スフェーン|ダイヤモンドを凌ぐ輝きとその魅力

スフェーンの基礎知識について

近年、注目度が高まっている宝石の代表格がスフェーンです。

ダイヤモンドを凌ぐとも言われる輝きを放つスフェーンは、その希少価値も相まって人気を博しています。この記事では、そんなスフェーンについて解説し、その魅力に迫っていきたいと思います。

この記事の内容

スフェーンとは / 鉱物名はチタナイト

スフェーンの鉱物名と宝石名とは

スフェーンはチタンを含むケイ酸塩鉱物で、鉱物名はチタナイトです。一般的には、宝石として紹介する場合はスフェーン、鉱物の場合はチタナイトと表記されます。

スフェーンという名称は、その特徴的な「くさび形」をした結晶の形に由来します。ギリシャ語で「くさび」を意味する言葉は「スフェノス(sphenos)」です。このスフェノスが由来となり、スフェーンと呼ばれるようになりました。

スフェーンの特徴

スフェーンの色や特徴について

スフェーンはさまざまな特徴を持つ宝石です。先ほどお伝えしたようにくさび形をした結晶もそのひとつですが、ここではその他の注目すべきスフェーンの特徴を紹介したいと思います。

スフェーンの特徴:色

スフェーンは、保有する成分によって個体の色が異なりますが、主に黄色から緑色までの色合いがあります。黄緑色のスフェーンは「マスカットグリーン」「ライムグリーン」などと表現されることもあり、爽快感のある美しさが魅力です。

チタナイトと呼ばれる通り、スフェーンはチタンを含みますが、その含有量が多くなると暗い色調になります。一般的にアクセサリーやジュエリーとしてのスフェーンは、鉄分を含む黄緑色が多く、先ほどのマスカットグリーンやライムグリーンカラーの爽やかな色を見せてくれます。一方、クロムを多く含有しているスフェーンは深みのあるグリーンに輝き、より価値があるとされています。

また、一部のスフェーンでは多色性が見られたり、カラーチェンジするものもあります。多色性については後述しますが、カラーチェンジは太陽光や白熱灯などの種類の違う光源を当てたときに異なる色を見せる現象です。太陽光ではグリーンに見え、白熱灯の下では赤く燃えるような色に変わるスフェーンもあります。

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スフェーンの特徴:高い屈折率とファイア

ファイアとは、宝石用語で「虹色の輝き」のことを指します。スフェーンの大きな特徴のひとつは、時にダイヤモンドよりも激しいファイアを見せる宝石であるという点です。

スフェーンはダイヤモンドクラスの屈折率を持ちます。そのため、光を分散させる力も強く、力強いファイアを放つ個体を見ることができます。一般的に濃いグリーンカラーの地色を見せるスフェーンは、ファイアが薄まる傾向があり、イエローカラー系のスフェーンの方が美しいファイアを確認することができます。

スフェーンの特徴:硬度と希少性

ダイヤモンドの輝きと比較されるほどのスフェーンですが、硬度が低く、傷つきやすいというという特徴があります。モース硬度は、鉱物の硬さを表す尺度の1つですが、ダイヤモンドのモース硬度は10です。一方、スフェーンのモース硬度は5-5.5と、2つを比較すると大きな差があります。

もともとスフェーンは、宝石には適さないと考えられていましたが、この低い硬度がその理由です。しかし、素晴しい美しさを見せるスフェーンは、その硬度の低さにも関わらず、今では人気宝石の地位を獲得しました。傷つきやすく割れやすいスフェーンは、自然界で大粒の結晶として見つかることはあまりありません。そのため、希少性も必然的に高まり、希少価値の高い宝石となっています。

さらに、先ほどお伝えしたファイアが強く現われるスフェーンは貴重です。スフェーンはその硬度の低さから、インクルージョンを多く含むという特徴もあります。それがファイアの輝きに影響を与えてしまい、力強いファイアが見られるスフェーンをより希少にしています。

スフェーンの特徴:多色性と高い複屈折性

スフェーンには多色性という特徴もあります。多色性とは、見る角度によって異なる色を見せる現象のことです。これは、一部の鉱物が持つ結晶の特性による光学現象のひとつで、単一の色やグラデーションとは異なる発色をします。グリーン系のスフェーンであれば、見る角度を変えると黄色に色づいたイチョウのような色に見えたりするものもあり、同じ個体でも印象が変わって見えます。

また、スフェーンには複屈折性もあります。スフェーンの内部に光が入り込むと、その光は屈折しますが、その際に2つの光線に別れるという性質です。これによって、スフェーンの輝きに柔らかさが加わり、優しさを感じることができます。

スフェーンの産地と鉱物情報

スフェーンの産地と鉱物情報

スフェーンは日本も含め、アメリカやインドなどさまざまな地域で産出されています。ただし高品質なスフェーンが多く採れる産地は限られており、マダガスカルやロシア、パキスタン、ミャンマーなどがその産地に挙げられます。

