
美容に関心がある人であれば、「雲母(うんも)」と聞くと、「ファンデーションなどに使われている成分」であると答え、電機関連に精通している人は、「絶縁体になる鉱物」と答えるかもしれません。
雲母は、きらきらとした輝きを持ちながら、一方で私たちの暮らしの安全を守ってくれるとても頼りになる鉱物です。
この記事では、雲母の鉱物的特性や名前の由来、またパワーストーンとしての雲母(うんも)の効果について解説しています。雲母と忠臣蔵の関連についても紹介していますので、雑学に興味がある人はぜひ最後まで読んでみてくださいね。
雲母の鉱物データ

英名 | Mica |
和名 | 雲母(うんも) |
硬度 | 2.5 - 3.5 |
比重 | 2.9 |
色 | 白色・黒色・灰色・緑色など |
光沢 | 真珠光沢 |
産地 | ブラジル、インド、マダガスカル |
雲母とは

雲母とは、ケイ酸塩鉱物の一種で、複数ある鉱物の総称です。
英名では「マイカ(Mica)」といい、日本でも電気関連の用語として雲母を「マイカ」と呼ぶことがあります。そのほかに「きらら」「きら」という呼び名もありますが、すべて「雲母」を指す呼び名です。
雲母のかけらのなかには、金色の輝きを見せるものもありますが、「Au(金)」が含まれていないもの面白いところですね。
雲母の大きな特徴は、「千枚はがし」という異名をもつほどに薄く剥がすことができるミルフィーユのような層になっている点でしょう。六角板状の結晶が、カリウムイオンによって結合しており、イオンの結合力が弱いため、カッターナイフなどでも剥がしたりキズをつけたりすることができるほどやわらかい鉱物です。

耐熱性があり、電気をとおしにくい性質もあることから、電気機器の絶縁体などとしても良く使用されています。
雲母の用途
雲母は私たちが気づいていないような場所や意外なほど身近なシーンで使用されている鉱物のひとつです。ここでは雲母の用途について紹介します。
- 絶縁体
熱に強く、電気を通しにくい性質からハンダごての絶縁体などとして使用されます。 - 誘電体
電荷(電気の負荷)をためる誘電体として、コンデンサなどに使用されています。 - 金属の切削油
金属を加工する際の潤滑油となり、摩擦熱を抑えるための切削油として使用されます。 - バーミキュライト
雲母に熱を加えることで、内部の水分が蒸発し、膨張します。水分が抜けた後は、多くの空洞ができるため、園芸用や農業の土代わりになったり、使い捨てカイロの素材として使用されたりしています。 - 画材・化粧品
薄く削り、粉砕することできらきらとした滑らかな素材となるため、化粧品の感触改良剤や基材として、また集光効果を生かした顔料として使用されています。 - 装飾素材
ビーズやルース、フレークとして加工され、アクセサリーなどの素材として使用されます。
雲母を含む鉱物たち

ここでは、雲母を含む鉱物のバリエーションについて解説しましょう。
モスコバイト(白雲母)

雲母を内包したクォーツをモスコバイトと呼びます。クォーツのなかで、雲母のかけらがきらきらと輝いて見えます。
和名では「白雲母」と呼ばれますが、多くのモスコバイトは、雲母と一緒にマンガンを含むアベンチュリンクォーツを指すことが主流になっており、全体的にピンク~赤系の色をしています。

とてもかわいらしい石です。
バイオタイト(黒雲母)

バイオタイトは、和名を「黒雲母」とよび、透明~半透明のクォーツのなかに黒に近い雲母が入っているものを指します。雲母の色は完全な黒ではなく、青みがかったものや緑色をしたものがあります。
ゴールデンブラックマイカ(金雲母)
ゴールデンブラックマイカは、黒地に金色のラインなどの文様が浮かび上がるシックなイメージの石です。
そのままでもゴージャスな雰囲気がありますが、光を当てることによりさらに輝いて見えます。
レピドライト(紅雲母・リチア雲母)

