孔雀石|遥か昔から注目された緑の天然石!意味・効果・歴史も紹介

孔雀石の特徴や意味を解説。

艶やかな美しい緑色と多種多様な模様の天然石というと、「孔雀石(くじゃくいし)」を思い浮かべる人は多いでしょう。

同じ孔雀石でも個体によって模様や緑色の濃淡はさまざまで、一つひとつを比べてみると非常に魅力の深い石であることが分かります。自然を連想させる緑色は癒し効果もあるため、装いを彩ってくれるだけでなく心も落ち着かせてくれます。

今回の記事はそんな孔雀石についてです。

孔雀石をさまざまな角度から解説し、美しさの魅力や石そのものの特徴なども紹介していきます。きっと今まで知らなかった孔雀石の一面にも触れることができると思いますので、ぜひ最後までお読みください。

この記事の内容

マラカイトの鉱物データ

鉱物名孔雀石
英名Malachite
化学組成Cu2+2(CO3)(OH)2
結晶単斜晶系
モース硬度3.5 - 4.0
比重3.90 - 4.03
主な産地コンゴ・ロシア・南アフリカなど
石言葉洞察力・魔除け・保護

孔雀石の名前の由来

孔雀石の名前の由来や歴史を解説。

孔雀石という名前は、その模様が「クジャク」の羽に見られる眼状紋と似ていることから名付けられました。

繁殖期のオスのクジャクは、その大きな羽を広げてメスにアピールします。メスは目のように見えるオスの羽の眼状紋を見て心を奪われるそうです。

余談ですが、クジャクのオスの羽はメスに選ばれるために進化し、空を飛ぶときに使う羽は別にあります。

自然界で生き残るために特殊な進化を遂げたオスクジャクの飾り羽に酷似した模様が、同じ自然からできた天然石にも見られるのは非常に興味深いと言えるのではないでしょうか。

孔雀石に多くの人が心惹かれるのは、「自然界で美しく存在するため」に創られたその模様に惹かれているからなのかもしれません。

オスクジャクの飾り羽のような美しさを持つ天然石、それが孔雀石です。

孔雀石の色について

孔雀石は緑色とその模様が特徴の天然石

孔雀石はその緑色も非常に美しいことで知られています。

色の濃さはさまざまですが、模様に合わせた色合いの異なるグリーンカラーを見ることができます。

この項目ではそんな孔雀石の色を深く掘り下げて紹介していきますので、ぜひチェックしてみてください。

日本画にも使われる孔雀石の緑色

孔雀石は日本画で絵具の材料としても使われていた。

孔雀石は日本画に使用される絵の具の一種である「岩絵の具」の材料としても用いられます。

「緑青(ろくしょう)」というのが孔雀石を原料にした岩絵の具の色です。

天然由来の岩絵の具を使うことで独特の深みを得られますが、原料となる石をどの程度細かく砕くかによって色の濃さは異なります。

日本画で孔雀石の緑青は主に草木の色として使用されることが多いですが、7世紀末から8世紀初頭にかけて築造された高松塚古墳の西壁の壁画では、女子群像の衣服の色に用いられていることも有名です。

ちなみにこの壁画は極彩色壁画として考古学史上における大発見の一つに挙げられており、1972年には国宝にも指定されています。

かつてのエジプトでも使われた孔雀石の緑色

孔雀石は古代エジプトより化粧品としても用いられていた。

古代エジプトのクレオパトラは絶世の美女としても知られていますが、彼女を彩った当時の化粧品にはさまざまな逸話があります。

その中でも有名な話の一つは、緑色のアイシャドウの逸話です。

実はこのアイシャドウの原料には諸説あり、一つはエメラルドでもう一つが孔雀石だったと言われています。

実際にどちらだったのかは定かではありませんが、エジプト文明では孔雀石を砕いて女性の目の周りに塗る習慣が存在していたそうです。

これは化粧だけでなく魔除けや目の病気を防ぐという目的もあったようですが、その文化から考えるとクレオパトラのアイシャドウの原料は孔雀石だったのかもしれません。

いずれにしても、遥か昔から孔雀石の緑色は注目されており、私たち人類と深い関係がある天然石の一つです。

銅との関係も深い孔雀石

孔雀石と銅の関係について解説。

孔雀石は銅の二次鉱物です。

二次鉱物とは、何らかの鉱物として生成されたあとに周囲の環境によって変性されてできた鉱物のことを指します。

分かりやすい例を挙げると、鉱物にできた錆(さび)が成長して結晶化した鉱物などです。孔雀石の場合は、銅を含む鉱石である黄銅鉱が雨水などに溶け、二酸化炭素と反応して生成されます。

