エボニー|絶滅の危機に瀕する高級素材

エボニーの特徴や効果を解説。

漆黒のベースに美しい縞模様を見せるエボニー。家具やアクセサリーなど私たちの身近でも古くから使用されてきた木材です。

見た目の美しさと高級感、強靭な耐久性により愛されてきたエボニーが実は絶滅の危機があるとみられていることはあまり知られていないかもしれません。

この記事では、エボニーの特徴と用途、そしてなぜ絶滅の危機が叫ばれているかについて解説します。 エボニーの魅力を知り、後世にエボニーを残すためにもぜひ最後まで読んでみてください。

この記事の内容

エボニーとは

エボニーは、熱帯エリアに生息する常緑木。

エボニー(Ebony)とは、熱帯エリアに生息する常緑木です。ひとつの種類の木の名前ではなく、数種類ある木の総称となっています。和名は「黒檀」。そのほか「黒木」「唐木」などと呼ばれることもあります。植物学的には「カキノキ科カキノキ属」に分類される植物です。

幹は、柿などと同様に平滑で、木肌は黒褐色、もしくはグレー系の色をしています。木材として使用される木芯部分は黒いほど価値が上がるとされています。

エボニーの種類によっては、茶系と黒系の美しい縞模様を見せるものもあり、家具やアクセサリーの素材として人気です。黒地に美しい木目が浮き出た木材は「木のダイヤモンド」と称されるほどです。

エボニーは成長すると樹高は、25mほどまで伸び、幹の直径も1m以上になりますが、生育が極めて遅いこともエボニーの特徴のひとつ。なんと、幹の直径が18cmになるまでに200年かかるといわれています。

成長がゆっくりである分、木質はとても緻密で堅固。そのため虫や菌に侵されにくいメリットがあります。

桐の4倍以上の比重

エボニーは硬く、密度が高い。

エボニーは、生長が緩やかである分、木質が緻密になり、比重は「0.85~1.09」です。

比重とは同じ体積の異なる物体を比較する際に用いられる比を指します。例えば1cm3の水は、「1」となるため、エボニーは水と同じくらいの重さ、もしくは水よりもやや重いことになります。そのため、エボニーの木材を水に入れると沈むこともあるのです。

木材同士で比較すると、木材のなかでもとても軽いとされる桐の比重は「0.19~0.3」で、エボニーの「0.85~1.09」と比べると、1/4ほどの軽さ、ということになります。

とはいえ、エボニーも金(K18で14.84~16.12)や銀(Silver 925で10.35)に比べると軽いためアクセサリーにもぴったりの素材です。

加工が困難な堅さ

エボニーは、緻密であるがゆえに、加工がとても困難な素材でもあります。力技で加工しようとすると、刃や木材が欠けることもあるため、注意が必要です。

さらに、エボニーの種類によっては、木材に油分が含まれているため、カンナややすり掛けの際につるつると滑って上手く整えられないこともあります。

しかし、加工に成功すれば、耐久性もあるため長く使える製品になるのも大きな魅力です。

エボニーは緻密で硬いため、加工が難しい素材。

エボニーの種類

ここでは、エボニーの代表的な種類について紹介しましょう。

  • セイロン・エボニー
    セイロンと名のつくとおり、スリランカ・セイロン島原産の品種です。心材のみが漆黒で、「本黒檀」と呼ばれています。
  • マカッサル・エボニー
    「縞黒檀」とも呼ばれ、赤褐色や緑褐色のベースに褐色の縞模様の杢目が入っているのが特徴です。
  • ペールムーン・エボニー
    エボニーは褐色ベースのものが多い中、ハッキリとした黒と白の縞模様から「ブラック・アンド・ホワイト・エボニー」と呼ばれることもあります。日本では「斑入黒檀」と呼ばれています。
  • アフリカン・エボニー
    セイロン・エボニーの代替として使用されています。しかしそのため絶滅の危機に瀕している品種でもあります。

主な用途

エボニーはアクセサリーやピアノなどの楽器や家具などの素材に用いられる。

エボニーは、木材としてさまざまな用途で使用されます。

大きなものでは、建材や家具、日本では仏壇の素材として良く用いられています。

楽器の材料としても良く使われており、ピアノの黒鍵、バイオリンやギターの指板、カスタネットにも使われています。これは、木材が硬いため音を吸収せず、響かせる効果があるためです。

また、身近なところでは、エボニーは箸やウッドビーズに加工されています。耐久性があり、虫害や菌の影響を受けないため、デイリーユースのアクセサリーにも向いています。特に漆黒で重厚感のある「本黒檀」や美しい縞模様を見せる「縞黒檀」は、アクセサリーやインテリアにもぴったり。世の中に2つと同じもののない作品が作れるでしょう。

