭酸塩鉱物 
化学式MnCO3
灰、赤、紅、桃、黄、褐色
モース硬度3.5-4
劈開性3方向に完全
屈折率1.60-1.80
結晶系六方晶系
断口不規則な貝殻状
条痕白色
比重3.45-3.60
光沢ガラス光沢~真珠状
誕生日石7月
石言葉女性性を豊かにする

琥珀(こはく)の販売商品

オンラインストア
琥珀のブレスレット

琥珀(こはく)の商品一覧

このコラムの琥珀(こはく)のビーズやルースをはじめとする天然石アイテムをご紹介しています。

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