
ジャスパー(碧玉)には、緑色や黄色、白色などさまざまな色合いのものがあります。
なかでも濃厚な赤色をしたものは、レッドジャスパー(赤碧玉、赤色碧玉)と呼ばれ区別されています。
鮮やかな赤い色をしたものもあれば、土のような茶色をしたものもあり、どっしりとした印象を持つレッドジャスパー。その印象にふさわしく、「生命の源の石」「大地を象徴する石」とされ、古代より世界各地でお守りとして重宝されてきました。
今回は、レッドジャスパーの特徴や基本情報、歴史、意味・効果について解説します。古代より人々がレッドジャスパーにどのような思いをこめてきたのか、その一端をご紹介していきます。
レッドジャスパーの鉱物データ

英名 | Red Jasper |
和名 | 赤碧玉、赤色碧玉 |
組成 | SiO2+混合物、不純物 |
モース硬度 | 7 |
比重 | 2.65 |
光沢 | ガラス光沢 |
屈折率 | 1.55 |
へき開性 | 不明瞭 |
結晶系 | 三方晶系(六方晶系) |
色 | 赤褐色 |
主な産地 | インド、ベネズエラ、南アフリカ共和国、日本、 エジプト、インドネシア、オーストラリア、中国、 ブラジル、ウルグアイ |
レッドジャスパーとは

レッドジャスパーとは、カルセドニー(石英の結晶)であるジャスパーの一種です。ジャスパーの和名は「碧玉」で、緑色や黄色、褐色、白色などさまざまな色をしています。レッドジャスパーは赤色や赤褐色をしているため、区別して「赤碧玉」と呼ばれています。
レッドジャスパーの濃厚な赤色の秘密は、鉱物の中に含まれているヘマタイト(赤鉄鉱)です。インクルージョンが20%以上と多いため透明感はほとんどなく、縞や網目模様などさまざまな表情を見せます。基本的に赤色や赤褐色をしていますが、なかにはオレンジ色をしているものもあります。
硬度は7と高く、火打ち石としても使用できるほどです。
主な産地はインドやベネズエラ、アフリカ、エジプトなど世界中で産出されています。日本の佐渡島からも産出されており、「赤玉石」と呼ばれています。

レッドジャスパーの歴史

レッドジャスパーは、古来より「生命の源の石」とされ、魔除けやお守りとして長いあいだ重宝されてきました。
古代の歴史を紐解いてみると、世界のあちこちで神話や祭事、儀式に重用されていた記録があり、人々の信仰に寄り添ってきた天然石だと言えます。 レッドジャスパーが古代の人々に重宝されていた一例をご紹介します。
お守りや祭事に使用されていたレッドジャスパー
レッドジャスパーは、インカ帝国では祭事に使用されていたり、ネイティブアメリカンの雨乞いの儀式に使用されていました。
レッドジャスパーは神話にも登場します。ゲルマン神話に登場するジークフリートは、竜退治の際、魔法の剣にレッドジャスパーをはめこんでいたそうです。
古代エジプトの文書『死者の書』にも、レッドジャスパーを用いた埋葬方法が記されています。
埋葬の儀式について記された『死者の書』の第156章には、女神イシスのお守りとして「チェト」を個人と共に埋葬するように指示する記述があります。「チェト」とは女神イシスの腰紐の結び目をかたどった護符であり、レッドジャスパーを入れたチェトを故人とともに埋葬すると、ミイラを守護し墓荒らしを防ぐと信じられていました。赤い色をしたレッドジャスパーは、女神イシスの血のお守りだと考えられていたのです。
医学に利用されていたレッドジャスパー
レッドジャスパーは、医学的にも効果があると信じられていました。古代バビロニアでは安産のお守りとして使用されていたそうです。中世ヨーロッパでは難聴などの治療に使われており、かつてドイツの医者が治療に使用したところ、効果があったと言われています。
装飾品や日用品として利用されていたレッドジャスパー
レッドジャスパーは古代日本でも、装飾品として重用されていた天然石です。出雲地方(現在の島根県)ではジャスパーが産出され、現在でも「出雲石」「出雲碧玉」という名称で親しまれています。古代日本ではレッドジャスパーも勾玉に加工され、装飾品として使用されていました。
ほかにも、彫刻や花瓶、庭石など、日用品としてさまざまな用途で用いられてきました。中世ヨーロッパでは、バイキングがレッドジャスパーを剣や斧を研ぐための石として用いていたという伝説があります。
このように、世界のあちこちでレッドジャスパーがお守りとして用いられてきました。
神秘的な赤い色は、古代から人々の心を惹きつけるものがあったのでしょう。レッドジャスパーの落ち着いたシックな赤い色と縞模様は、大地の地層や地中のマグマを思わせます。人々はそんなレッドジャスパーから、加護やエネルギーを得たいと思っていたのかもしれません。