ロシアで採れる一部のスフェーンは、ロシアンスフェーンと呼ばれるものもあり、力強い赤色のファイアが見られる点が特徴です。

スフェーンの石言葉

スフェーンの石言葉と意味

宝石には、それぞれ石言葉(宝石言葉)と呼ばれるその石に込められた言葉があります。比較的新しい宝石であるスフェーンにも、この石言葉がつけられています。

スフェーンの石言葉は、純粋・永久不変・成功・幸運・富・目標達成です。

スフェーンを身に着ける意味

スフェーンは、パワーストーンとして扱われることもあります。パワーストーンとしてのスフェーンは、先ほどの石言葉に見られるようなポジティブな意味を持ち、物事をマイナスからプラスへ導く力を持つと言われています。そのため、スフェーンは目標達成に向けて背中を押してくれ、成功へ導いてくれるような力を求める人にもおすすめの石です。

高級ジュエリーとして販売されているスフェーンは、高価格で手軽に身に着けることは難しいかもしれませんが、パワーストーンとして扱われているスフェーンは手頃な価格帯のものも数多くあります。また、ハンドメイドアクセサリー用のスフェーンの天然石などもあり、手に入れる機会は少なくありません。

石言葉にあるようなポジティブさと明るい未来を求め、これらのスフェーンを身に着けることもおすすめです。

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スフェーンのヒーリング効果

心を穏やかにする効果

スフェーンは、その柔らかく優しいエネルギーによって、心を落ち着かせる効果があると言われています。日常生活の中で感じるストレスや不安を和らげ、内面から穏やかさをもたらすことで、精神的な安定を促します。この石を身につけることで、心の平和を保ちやすくなり、冷静でバランスの取れた判断ができるようになるでしょう。

成功へと導く効果

スフェーンは、持ち主の潜在能力を引き出し、目標達成や成功へと導く力を持つとされています。この石は、クリアな思考と集中力を高め、新しいアイデアやインスピレーションを促すことで、創造性と実行力をサポートします。また、チャレンジ精神を刺激し、困難な状況に立ち向かう勇気を与えることで、人生の目標に向かって前進する手助けをします。

人生を豊かにする効果

スフェーンは、人生を豊かにするためのエネルギーを持っているとも言われています。この石が放つポジティブな振動は、持ち主に幸運を引き寄せ、豊かな人生を実現するサポートを提供します。また、人間関係を円滑にし、愛情や友情を深める効果があるともされており、人生における大切な繋がりを強化します。

7月の誕生石に加わったスフェーン

スフェーンの効果と注目度

近年、スフェーンに関する話題で注目を集めたのが、この宝石が7月の誕生石に定められたことです。7月の誕生石といえば、宝石の女王と称され、赤色が美しいルビーが有名ですが、2021年12月にスフェーンが7月の誕生石に加わりました。

これは、全国宝石卸商協同組合が63年ぶりに日本の誕生石のラインアップを改定したことによるものです。スフェーンを含む合計10種類の宝石が、さまざまな月の誕生石に新たに加わっています。

スフェーンが7月の誕生石に選ばれた主な理由は2つあります。1つは1787年にスフェーンを発見した人物が7月生まれであったこと、2つ目はスフェーンの色や輝きが日本の夏の森を連想させるという理由です。

ルビーと並び7月の誕生石となったスフェーンは、これからより注目度が増し、宝石業界の発展の一部を担う存在となっていくでしょう。

スフェーンの魅力

ここまで、スフェーンについての解説を行ってきましたが、最後にスフェーンの魅力についてお伝えしたいと思います。スフェーンの大きな魅力は、さまざまな表情を見せてくれる点です。虹色の輝きを見せるファイアや多色性、またカラーチェンジなど、スフェーンが私たちに与えてくれる美の印象はひとつではありません。

また、力強く豪華絢爛な輝きを放つスフェーンもあれば、優しい輝きを放つスフェーンもあります。そのため、身に着けるシーンやその時の気分によって、個性の異なるスフェーンを選ぶ楽しさも味わうことができます。

7月の誕生石に選ばれ、より注目度が高まっているスフェーンは、これからもっと多くの人々の手に渡り、その輝きによってさまざまな物語と歴史を作っていくでしょう。今回は、スフェーンについてお伝えしました。ぜひ一度手に取っていただき、その魅力を肌で感じてみていただければと思います。

スフェーンの鉱物データ

英名Sphene
鉱物名チタナイト(Titanite)
和名くさび石・チタン石
分類ケイ酸塩鉱物
化学式CaTi[O|SiO4]
黄色~緑、黄緑、翠緑、赤橙、灰、褐黒色
モース硬度5-5.5
劈開性2方向に明瞭
屈折率1.90-2.034
結晶系単斜晶系
断口貝殻状
条痕緑色を帯びた黒色
比重3.45-3.60
光沢金剛光沢
主な産地マダガスカル・ロシア・パキスタン・ミャンマーなど
石言葉純粋・永久不変・成功・幸運・富・目標達成
オンラインストア
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スフェーンのアイテム一覧

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