そのようにして生成された銅の二次鉱物である孔雀石。逆に孔雀石から「銅」を取り出すことも難しくありません。

実際に紀元前6000年頃のメソポタミア地域では孔雀石を窯で熱して還元し、人類が初めて金属(銅)製錬をしていたと言われています。銅製錬の技術はその後発達し、紀元前4000年頃以降には錫(スズ)を加えて頑丈なブロンズ(青銅)を作る技術が開発されました。これが学校の歴史の授業で習った「青銅器」です。

銅製錬や青銅技術はその後の人類に欠かせない存在となり、日本には紀元前300年頃に朝鮮半島を経由して「青銅器」がもたらされたと言われています。

孔雀石は単なる銅の二次鉱物ではなく、人類に銅を取り出すきっかけを与え、その後の発展に大きく貢献した天然石でもあります。

アメリカの図書館にある巨大な孔雀石

孔雀石の価値について解説。

天然石として見かける小さな孔雀石も素敵ですが、巨大な装飾品に加工された孔雀石も迫力があり一見の価値があります。

その代表格と言えるのが「tazza」です。

ほぼ全体が孔雀石でできているtazzaは、台座とその上部に取り付けられた受け皿部分からなり、その高さは約2mもあります。

このtazzaは、孔雀石から作られたものとして世界で4本の指に入ると言われるほど重要かつ有名なものとして知られており、もともとはロシア皇帝ニコラス二世からニューヨークのヘクシャー美術館に贈られたものです。 現在はアメリカのミズーリ州カンザスシティにあるリンダホール図書館の中央に展示され、その迫力ある佇まいと存在感で多くの人に親しまれています。

孔雀石の石言葉は「洞察力・魔除け・保護」

孔雀石の石言葉は「洞察力・魔除け・保護」。

石に付けられる石言葉ですが、孔雀石には「洞察力・魔除け・保護」という石言葉が付けられています。

目の模様のように見える眼状紋がある孔雀石は、古来から善と悪を見抜く洞察力があり、邪悪なものを追い払う力があると信じられていました。

その力を信じてお守りとして用いられてきた歴史もあり、中世ヨーロッパではベッドで眠る赤ちゃんを悪い病気や悪魔から守るために孔雀石をそばに置いていたとも言われています。

タイガーアイなど目を思わせる模様を持つ天然石は魔除けや真実を見透かす力があるとされていますが、この孔雀石の場合は危険がせまると自ら砕けて知らせてくれるという逸話もあります。

孔雀石を身に付ける意味と効果

孔雀石の効果と意味について解説。

孔雀石は特別な力を持っていると言われるパワーストーンとしても扱われることは少なくありません。

孔雀石のパワーストーンとしての効果は、それを身に着ける人を災いや邪気から遠ざけることです。

言い換えれば持ち主を守ってくれるということになりますので、自分だけでなく大切な人にプレゼントし、身に着けてもらうという人もいます。

そんな力を期待して孔雀石を購入する場合は、できるだけ眼状紋がはっきりしているものを選ぶと良いそうです。 スピリチュアルな側面だけでなく、緑色とその模様が美しい孔雀石はファッションアイテムとしてもおすすめできます。デザイン次第で老若男女問わず、誰でも楽しめるのが特徴です。

孔雀石の産地

孔雀石の産地を解説。

孔雀石はロシアや南アフリカ共和国、またアメリカやメキシコでも採れます。

現在での主な産地は、アフリカ大陸の中央に位置し、かつてザイール共和国と呼ばれていたコンゴ民主共和国です。

コンゴはアフリカ大陸で2番目に広い面積を持ち9カ国と隣接していますが、孔雀石の産地で有名なのは南部のアンゴラやザンビアとの国境付近にある銅山地帯になります。

ちなみに、かつて世界一の銅の産出国だった日本でも孔雀石の採掘は盛んだったそうで、今でも岡山県の慶長(けいちょう)鉱山をはじめ、ごく少量の採掘は続いているそうです。

最後に / 孔雀石の魅力

孔雀石の魅力を解説。

今回は孔雀石についてお伝えしました。

さまざまな特徴や逸話、また世界で初めて金属製錬された鉱物となった歴史など、孔雀石は古代より私たちと関わりの深い石でもあります。

森林の濃淡を思わせる緑色に、摩訶不思議でミステリアスにも見える模様。研磨して表面を艶やかに加工された孔雀石を見つめると、その長い歴史と同じくらい奥深い美しさを感じます。

アクセサリーとして身に着けたり、置物として加工されたものを部屋に飾ったりするなど、孔雀石を楽しみ愛でる方法はさまざまです。

天然由来ですので色も模様も同じものは存在しません。そのとき目にした孔雀石は唯一無二です。

ぜひ興味のある方は直接その目で孔雀石の魅力を確かめてみてください。

オンラインストア
孔雀石の素材一覧。

孔雀石のアイテム一覧

このコラムで紹介している孔雀石の天然石アイテムはこちらからご覧いただけます。

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