レッドジャスパーのアイテム一覧
このコラムで紹介しているレッドジャスパーの天然石アイテムはこちらからご覧いただけます。
レッドジャスパーの意味・効果

縞模様が地層のようにも見えるレッドジャスパーは「大地を象徴する石」と言われ、身につけると太陽エネルギーと共鳴するとされています。肉体や精神を安定させ、調和する効果があると言われています。
レッドジャスパーの石言葉は、「情熱」と「自己抑制」です。
精神面では、メンタルを安定させる効果があるとされています。ストレスを解消して不安を取り除きたいときや、思考力、行動力を高め精神力を強くしたいときなどにおすすめです。
新しいことにチャレンジしたり、難局を乗り越えたりと、慌てることなく落ち着いて取り組みたい場面に適している天然石と言えるでしょう。
レッドジャスパーは肉体面にも効果があると言われています。肝臓や胆嚢、脾臓の働きを助けたり、臭覚や聴覚を回復するとされています。他には妊婦の体を保護したり、女性ホルモンを安定させるはたらきがあるとも言われています。
レッドジャスパーの赤褐色の色合いは血液のようにも見えるので、持っているとなんとなく肉体にも効果が現れそうな気持ちになりますよね。
心身ともに落ち着きを取り戻し、慌てず着実に物事を進めていきたいときにぴったりの石だと言えます。
レッドジャスパーのお手入れ・浄化方法

レッドジャスパーは硬い石なので、取り扱いは難しくありません。ただし、レッドジャスパーより硬度が高い天然石(ダイヤモンドやサファイアなど)と一緒に保管すると、レッドジャスパーに傷がついてしまう可能性があるため、分けて保管することをおすすめします。
水には強いですが、念のため汗や皮脂はこまめに拭き取ることをおすすめします。
また、すべての浄化方法に適しているため、好みの方法で浄化が可能です。
太陽光 | クラスター | セージ | 月光 | 水 | 音 |
◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
まとめ

大地のエネルギーを感じさせる神秘的な石、レッドジャスパーをご紹介しました。
古代より、世界のあちこちでお守りとして重宝されてきたレッドジャスパー。ヨーロッパやアメリカ大陸、エジプト、日本と、世界各地のレッドジャスパーの歴史を紐解くだけでわくわくしてきますね。赤褐色の色合いと地層を思わせる縞模様が、人々に力強いエネルギーを感じさせていたのかもしれません。
レッドジャスパーのどっしりした印象と同じく、その効果は精神や肉体を安定させるとされています。精神力を強化させたり、肝臓や胆嚢など内臓のはたらきを助けたりする効果があると言われています。
硬度が高い天然石のため、比較的取り扱いやすいがしやすく、あらゆる浄化方法に適しています。気兼ねなく手元に置いておけるという点で、重宝しそうな天然石ですね。
古代から受け継がれてきた大地のエネルギーを感じながら、心身の安定のために長く手元に置いておきたい天然石です。
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