エボニーの産地

エボニーの産地はインド、スリランカ、ミャンマーなどがある。

エボニーは、熱帯性常緑高木であるため、東南アジアエリアで多く育っています。

その生育エリアは、インド、スリランカ、ミャンマー、タイ、インドネシア、ヒマラヤ、スマトラ、ボルネオなど広範囲にわたります。

日本では、セイロン・エボニー(本黒檀)が自生することはありませんが、リュウキュウコクタンなどエボニーの仲間はいくつか存在します。

また、エボニー種は、観葉植物として人気があるため植木鉢などで育てられている事例は多いようです。その際には熱帯地方の環境を整えた温室で育てるなど配慮が必要になります。

唐木三大銘木のひとつ

エボニーは、中国を経由して日本に入ってきたことから、「唐木」と呼ばれることも。

中国を経由して入ってきた、紫檀(シタン)・鉄刀木(タガヤサン)とともに、「唐木三大銘木」のひとつとされています。

唐木三大銘木は、いずれも緻密で重厚な高級感がある素材であることが特徴です。

ワシントン条約で規制

エボニーはその性質や希少性から、価値が高い。

エボニーは、木材として高級感や耐久性があることからとても人気があるのですが、生育が遅く木材として使用できるまでには時間がかかります。そこでエボニーの代用材として、「アフリカン・エボニー」が用いられるようになりました。

しかし、エボニーの価値に目を付けたギャングによりマダガスカル産のアフリカン・エボニーは、乱伐や高値での取引が相次ぎ、絶滅の危機に瀕しています。

そこでワシントン条約により、エボニーを含むローズウッド種の木材について国際的な取引が、規制されることとなりました。

現在は、必要な書類をそろえれば、エボニーの使用や取引を禁止するものではありませんが、このまま乱伐や違法な取引などが増えれば、より制限が厳しくなることも考えられます。

エボニーがかんたんに手に入らなくなるのも悲しいことですが、一番悲しいのは一部の人たちの心無い行為により、美しいエボニーが地球上で絶滅してしまうことですね。

エボニーの樹言葉

エボニーの樹言葉は強い意志・固い信念。

石には「石言葉」、花には「花言葉」があるように、樹木にも「樹言葉(じゅことば)」があります。

エボニーの樹言葉は、「強い意志・固い信念」です。エボニーの性質そのものですね。目標がある人や、心に迷いがある人にぴったりの言葉です。

新しいスタートを切る人への贈り物として、エボニーでチャームやアクセサリーを作って贈ってみるのはいかがでしょう。

ちなみにエボニーとセットで取り扱われることも多い「紫檀」の樹言葉は「愛情・家庭円満」です。その昔、嫁入り道具に使われるタンスが紫檀製であったのも、納得できますね。

エボニーのパワーストーンとしての効果

エボニーは樹木ではありますが、パワーストーンのような効果も持っています。

まず「邪気を寄せ付けない」という強力なパワーがあると言われています。日々の生活の中で私たちは、意識せずとも多くのネガティブなエネルギーに触れています。エボニーは、そんな邪気から私たちの心や身体を守ってくれます。

また、エボニーは「精神安定、リラックス効果」にも優れています。緊張した会議の前、大切なプレゼンテーションの前夜、あるいは日々の疲れが溜まった時など。エボニーを手に取るだけで、心がふわりと軽くなるような感覚に包まれます。その穏やかなエネルギーは、まるで古木が長い年月をかけて培ってきた静けさを分けてくれるかのようです。

パワーストーンとしてのエボニーは、特に心が疲れている時、自分自身を見失いそうな時、あるいは新しい挑戦に対する不安を感じている時に、その力を最大限に発揮します。身につけることで心の中に小さな静寂の場所を作り出し、どんな時も自分自身を保つことができるようになるでしょう。

まとめ

エボニーは、美しく丈夫で高級感のある素材として、私たちの身の回りでも使用されている素材のひとつです。正倉院所蔵の宝物のなかにもエボニーで作られた念珠があるほど古くから使用されてきました。

世界中で愛され、珍重される素材であるエボニーは、その人気ゆえに絶滅の危機に瀕している素材でもあります。

エボニーを絶やしてしまわないためにも、違法なものには手を出さず、いまあるエボニーの素材や製品をこれからも大切にしていきたいものです。

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エボニーの素材一覧。

エボニーのアイテム一覧

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