
スキャポライトという名前は一般的には聞かないかもしれません。レアな鉱石のため、取り扱っている店も少ないようです。しかし実はスキャポライトは、産地によってさまざまな表情をもつ面白い石なのです。
そのカラーからアメジストやシトリンと間違えられることもしばしばありました。なぜ本来は全く違う鉱物と間違えられるのか、その理由や特徴などスキャポライトの秘密を解明していきましょう。
スキャポライトの石言葉や効果についても紹介しているのでぜひ最後までお読みくださいね。
スキャポライトの鉱物データ

英名 | Scapolite |
和名 | 柱石 |
組成 | 珪酸塩鉱物の一種 メイオナイトCa4[CO3|Al2Si2O8)3]と マリアライトNa4[Cl|(AlSi3(O8)3]の固溶体 |
結晶系 | 正方晶系 |
硬度 | 5.5 - 6 |
比重 | 2.5 - 2.74 |
屈折率 | 1.54 - 1.58 |
劈開性 | あり |
光沢 | ガラス光沢 |
色 | カラーレスやホワイトが多い イエロー、パープル、グレー、 ピンク、ブラウン、オレンジ等 |
石言葉 | 独立、決断、意志、信頼、自立心 |
スキャポライトの鉱物的特徴

スキャポライトは、ケイ酸塩鉱物の一種で、メイオナイト(Ca4[CO3|Al2Si2O8)3])と(マリアライトNa4[Cl|(AlSi3(O8)3])が融合した鉱石です。
それぞれ、純粋な結晶体で見つかることがなく、どの結晶も2つの元素が最低20%以上は含まれているという特徴があります。またスキャポライトの結晶の特徴として、大きな結晶が見つかりやすいというものもあります。
過去には25cmの長さのものが発見されたという記録もあります。
スキャポライトのモース硬度は、5.5~6.0と鉱物にしては少し柔らかいうえに、一定方向に力が加えられると割れる劈開性があるために、取り扱いには注意が必要です。
スキャポライトの名前の由来

スキャポライトは、実は鉱石単体の名前ではなくグループ名のひとつです。
和名で「柱石」とも呼ばれるとおり、スキャポライトは柱状に結晶します。そのため、スキャポライトも、ギリシャ語で柱を意味する「Scapos」と石の意味の「Lithos」から名付けられています。
石を個体で分析する際には、Caが多く含まれていれば「メイオナイト(和名:灰柱石)」、Naが多く含まれている石は「マリアライト(和名:曹柱石)」と分類されます。
また日本では、アルファベットをそのまま読んだ「スカポライト」と呼ばれることもあります。
スキャポライトのバリエーション

スキャポライトのカラーバリエーションは実に多彩です。
代表的なものとして、マリアライトはアメジストのような美しい紫に発色しています。
そのほかには、無色やカラーレスものをはじめとして、イエロー、ピンク、ブラウン、オレンジ、グレーなどもあり同じ石のグループとは思えないほどです。
またスキャポライトには、内包物が多く見られます。この内包物が、スキャポライトの色や効果を生み出しているのです。
スキャポライトの持つ美しい効果を紹介しましょう。
スキャポライトキャッツアイ

鉱石のなかにチューブ状の内包物があるものにカボションカット(中央が盛り上がったドーム状のカット)を施すことで、キャッツアイ効果により、美しいラインが現れます。
パープル、赤褐色、ダークグレー、ピンクなどバリエーション豊かな色のなかにキャッツアイが楽しめます。
レインボースキャポライト
レインボースキャポライトは無色の結晶の中に、褐色~茶褐色の縞模様が楽しめる石です。
「褐色なのになぜレインボー?」と思われるかもしれませんが、暗い場所で強い光を当てると、無色の鉱石の中にレインボーカラーの光が浮かび上がります。
まるで昼と夜に別の表情を見せているような石で、飽きることがないでしょう。
テネブレッセンススキャポライト

昼と夜に別の表情を見せるといえば、テネブレッセンススキャポライトも負けてはいません。
この石は蓄光性があるため、ブラックライト(紫外線)をしばらく当ててからライトを消すと、光を放つように石の色が変わります。
無色の石から、淡いピンクやオレンジ、イエローなど可愛い色の石に変身するのです。
この蓄光する効果は、テネブレッセンス効果と呼ばれ、ハックマナイトやジルコンの一部に現れる効果です。 専門家やコレクターの間でも人気が高い石です。
スキャポライトの産地

スキャポライトの主な産地はカナダ、アメリカ、ミャンマー、タンザニア、スリランカ、マダガスカル、ブラジル、フィンランドです。
変成岩、石灰質片麻岩、緑色片岩の採れる場所で見つかることが多く、大理石のなかから見つかることもある石です。
中でも、宝石質のものはミャンマー、タンザニア、中国、オーストラリアで産出されることが多い特徴があります。
これほど、各地で産出されるスキャポライトですが、なぜか「マリアライト」だけは、アフガニスタンでしか産出されていません。
美しい紫のマリアライトはとても希少性の高い石です。
またスキャポライトは日本でも産出された記録があります。
スキャポライトの石言葉・意味・効果

鉱物としても、さまざまな面白い特徴を持つスキャポライトに興味が出てきた方も多いのではないでしょうか。 さてここからは、パワーストーンとしてのスキャポライトについて迫ってみましょう。
スキャポライトの石言葉
スキャポライトは、「人生の羅針盤」との異名を持つほどの石です。甘えや弱さを取り払い、自分の意思で人生を歩けるようにサポートしてくれるのです。
そのため、石言葉も
- 独立
- 決断
- 意志
- 信頼
- 自立心
と持つ人を後押ししてくれる言葉が並びます。
スキャポライトの効果
スキャポライトは、次のような効果を求めている方にぴったりの石です。
- 甘えや心の弱さから脱却して自立したい方
- 自分の意思を持ち、相手にはっきり伝えたい方
- 常に正しい道を選択し、突き進んでいきたいと考えている方
- 直感力や決断力を鍛えたい方
など、現在の自分に自信がない方や心が弱っている方に、精神的な強さを与え、サポートしてくれる石です。
転職や独立など、新しい門出を迎えている方へのギフトとしても喜ばれるでしょう。
スキャポライトのお手入れ・浄化方法

スキャポライトは、モース硬度が5.5~6.0と、鉱石のなかではやわらかく、劈開性があるため、普段の取り扱いも少し注意が必要な天然石です。
汚れや水気は、気が付いたときにやわらかい布かセーム革でふき取るようにしましょう。汚れが気になった際のお手入れにも、流水や超音波洗浄機などの強い刺激を与える恐れのある方法は避けてください。
浄化の際も、流水や太陽光(直射日光)を避け、月光浴やセージ、クラスタ、音浴などマイルドな浄化を行ってください。
まとめ
まだまだ一般は知名度が高くないけれど、コレクターには人気のスキャポライトについて今回はご紹介しました。
そのままでも、クォーツのようなガラス光沢が美しい石ですが、光の当たる角度や、紫外線の効果などよりさらに美しい姿で楽しませてくれます。
またパワーストーンとしても、「人生の羅針盤」として進むべき方向を指し示し後押ししてくれる力強さを持っています。
アフガニスタンに産地が限定されるマリアライトなど、スキャポライトを目のする機会は少ないかもしれませんが、ご縁があればぜひ手に入れてみてください。
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