赤系の色を持つモスコバイトに対して、紫系のクォーツのなかにきらきらしたかけらが美しいのがレピドライトになります。紫も、薄紫~灰紫までバリエーションが豊か。
美しい紫のなかに雲母が幻想のように広がっています。
フックサイト(緑雲母・グリーンマイカ)

フックサイトも、白雲母の一種ですが、こちらは内包物にクロムが含まれていることから緑系の石になっています。フックサイトは、「グリーンモスコバイト」と呼ばれることもありますが、「グリーンマイカ」という呼称で市場に出回るものも多いようです。
パラゴナイト(絹雲母)
上質の絹のような滑らかな肌当たりのよい雲母がパラゴナイトです。化粧品の基材などとしても使われるのがこちらの雲母になります。雲母の色は白以外にもオレンジや黄色などのものあり、内包される成分によって異なります。
セリサイト イン クォーツ

水晶中に絹雲母が内包されているものをセリサイト イン クォーツと呼びます。雲母の内包量や、一緒に内包されている成分により、色や雲母の形などが異なります。
また、ローズクォーツのなかに絹雲母が内包されたものはセリサイト イン ローズクォーツと呼ばれ、セリサイト イン クォーツ同様に人気があります。
雲母の産地
雲母は、世界中の多くの地域で産出されています。
代表的な国や地域では、インド、アメリカ、南アフリカ、ブラジル、中国、マダガスカルなどが挙げられます。日本でもかつては石川県などで産出されていました。
吉良氏の名前の由来
忠臣蔵に登場する人物として知られている「吉良上野介」。忠臣蔵のなかでは悪役として登場していますが、領地では名君とされていたことはあまり知られていないかもしれません。
その吉良家は、もともと足利氏の流れをくむ家系でしたが、三河国吉良荘(現在の愛知県幡豆郡吉良町一帯)という土地を与えられ赴任したことから「吉良」と名字を改めます。
この三河国吉良荘こそが、「きら」つまり雲母を産出していた場所だったのです。このことは平安時代に書かれた「続日本紀」にも書かれています。 雲母と忠臣蔵という全く関係ないように見えるものが思わぬところでつながるのですね。
雲母は雲の母? - 雲母の名前の由来

そもそもなぜ「うんも」に「雲の母」という漢字を当てているのでしょうか。
それは、雲母が雲の生まれそうな山奥で産出されていたためだといわれています。山中の石のなかからきらきらとした雲母が空に上がり、雲になると考えられていたのです。
また「雲母を飲んで不老不死の仙人になった」という伝説もあります。そんなロマンティックな言い伝えから、雲母は「石薬」として漢方薬などに混ぜて処方されていたようです。
いくら雲母が化粧品の材料となるほどのミネラルなどを含んでいても人体にそこまで影響を与えることは考えられませんが、そのような言い伝えが残るほど雲母はミステリアスで魅力的な石といえるのではないでしょうか。
雲母の効果

雲母には、「活力向上」の効果があるといわれています。
夏の青空を見上げると、真っ青な空に入道雲がまぶしいほどの白さで高いところまで広がっています。この入道雲のように、邪念を振り払い、自分の限界を超えたい人にぴったりの石といえます。また、限界を超えるためには行動力と持久力も必要となってきますが、雲母はこれらの力を与えサポートしてくれる石でもあります。
新しく何かをはじめたい人、今よりもさらに高い場所を目指している人におすすめのパワーストーンです。
まとめ
今回は、雲母の秘密について紹介しました。
小さいころに公園の砂場などで砂に交じってきらきら光る雲母のかけらを見た記憶がある人も多いでしょう。さらに大人になってもメイクアイテムや家電製品などで雲母を身近に活用しています。
美しく頼りになる雲母は、前に向かって進もうとしている人の後押しもしてくれる力強さを秘めた鉱物でもありました。雲母を上手に取り入れて、私たち自身もきらきらと輝けるような人生を送りたいですね。
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